GOPとは?ホテル経営を変える”本当の利益率”の見方と改善方法【2026年版】
「売上は伸びているのに利益が残らない」と感じていませんか。
ホテル・旅館経営では、売上高だけでなく本業の収益力を示す「GOP(営業総利益)」の把握が重要です。
本記事では、GOPの意味や計算方法、業態別の目安、収益改善につながる具体的な活用方法をわかりやすく解説します。
📌 この記事でわかること
GOPとは?ホテル経営における意味と定義
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GOP(営業総利益)の基本概念
GOP(Gross Operating Profit:営業総利益)とは、ホテルが運営によって得た収益から、変動費・人件費・営業に直接関係する経費を差し引いた利益を指します。まず押さえておくべき点として、客室・料飲・スパ・宴会など各部門の稼働状況やコスト効率がそのまま反映されるため、運営の実力が最もわかりやすく表れる指標です。
ホテルの収支は売上の変動が激しく固定費も大きい構造ですが、GOPを把握することで「どの部門が利益を押し上げているか」「どこが重荷になっているか」が明確になります。つまり、GOPは総支配人や経営層が日々のマネジメント判断に使う、運営の中核指標といえます。なお、GOPは国際的なホテル業界の会計基準であるUSALI(Uniform System of Accounts for the Lodging Industry)においても標準的な収益管理指標として位置づけられています。
GOPと一般企業の「営業利益」の違い
一般企業の損益計算書(P/L)上の営業利益は、売上から売上原価・販管費・減価償却費・地代家賃などを差し引いた「本業の最終利益」を表します。一方、ホテルのGOPは、減価償却費や賃料といった所有・投資に紐づく費用を含めない点が大きな違いです。
ホテル業界では「運営(オペレーション)」と「所有(アセット)」が分離しているケースが多く、さらに運営事業者がコントロールできるのは販売力・稼働・人件費・サービス効率などの領域に限られます。だからこそ、運営側の実力を正しく測るには投資要素を排除したGOPが最適なのです。
💡 ここがポイント:GOPには「所有・投資に関わる費用(固定資産税・減価償却費・賃料・金利など)が含まれない」点が最重要です。あくまで「運営の実力」を純粋に測るための利益指標として扱います。
GOPの計算方法とGOP率の出し方
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GOPの計算式
GOPは「営業収入−営業費用」で求めるシンプルな指標です。まず、営業収入には客室売上・料飲売上・宴会・スパなど運営で得られるすべての収入が含まれます。次に、営業費用に含まれるのは、人件費・材料費・水光熱費・クリーニング費・広告宣伝費など、日々の運営に必要な経費です。
経営判断でよく使われるのが、売上に占めるGOPの割合を示すGOP率(=GOP ÷ 営業収入 × 100)です。GOP率は施設規模が異なっても比較できるため、自館の「健康状態」を客観的に把握できます。
図:GOPが算出されるまでの流れ
宴会・スパ等
水光熱費・委託費
映す利益
※ 減価償却費・賃料・固定資産税・金利は含めない
たとえば営業収入が1億2,000万円、営業費用が9,000万円であれば、GOPは「120,000,000 − 90,000,000 = 30,000,000円」、GOP率は「30,000,000 ÷ 120,000,000 × 100 = 25.0%」と計算できます。重要なのは、この数値に所有・投資コストが含まれていない点です。したがって、あくまで運営の実力を映す数字として扱いましょう。
【ツール①】GOP率 自動計算・業態比較
営業収入と費用を入れるだけでGOP率と業態平均との差を判定
営業収入・営業費用・業態を入力すると、GOP・GOP率と業態平均との差を自動で判定します。月次・年次どちらの数値でも計算できます。
業態別の平均GOP率の目安
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業態によりGOP率の”基準値”は異なる
GOP率の適正値は業態によって大きく異なります。客室中心の運営か、料飲などの付帯サービスが多いかによってコスト構造が変わるため、同じGOP率でも前提がまったく異なるからです。まずは下記の目安で、自館がどの水準に位置するかを把握しましょう。
| 業態 | GOP率の目安 | 構造的な特徴 |
|---|---|---|
| ビジネスホテル | 40〜60% | 客室収益中心で効率が高く、人件費比率も低いため利益が出やすい。 |
| リゾートホテル | 20〜40% | 施設が広くサービス種類が多いため、固定費・人件費が重くなりやすい。 |
| シティホテル | 10〜30% | 料飲・宴会の比率が高く原価率・人件費率が上がりやすい。施設規模も大きく固定費がかさむ。 |
| 旅館 | 5〜15% | 料飲や温浴など運営負荷の大きいサービスが多く利益率は低めだが、客単価は高い。 |
※GOP率は会計基準や施設の構造によって変動します。上記は一般的な運営GOPの目安です。なお、国際的なホテル業界団体であるAHLA(American Hotel & Lodging Association)のデータでも、業態ごとのGOP率に大きな開きがあることが示されています。
平均GOP率を把握することで、自館が「適正な利益を出せているか」を客観的に判断できます。稼働・単価は良くてもGOP率が低い場合、コスト構造や業務効率に課題が潜んでいる可能性が見えてきます。さらに、改善の方向性を決める確かな基準となるのが、この業態別比較です。
GOPと関連指標(RevPAR・ADR・OCC)の関係
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ADR・OCC・RevPARの定義と関係性
GOPは重要ですが、単独で見ても改善は進みません。まず、売上を構成するKPIとの関係を理解することで、どこを改善すべきかが明確になります。以下の3つの売上KPIの定義を整理しておきましょう。
そして、これらの売上KPIが最終的にどれだけ利益として残ったかを示すのがGOPです。RevPARが「売上の質」を測る体温計なら、GOPは「コスト込みの収益力」を測る指標、という関係になります。
図:売上KPIと利益指標GOPの階層関係
| 指標 | 何を評価するか | GOPとの関係 |
|---|---|---|
| ADR | 客室の価格水準(単価の質) | 単価が上がれば原資が増え、GOPを直接押し上げる |
| OCC | 客室の売れ行き(稼働) | 固定費回収の土台。一定稼働がないとGOPが伸びにくい |
| RevPAR | ADR×OCCの総合スコア | GOPとの相関が最も強い売上KPI |
| GOP | コスト込みの運営収益力 | 売上KPIが利益として残ったかの最終評価 |
OCC・ADR・RevPARはいずれも売上側の指標で、コストは反映されません。だからこそ、これらが改善してもGOPが伸びない場合は「コスト構造に問題がある」というサインになります。各指標の詳細は、RevPAR(レブパー)とは?、ホテルのADRとは?、ホテルの稼働率(OCC)とは?もあわせてご覧ください。
GOPが伸びない3つの失敗パターン
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自館がどのパターンに当てはまるかを確認する
「稼働も単価も悪くないのにGOPが低い」——支援の現場で最も多いのがこのケースです。GOPが伸びない原因は、大きく3つのパターンに分かれます。
OTA依存が進み手数料が売上の15〜20%を占めている/直販率が低い/繁忙期でもADRを上げられていない。客室部門の収益が弱い場合、まず単価(ADR)が適正か、競合と比べてポジションがずれていないかを確認しましょう。さらに、直販率を上げるだけでもGOPが大きく改善するケースは少なくありません。
シフトの過剰配置が常態化している/清掃委託費の生産性が低い/食材ロスや仕入れ単価の改善余地が放置されている。「費用は発生しているのに利益貢献が弱い部門」があれば、優先的に改善が必要です。これらは日常運営で見落とされがちですが、改善すれば速やかにGOPに反映されます。
売上が増えるとコストも同じだけ増える/部門別の損益が把握できていない/改善の優先順位を感覚で決めている。売上に比例してコストが膨らむ構造は健全とはいえません。結果として、売上が多少落ちても利益率を維持できる体制が理想です。この段階では、まず部門別GOPの可視化から始める必要があります。
内製の限界とプロとの差
「担当者頼み」のコスト管理が招くリスク
まず部門別にコストと利益を分解し、月次で自動集計する仕組みを作ることが「内製の限界」を突破する第一歩です。
プロとの差——専門家が持つ「3つの武器」
運営支援の専門家は、自館の担当者が「なんとなくコストが高い気がする」段階に留まる間に、「どの費目を削れば利益が何円増えるか」を数字で示します。具体的には、次の3つを組み合わせて意思決定します。
| 自館の担当者(内製) | 運営支援のプロ | 差が出る領域 |
|---|---|---|
| 感覚的にコストを把握 | 部門別GOPを数値で分解 | 利益源の特定 |
| 自館データのみで判断 | 全国同業態とベンチマーク比較 | 立ち位置の客観化 |
| 改善効果が読めない | 施策ごとのGOP改善幅を試算 | 投資対効果の定量化 |
この差が、半年後・1年後の収益格差として現れます。まずは自館の現在地を客観的に知ることから始めたい方は、無料の宿の健康診断もご活用ください。
【ツール②】GOP改善ボトルネック診断
8問で「売上側・コスト側・構造問題」のどこに課題があるか自動判定
以下の8問にはい/いいえで回答すると、自館の課題が「売上側」「コスト側」「構造問題」のどこにあるかを自動で判定します。現状把握と改善の優先順位付けに活用してください。
GOP改善の具体策|売上側とコスト側の両輪
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短期で効果が出やすい施策
GOPを最大化するには、売上側とコスト側の両方からのアプローチが欠かせません。どちらか一方だけでは効果が限定的になりがちです。まず短期で効きやすい施策から整理します。
中長期で効果が出る施策
売上とコストの両面から改善を進めることで、GOPの底上げが継続的に行えるようになり、ホテル全体の収益基盤が安定していきます。直販強化やダイナミックプライシングの具体策はホテルの売上最大化、OTA手数料の比較もあわせてご覧ください。
GOPPARとの違いと使い分け
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GOPPARとは何か
GOPと混同されやすい指標にGOPPAR(Gross Operating Profit Per Available Room:販売可能客室1室あたりの粗営業利益)があります。GOPPAR = GOP ÷ 販売可能客室数 で求め、GOPを「客室1室あたり」に換算した指標です。GOPが施設全体の利益額を示すのに対し、GOPPARは規模の異なる施設どうしを公平に比較できます。RevPARが「1室あたりの売上」を示すのと対になる、「1室あたりの利益」の指標と考えるとわかりやすいでしょう。
| 指標 | 主な用途 | 判断の場面 |
|---|---|---|
| RevPAR | 1室あたり売上の管理・競合比較 | 日々の価格・稼働モニタリング |
| GOP | 施設全体の運営収益力の把握 | 月次・四半期の利益レビュー |
| GOPPAR | 1室あたり利益・コスト構造の評価 | 投資判断・施設間比較 |
RevPARで売上を管理し、さらにGOP/GOPPARで利益を管理する——この使い分けが実務では有効です。RevPARが高いのに利益が残らない場合は、コスト構造を疑うサインといえます。RevPARとの関係はRevPAR(レブパー)とは?もあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
GOPに関するよくある疑問
まとめ:GOPを軸に利益の残る体質へ
「売上は戻ったのに利益が残らない」を抜け出す
「売上は戻ったのに利益が残らない」——その原因の多くは、GOPの管理不足にあります。GOPは「営業収入−営業費用」で求める、ホテル運営の本当の利益率を示す指標です。所有・投資コストを除いた「運営の実力」を映すため、自館のどこに改善余地があるかを最も正直に教えてくれます。
「自館のGOP率がどの水準か」を知りたい方は、上のGOP率 自動計算ツールとボトルネック診断をぜひ試してみてください。現在地と次の一手が明確になります。
GOP改善は、販売・運営・人員配置・コスト管理など複数の要素を一体で最適化する必要があり、日々のオペレーションを抱える施設では優先順位の判断が難しいのも事実です。「どこから手をつければGOPが最も伸びるか」を可視化し、現場で実行できるレベルまで落とし込みたい場合は、運営支援に強みを持つリロホテルソリューションズへお気軽にご相談ください。
【監修者情報】
全国50施設以上のホテル・旅館を運営するグループ企業のノウハウを活かし、宿泊施設の売上向上とGOP最大化を支援するコンサルティング会社。
価格戦略、OTA運用、人件費最適化、業務効率化まで踏み込み、利益の残るホテル経営を実現します。



