「DXって難しそう…」から始まった、旅館のおもてなし改革

はじめまして。DX推進担当のIと申します。
現在はリゾート地や温泉旅館などを中心に、デジタルの力で現場を支えるお手伝いをしています。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」なんて聞くと、ちょっと小難しい言葉に感じる方も多いかもしれません。
正直に言うと、私も最初はそうでした。カタカナ多いし、なんだか未来の話っぽいしな。
「自分には関係なさそう・・・」なんて思っていたほどです。
でも、実際に旅館やホテルの現場に入って取り組んでみると、
DXの本質はとてもシンプルでした。
それは、「人の温かさ」や「おもてなしの心」を守るための仕組みづくりだったのです。
たとえば、あるリゾートホテルでは、
フロントでのチェックインに毎回15分、チェックアウトに10分以上かかっていました。
紙の台帳での管理、館内の説明、お食事や貸切風呂の時間のご予約案内…。
昔ながらの丁寧なおもてなしが逆にスタッフの負担になり、
結果的に、目の前のお客様もお待たせしてしまうことに。
そこで私たちは、以下のような仕組みを導入しました。
①タブレットでの簡単チェックイン
②QRコードによる館内案内
③スマホからの食事・貸切風呂の時間予約
その結果、1組あたりのチェックイン対応が約1分に短縮。
お客様からも「とてもスムーズで快適だった」との嬉しい声をいただきました。
さらに、スタッフにも時間と気持ちの余裕が生まれたことで、
「お出迎えの特別なカクテルを一言添えて渡す」「観光案内をゆっくり話せる」など、
本来あるべき“人にしかできない心のサービス”が戻ってきたのです。
「DX=効率化」というイメージがありますが、
私たちが目指しているのは、単なる業務の省略ではなく、“人が人らしく働ける環境”の再構築です。
人手不足が深刻な宿泊業界では、「人を減らす」のではなく「人にしかできない仕事に集中できるようにする」ことが急務です。そのために、私たちはさまざまなデジタルの力を借りています。
最初は不安そうだったスタッフさんが、
「このシステム、前の職場にも欲しかった!」と笑顔で話してくれたとき、
本当にこの仕事をしていてよかったと感じます。
ホテル・旅館は、日本らしいおもてなし文化の象徴だと思います。
でもその裏側には、たくさんの努力と工夫、そして時代に合わせた進化があります。
私たちDXチームの仕事は、そうした“伝統と変化のちょうど真ん中”に立ち、現場のリアルな声を聞きながら、最適な形で未来への橋をかけることだと思っています。
日々の業務は地道で、時には泥臭い作業もあります。
それでも、「あの旅館、最近とても快適になった」といったお客様の声や、
「また泊まりに来たくなる宿だね」とリピーターが増えたときには、心からやりがいを感じます。
ホテルDXは、誰かの仕事を奪うものではありません。
むしろ、人が“その人らしく”働くことを支える、大切な土台だと感じています。
これからも「効率化のその先にある、もっと良いサービス」を一緒に考えていきたい。
そんな想いで、現場に足を運んでいます。

旅館やホテルの現場に入り込みながら、DXで「人らしい働き方」をサポート中のIです。
チェックインの短縮から業務改善まで、おもてなしを守る仕組みづくりが得意です。
食べ歩きとお酒が大好きで、出張先の居酒屋巡りが密かな楽しみ。