ホテルマンに向いている人とは?定着・活躍する人材を見極めるコツ
ホテルの採用担当者の中には、面接でどのような人材を採用すべきか頭を悩ませている方も少なくないでしょう。人手不足でとりあえず採用はしたものの、すぐに退職してしまったといったケースは珍しくありません。
今回は採用に関する課題解決のヒントとなるよう、以下の項目について解説します。
| ・ホテルマンに向いている人に共通する資質・面接で人材を見極めるコツ・人材の定着および育成を成功させるコツ |
ホテルの人材採用にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

多様化するホテルマンの仕事
ホテルマンの仕事内容は多岐にわたり、顧客に提供する価値も部門ごとに大きく異なります。ホテルのおもな部門は、以下の通りです。
- 宿泊(チェックイン・アウト、予約管理):チェックインやチェックアウトなどを通じて、快適な滞在環境を提供する
- 料飲(レストラン・バーでのサービス):食べ物や飲み物の提供を通じ、質の高い体験サービスを提供する
- 宴会(会議・披露宴の企画運営):会議やパーティーの企画・運営を担い、特別なイベントを成功に導く
- 営業・管理(販売促進、経理、人事など):ホテルの収益向上や施設運営を支える
各部門で求められる専門スキルは異なりますが、いずれも部門共通で不可欠な資質として高いホスピタリティ精神と、多様なニーズを持つ顧客に対応できるコミュニケーション能力が挙げられます。この2つが顧客に満足と感動を提供する基盤となります。
ホテルマンに向いている人に共通する資質とは?
ホテルマンに向いている人に共通する資質は、おもに以下の通りです。
- 相手の期待を超える「ホスピタリティ精神」
- チームで成果を出す「協調性」と「巻き込み力」
- 変化に動じない「柔軟な対応力」と「主体性」
- 心身の健康を保つ「ストレス耐性」と「自己管理能力」
- 常に学び続ける「成長意欲」と「学習能力」
それぞれ詳しく解説します。
相手の期待を超える「ホスピタリティ精神」
相手の期待を超える「ホスピタリティ精神」を持っていることは、ホテルマンに向いている人に欠かせない資質の1つです。
「ホスピタリティ精神」とは、マニュアル通りのサービスを提供するのではなく、お客様一人ひとりの状況を深く察し、次に何を求めているかを先回りして行動できる「おもてなしの心」を指します。
例えば、大雨の中来館したお客様には、チェックインの手続きを進める前にタオルを差し出すといった、相手を気遣える一歩踏み込んだ行動です。
期待以上のホスピタリティ精神は、顧客満足度(CS)の向上はもちろん、お客様が再びそのホテルを選んでくれるリピート率の向上にもつながります。
チームで成果を出す「協調性」と「巻き込み力」
チームで成果を出すための「協調性」と「巻き込み力」は、ホテルマンに欠かせない要素です。
ホテル業務は宿泊、料飲、宴会、営業など多くの部署との連携が不可欠です。お客様へのサービスは一部署だけでは完結せず、情報共有や協力があって初めて成り立ちます。
優秀なホテルマンは自分の業務範囲にとどまらず、他部署のスタッフとも円滑に連携できる協調性を持っています。
さらにお客様の抱える複雑な課題や突発的な要望に対し、関連部署や担当者に迅速に声をかけ、周りを巻き込んで解決へと導く巻き込み力も必要です。
「協調性」と「巻き込み力」の2つの資質があることで、ホテル全体で一貫性のある質の高いサービスを提供できます。
変化に動じない「柔軟な対応力」と「主体性」
ホテルマンに不可欠な資質の1つに、変化に動じない「柔軟な対応力」と「主体性」があります。
ホテルでは予約の重複や設備トラブル、お客様からの急な要望や体調不良など、予期せぬトラブルや状況の変化が日々発生します。
このようなイレギュラーな事態に遭遇した際に、マニュアルや指示待ちに固執していてはお客様の満足度を維持できません。
優秀なホテルマンは指示を待つのではなく、目の前の状況を正確に把握し、自ら考えて最適な対応を判断し実行できる主体性を持っています。
どんな時でも冷静さを保ち、状況に応じて適切な手順や対応へ瞬時に切り替えられる柔軟な対応力も必要です。「柔軟性」と「主体性」を併せ持つホテルマンは、ピンチを感動的なサービス体験へと変えることができます。
心身の健康を保つ「ストレス耐性」と「自己管理能力」
ホテルマンに共通する資質で重要なのが、心身の健康を保つ「ストレス耐性」と「自己管理能力」です。
ホテル業務はお客様の期待に応えるプレッシャーに加え、早朝や深夜を含む不規則になりがちな勤務体系が特徴です。このような環境下でお客様への安定したサービス品質を維持するためには、自身のコンディションを適切に管理する能力が求められます。
プロフェッショナルとして常に最高の状態でお客様を迎え、安定したパフォーマンスを発揮し続けるには、高い自己管理能力が必要です。
十分な休息や睡眠、食事管理などで体調を整えるだけでなく、お客様からのクレームといった精神的なストレスを上手に解消できるストレス耐性も欠かせません。心身の健康を保ち、長期にわたって質の高いホスピタリティを提供できる人材が求められます。
常に学び続ける「成長意欲」と「学習能力」
常に学び続ける「成長意欲」と「学習能力」も、ホテルマンに求められる資質の1つです。
ホテル業界はテクノロジーの進化やインバウンド需要の変化、顧客ニーズの多様化など変化のスピードが速い業界です。ホテルマンは新しい知識やスキルを積極的に学び、サービスを向上させる姿勢が求められます。
例えば、外国語能力の習得や新しいPMSの操作、食のトレンドに関する知識、データ分析による顧客理解など、学ぶべき分野は多岐にわたります。
現状に満足せず上を目指すホテルマンは、自身の専門性を高めつつ知識やスキルをチームに還元できるため、ホテル全体のサービス品質向上と成長につながります。
プラスアルファの価値を生む専門スキルと経験
ホテルマンにさらなる価値をもたらす専門スキルと経験を、3つ紹介します。
- 語学力
- 専門資格
- マネジメント経験
これらはいずれも、優秀なホテルマンほど身につけているスキルです。ホテル全体のサービス品質とブランド力を高めるためにも、順に詳しく見ていきましょう。
語学力
ホテルマンにとって語学力は不可欠な専門スキルです。訪日外国人観光客が増加する中で、英語や中国語などのスキルは訪日客に安心感を与える上で大きな価値を持ちます。
円滑なコミュニケーションは滞在中の細かな要望への対応をスムーズにし、顧客満足度を向上させます。多言語での対応力は言語の壁を解消するだけでなく、新たな顧客層の獲得でホテルの収益向上にもつながる重要な要素です。
専門資格
ホテルに関する専門資格は、ホテルマンの知識と技能を証明しサービスの品質向上に直結します。
代表的な資格では、料飲部門の高度な技能を示す「レストランサービス技能検定(HRS)」や、ホテルの経営や運営の知識を体系的に学べる「ホテルビジネス実務検定(H検)」などです。またソムリエや観光英語検定など、専門分野に特化した資格も存在します。
HRSの資格を持つ人はより洗練されたサービスを、H検の資格を持つ人は部門を超えた業務効率化や論理的な課題解決に力を発揮できるでしょう。
質の高いサービス提供を可能にするだけでなく、各自がプロフェッショナルとしての自信を持つことで、ホテル全体のレベルアップにも貢献します。
関連記事:>>ホテル経営に資格は必要?開業前に知っておきたい許可と取得すべき資格を徹底解説!
マネジメント経験
ホテルマンにプラスアルファの価値をもたらすのが、他業種でも通用する「マネジメント経験」です。ホテル業界は常に将来の管理職候補を求めており、リーダーシップ経験を持つ人材は高く評価されます。
マネジメント経験には、スタッフの育成やチームビルディングを通じて組織力を高めるスキルが求められます。また、人件費や売上といった数値管理を通じて、利益を最大化する視点も必要です。
マネジメント経験を持つ人材を採用できれば、ホテルの組織力強化と収益向上に貢献し、組織を牽引する中核人材として大きな戦力となるでしょう。
関連記事:>>ホテルマネジメントの実務と戦略|経営成功に必要な視点とスキルとは?
採用ミスマッチを防ぐ!面接で見極めるコツ
採用のミスマッチを防ぐためにも、面接で人材を見極めるコツを4つ紹介します。
- 過去の行動を深掘りする質問を投げかける
- ホテルの価値観や理念への共感度を確認する
- ストレスへの向き合い方を尋ねる
- 将来に向けたキャリアプランを尋ねる
1つずつ詳しく見ていきましょう。
過去の行動を深掘りする質問を投げかける
面接官が候補者の「過去の行動を深掘りする質問」を投げかけると、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。
「ホスピタリティ精神があります」「チームワークを大切にします」といった抽象的な自己PRを聞くだけでは、入社後の実際の働きぶりを予測できません。面接官は、その能力を裏付ける「過去の具体的な行動事実」を聞き出す必要があります。
例えば「チームで困難な目標を達成した経験と、その中で役割を果たしたか?」などの質問は、候補者の協調性や主体性を具体的なエピソードから判断できるため有効です。
また「顧客からの難しい要望に対し、マニュアルにはない対応でカバーした経験はあるか?」といった質問も、応募者のホスピタリティ精神や対応力の有無を判断できます。
過去の行動を深堀りする質問を通じて、ホテルマンに必要な資質が備わっているかを見極めましょう。
ホテルの価値観や理念への共感度を確認する
候補者のホテルの価値観や理念への共感度を確認することは、ミスマッチを防ぐ上で重要な要素です。
スキルや経験が豊富でも、自社の経営理念やサービスに対する考え方、重視する価値観に共感できなければ長期的な活躍は望めません。
ホテル業の根幹である「おもてなし」の定義や提供方法は、ホテルごとに異なります。そのため候補者の価値観と、ホテルの理念のマッチングは不可欠です。
面接では「当ホテルが重視する『地元の文化を伝える』という理念を、どのように感じますか?」といった質問を投げかけ、共感度を確認しましょう。
共感度を確認することで、単なる業務遂行者ではなくホテルのビジョンを共に実現する仲間を採用できます。理念への共感は仕事への深い動機付けとなり、結果として従業員の定着率向上につながります。
ストレスへの向き合い方を尋ねる
ホテルの採用面接でミスマッチを防ぐためには、面接官が候補者の「ストレスへの向き合い方」を尋ねることも重要です。
ホテル業務はお客様からのプレッシャーやクレーム対応、不規則なシフト勤務などストレスの要因が多い環境です。そのため、候補者が高いストレス耐性と自己管理能力を備えているか、面接で見極める必要があります。
例えば「仕事でプレッシャーを感じた時、どう乗り越え気持ちを切り替えるか?」という質問は、候補者が自身の感情やコンディションを客観的に把握し、健全な方法で対処できるかを推し量れます。
ストレスへの対処法が未熟だと、本人のコンディション悪化だけでなく、チームの士気低下やサービス品質の低下にもつながります。ストレス耐性に関する質問は欠かさず実施しましょう。
将来に向けたキャリアプランを尋ねる
候補者の「将来に向けたキャリアプラン」を尋ね、採用後のミスマッチを防ぎましょう。
面接では候補者の成長意欲や、ホテル業界に対する真剣な関心度合いを確認します。ホテル業は学習と成長が求められるため、向上心は不可欠な資質です。
質問例としては、「このホテルで働くことを通じて、5年後にどのようなスキルを身につけ、どのようになっていたいか?」といったものが効果的です。
候補者がホテル業界でどのように成長したいかを確認でき、回答内容が自社のキャリアパスや育成計画と合致しているかも判断できます。
候補者のビジョンとホテルの方向性が一致していれば、入社後のモチベーション維持や早期離職の防止になり、長期的な戦力化が期待できます。
採用後の定着・育成を成功させる環境づくりのポイント
採用した人材が能力を最大限に発揮し長く定着するためには、ホテル側による積極的な環境整備が不可欠です。
まずは従業員が自身の努力と成果に見合った待遇を得られるよう、明確な評価制度を構築し将来の目標となるキャリアパスを具体的に提示しましょう。こうすることで、働く動機付けと成長意欲を維持できます。
次にスキルと知識の向上を促すため、上司と部下の間で定期的なフィードバックを実施します。新しい知識や技術を学べる機会を継続的に提供し、従業員個人の成長意欲を満たしサービス品質の安定につなげましょう。
さらに職場の悩みや意見を共有できる、風通しの良い職場風土を醸成します。ストレスを軽減し、離職率を下げるための土台を整えましょう。従業員が安心して働き続けられるため、ホテル全体の組織力強化につながります。
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まとめ
ホテルマンの仕事は多岐にわたりますが、いずれもお客様へのおもてなしの心とコミュニケーション能力、そして状況に応じた柔軟な対応力が求められます。
さらに語学力や専門スキル、マネジメント経験といった能力も、ホテルマンにプラスアルファの価値を生み出します。
また採用後のミスマッチを防ぐためには、候補者の協調性や主体性を深堀りしたり、将来へ向けたキャリアプランを尋ねることが重要です。
採用した人材が長く定着するよう、明確な評価制度とキャリアパスを整備し、風通しの良いコミュニケーションがとれる職場風土を構築しましょう。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
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