コラム

2026.06.03

GOPとは?ホテルの利益の見方と改善策【2026年版】

GOPとは?ホテルの利益の見方と改善策【2026年版】

月次の売上は前年を上回っているのに、営業費用を並べると利益が減っている。GOPとは、そうした運営の実力を数字で映す、ホテルの収益指標です。

この記事では、GOPとは何か、計算方法、業態別の傾向、RevPAR・ADR・OCCとの関係、GOPPARとの違いを整理しました。売上が10%伸びてもGOPが減る試算も載せています。

記事内のホテルGOP簡易診断に5項目を入れれば、自館のGOP率と稼働の状態がわかります。

30秒でわかるGOP(Gross Operating Profit:営業総利益)

GOPとは、売上ではなく「どれだけ利益を残せているか」が分かる経営指標です。

営業収入 − 営業費用 =GOP
GOP改善の3つの視点
売上を高める→RevPAR
人件費を管理する→人件費率
その他の費用を管理する→OTA手数料・原価

⚠️ 売上が伸びても、OTA手数料・人件費・原価が同じペースで膨らめばGOPは横ばい、場合によっては減ります。自館の数字はホテルGOP簡易診断で確認できます。

🎯 この記事はこんな方に向けて書いています
売上は戻ったのに利益が残らないと感じているホテル・旅館経営者
RevPAR・OCCは見ているが、GOPまで管理できていない支配人・運営担当者
どの部門・どのコストから手をつければ利益が伸びるか判断したい方

GOPとは?定義と計算方法

GOPとは何か:基本の考え方

GOPとは、Gross Operating Profit(営業総利益)の略で、ホテルの運営で稼いだ収益から運営費用を引いた利益のこと。ホテル業界では売上の次に必ず確認される数字です。なお、国際基準のUSALIでは部門別収益・費用を積み上げる多層構造で定義されますが、本記事では、月次の現場管理で使いやすい簡略版「営業収入−営業費用」で説明します。

持ち家か賃貸かといった建物の事情を外して、「運営のうまさ」だけを取り出せる。GOPの一番の特徴はここにあります。たとえば、同じ売上でも、シフトの組み方や仕入れの管理が違えばGOPは大きく変わります。だからこそ、オーナーと運営会社の間でもGOPが成績表として使われています。

計算例:月間売上1,000万円・営業費用700万円の場合

営業収入
1,000万円
−
営業費用
700万円
=
GOP
300万円
(GOP率30%)

減価償却費・賃料・固定資産税・金利は営業費用に入れません

一般企業の「営業利益」との違い

項目GOPの考え方
含めるもの客室・料飲・宴会等の営業収入、人件費・材料費・水光熱費等の営業費用
含めないもの減価償却費・賃料・固定資産税・金利など、所有・投資に紐づく費用
背景ホテル業界は「運営」と「所有」が分離しているケースが多く、運営側がコントロールできる範囲の収益力を評価するため

💡 ここがポイント:運営委託契約では、GOPが運営会社のインセンティブフィー(成功報酬)の算定基礎になることがよくあります。そのため「どの費用を営業費用に入れるか」は契約や会計方針ごとに微妙に異なります。他館や前年と比べる前に、まず費用の範囲をそろえておくこと。つまり、ここがずれたままでは、比較しても判断を誤ります。

業態別に見るGOP率の傾向

「うちの業態なら何%が適正か」という質問をよく受けますが、一律の答えはありません。客室数、ADR、OCC、料飲比率、人員配置。どれか一つ違うだけでGOP率は動きます。そこで下の表では、業態ごとに費用がどこに寄りやすいかをまとめました。

業態構造的な特徴(傾向)
ビジネスホテル客室収益中心で効率が高く、GOP率は比較的高めになりやすい
リゾートホテル施設が広くサービス種類が多く、固定費・人件費が重くなりやすい
シティホテル料飲・宴会比率が高く原価率・人件費率が上がりやすい
旅館料飲・温浴など運営負荷の大きいサービスが多く、比較的低めになりやすいが個別差が大きい

同じ業態でも差は大きく、AHLA(米国最大級のホテル業界団体)の公表資料を見ても、地域や規模によってGOP率はかなり開いています。

業態の平均と比べるより、自館の前年同期比・予算比、同規模の同業態との比較を優先してください。また、下の診断ツールでは、業態ごとの傾向を参考基準に自館の数値と照らし合わせられます。

GOPと関連指標(RevPAR・ADR・OCC)の関係

GOPとは利益の最終結果なので、単独で眺めても、何を直せばよいかは見えてきません。そこで、まずは売上を形づくる3つのKPIとの関係を整理しておきます。

指標定義・評価することGOPとの関係
ADR客室売上 ÷ 販売客室数(単価の質)単価が上がれば原資が増え、GOPを直接押し上げる
OCC販売客室数 ÷ 販売可能客室数(稼働)固定費回収の土台。一定稼働がないとGOPが伸びにくい
RevPARADR×OCC(単価×稼働の総合スコア)GOPを左右する重要な売上KPIの一つ
GOP営業収入−営業費用(コスト込みの収益力)売上KPIが利益として残ったかの最終評価

OCC・ADR・RevPARは、どれも売上側の数字。コストは一切入っていません。つまり、この3つが上向いているのにGOPが伸びないなら、疑うべきはコスト構造です。詳細はRevPARとは?、ホテルのADRとは?、稼働率(OCC)とは?もご覧ください。

【ツール】ホテルGOP簡易診断

なぜ売上が増えてもGOPが増えないのか

「稼働も単価も悪くないのに、利益が増えない」。売上を伸ばすことと利益を残すことは、似ているようで別の仕事です。実際、原因をたどると、たいてい次の3つのどれかに行き着きます。

パターン典型的な症状
①売上側OTA依存で手数料が重い、直販率が低い、繁忙期でもADRを上げられない
②コスト側シフトの過剰配置、清掃委託費の生産性の低さ、食材ロス・仕入れ単価の放置
③構造売上増とコスト増が連動し、部門別損益が見えていない

試算例:売上が10%伸びてもGOPが減るケース

実際に起こりがちな動きを、仮の数字で再現してみます。前年よりADRも稼働も上がり、営業収入は1,000万円から1,100万円へ増えました。ところが、増えた予約の多くがOTA経由だったうえ、時給改定と繁忙期の応援人員が重なっています。

項目(月間)前年今年増減
営業収入1,000万円1,100万円+100万円
OTA手数料――+35万円
人件費(時給改定・応援人員)――+45万円
水光熱費――+15万円
食材・アメニティ原価――+15万円
営業費用 合計700万円810万円+110万円
GOP(GOP率)300万円(30.0%)290万円(26.4%)▲10万円

売上は10%増えたのに、GOPは10万円減っています。売上の月報だけなら「好調」で終わってしまう月でしょう。だからこそ、費用を項目ごとに前年と並べて、ようやくどこから利益が漏れているかが見えてきます。

ホテルGOP簡易診断

GOPとは営業収入から営業費用を引いた額で、GOP率はそれを営業収入で割った割合です。5項目を入力すると、GOP・GOP率と稼働面の状態を判定します。なお、上の試算のように費用項目ごとの分解が必要な場合、人件費率やOTA比率まで含めた確認は無料相談で対応しています。

🩺 ホテルGOP簡易診断
5項目すべてに入力・選択して「診断する」を押してください。同じ期間(月次・年次)の数値でそろえてください。

GOP改善の具体策|売上側とコスト側の両輪

短期・中長期の具体策

GOPとは売上側とコスト側の両方で動く数字なので、上げる手段も両方にあります。そこで、すぐ着手できるものと、仕組みから変える必要があるものに分けて整理しました。

時間軸具体策
短期
(数週間〜数ヶ月)
直販率アップでOTA手数料を圧縮/ダイナミックプライシングでADR最適化/料飲メニュー構成比・原価率の見直し/繁閑に応じた清掃・シフト調整/水光熱費の管理徹底
中長期
(半年〜数年)
リピート率アップで広告費・OTA手数料を削減/PMS統合で現状把握の精度向上/チェックイン簡略化・DXで生産性改善/業務フロー見直しで属人化を解消

実務では、利益の薄い売上(手数料の高いチャネル経由の予約など)を減らす方が、新しい売上を積み上げるより早くGOPに効くことが少なくありません。売上を増やすには広告費も営業の手間もかかる一方、つまり、コストの見直しなら今の売上を保ったまま始められます。ただ、片方だけではいずれ頭打ち。最終的には両方を並行して回すことになります。

なお、詳しい施策はホテルの売上最大化、OTA手数料の比較、ホテル・旅館の利益率もあわせてご覧ください。

現場でまず毎月確認したい3つの数字

部門別の損益をいきなり整えようとすると、たいてい途中で止まります。そこで、まずは次の3つを、毎月同じ形式で記録するところから。これだけでもGOPが動いた理由はかなり読めるようになります。

OTA経由比率と実質手数料率:予約件数ではなく売上ベースで集計します。実際、ポイント原資や広告枠の費用を含めると、表面の手数料率より高くなっているケースがよくあります。
1人時あたりの販売室数:人件費の総額だけでは、稼働が上がったから増えたのか、配置が過剰なのかを区別できません。そこで、清掃・フロントそれぞれで見ると、ムダな時間帯が浮かび上がります。
料飲の原価率(メニュー別):全体の原価率が同じでも、出数の多いメニューの原価が上がっていれば利益は目減りします。また、仕入れ単価が改定されるタイミングで見直すと手間がかかりません。

内製の限界とプロとの差

⚠️ 内製対応の限界

部門別の損益が見えない。コストのムダに気づけない。担当者が替わると管理が崩れる。そのため、どれか一つでも当てはまるなら、まずは部門別にコストと利益を分け、月次で自動集計できる形を作るところから始めてください。

GOP改善の事例(匿名)

支援事例から2つ紹介します。施設名は伏せ、数字も幅を持たせています。

施設タイプ実施した施策改善幅の目安
シティホテル(80室程度)直販強化とレベニューマネジメントの見直しGOP率 +3〜6pt程度
温泉旅館(45室程度)シフト再設計と仕入れ管理の見直し人件費率 ▲2〜3pt程度

どちらも、最初に手をつけたのは「数字を毎月同じ形で並べる」ことでした。実際、施策そのものより、そこで時間がかかる施設が多い印象です。

GOPPARとの違いと使い分け

GOPと混同されやすい指標にGOPPAR(GOP ÷ 販売可能客室数)があります。GOPとは施設全体の利益額のこと。これに対してGOPPARは、客室1室あたりに割り戻した利益です。規模の違う施設どうしでも同じ土俵で比べられます。そのため、自館の月次レビューにはGOP、複数施設の横並び比較や投資判断にはGOPPARを使います。この使い分けが実務では定着しています。

よくある質問(FAQ)

GOPとは何かに関する質問

GOPとGOP率は何が違うのですか? ▼
A. GOPとは「営業収入−営業費用」で求める利益の金額、GOP率は「GOP ÷ 営業収入 × 100」で求める利益の割合(%)です。規模の違う施設と比べるときは、金額ではなくGOP率を使います。
GOPに減価償却費や家賃は含めるのですか? ▼
A. 含めません。減価償却費・賃料・固定資産税・金利などは所有・投資に紐づく費用のため、GOPの計算対象外とするのが一般的です。GOPで見たいのは、運営側が自分で動かせる範囲の稼ぐ力です。

GOP改善と指標の使い分けについて

RevPARは高いのにGOPが低いのはなぜですか? ▼
A. RevPARは売上側の指標で、コストが入っていないからです。OTA手数料・人件費・水光熱費が重ければGOPは伸びません。この場合はコスト構造を疑い、部門別の損益を分解して利益貢献が弱い費目を特定することが改善の出発点になります。
GOP率を改善するには、まず何から手をつければよいですか? ▼
A. まず「売上側」と「コスト側」のどちらにボトルネックがあるかの切り分けから始めます。費用を項目ごとに前年と並べ、増加幅が大きく、かつ手を打ちやすい費目(OTA手数料やシフト配置など)から順に見直していくのが現実的です。
GOPとGOPPARはどう使い分けますか? ▼
A. GOPは施設全体の利益額の把握に、GOPPAR(GOP ÷ 販売可能客室数)は規模の異なる施設どうしの比較や投資判断に向いています。自館の月次レビューにはGOP、複数施設の横並び比較にはGOPPAR、という分け方が一般的です。

まとめ:GOPを軸に利益の残る体質へ

売上は戻ったのに利益が残らない。そんなときは、GOPの追いかけ方を変えてみてください。GOPとは「営業収入−営業費用」、つまり運営でどれだけ稼げたかを示す数字です。RevPAR・ADR・OCCといった売上側の指標と並べて見ること。そして業態の平均値よりも、自館の前年同期比・予算比で毎月追いかけること。この2点が改善の出発点になります。

自館のGOP率がどの位置にあるかは、上のホテルGOP簡易診断で数分あれば確認できます。

GOP改善に取り組みたい方へ

リロホテルソリューションズでは、部門別GOPの可視化から、全国同業態とのベンチマーク比較、施策ごとの改善幅の試算まで、運営支援の専門家が伴走します。「どこから手をつければGOPが最も伸びるか」を、現場で実行できるレベルまで一緒に落とし込みます。

株式会社リロホテルソリューションズ
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【監修者情報】
全国50施設以上のホテル・旅館を運営するグループ企業のノウハウを活かし、宿泊施設の売上向上とGOP最大化を支援するコンサルティング会社。
価格戦略、OTA運用、人件費最適化、業務効率化まで踏み込み、利益の残るホテル経営を実現します。

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