コラム

2026.04.10

ホテルのマーケティング戦略とは?売上・利益を最大化する設計と実践手法【最新版】

ホテルのマーケティング戦略とは?売上・利益を最大化する設計と実践手法【最新版】

「SNSも、OTAも、口コミ対策もやっている。しかし、なぜか利益が残らない」——そう感じているホテル・旅館の経営者は少なくありません。

原因は、施策の数ではありません。そのため、新しい施策を追加しても状況は変わりません。なぜなら、集客から予約・収益までをつなぐ「設計」が抜けているからです。たとえば、SNSのフォロワーが増えても予約ページへの導線がなければ、売上にはつながりません。

本記事では、ホテル・旅館経営に即したマーケティング手法の全体像を整理します。さらに、自社に合う手法の選び方・設計の3ステップ・施策ごとのKPI・実際の改善事例まで、現場で使える形で解説します。

📌 この記事でわかること

ホテルマーケティングの主要7手法と、自社に合う選び方の基準
「施策を増やしても利益が残らない」構造的な原因と設計の直し方
施策ごとに測るべきKPIと、収益指標(RevPAR・GOP)との接続方法
📣 この記事はこんな方に向けて書いています
OTA依存の集客から脱却したいホテル・旅館経営者
施策は動かしているが利益が残らない施設の担当者
マーケティング戦略を体系的に整理したいWEB・販促担当者

なぜ施策を動かしても利益が残らないのか

よくある失敗構造

多くの施設で見られる失敗パターンは、一つに集約されます。

たとえば、競合が値下げすれば自分も値下げし、OTAの手数料が上がれば新プランを追加して対応する——いわゆる「後追いの施策対応」です。つまり、この状態を続けるかぎり、売上は動いても利益はコントロールできません。なぜなら、施策の前に「設計」がないからです。

さらに重要なのは、こうした後追い対応が現場の疲弊を生み出す点です。施策が増えるほど担当者の負荷は上がり、しかし成果は改善しないという悪循環に陥ります。したがって、施策の数を増やすより先に、収益構造の全体像を把握することが必要です。

SELF CHECK
あなたの宿のマーケティング、
利益を生む設計になっていますか?
当てはまる項目をすべてチェックしてください(複数選択可)
  • OTA経由の予約が全体の70%以上を占め、手数料コストが重くのしかかっている
  • 稼働率は高い時期があるのに、月末の利益が想定より薄い・残らない
  • 「空室が怖い」ので、とりあえず値下げで埋めることが習慣になっている
  • SNSやブログを運用しているが、予約への導線が設計されていない
  • 施策ごとの成果を数字で把握できておらず、感覚や経験で判断している
  • 自社サイトへの予約よりOTAからの予約のほうが取りやすいと感じている
  • 競合ホテルに対して「価格以外の優位性」を言語化できていない
0 / 7
— 診断待ち —
上の項目をチェックすると診断結果が表示されます
当てはまる項目が多いほど、収益が構造的に漏れている可能性があります。
NEXT STEP
課題が見えてきたら、まず現状を数値で把握するところから始めましょう。リロの宿診断では、自施設の収益構造を5段階で客観的に評価できます。
宿の健康診断を受けてみる
無料・費用不要・3分で申込完了
⚠ このまま放置すると
複数の課題が重なっている状態は、施策を追加するだけでは解消されません。まず「どこが漏れているか」を特定することが先決です。宿の健康診断で現状を可視化し、優先すべき改善ポイントを確認してください。
無料で宿の健康診断を受ける
費用・契約不要 / 5段階(A〜E)評価で現状を判定
🚨 早急な対応が必要です
この状態が続くと、繁忙期・閑散期を問わず利益が積み上がらない経営が定着します。リロホテルソリューションズでは、現状の収益構造を無料で診断し、根拠と対策案を具体的にお伝えしています。まず現状を数値化することから始めましょう。
今すぐ無料診断を申し込む
費用・契約不要 / 診断結果に基づく具体的な改善提案あり

リロホテルソリューションズが支援に入る施設の大半で、このいずれかに該当します。つまり、問題は「施策が間違っている」のではなく、施策を動かす前に設計すべきターゲット・コンセプト・指標が不在のまま動いていることです。言い換えれば、設計という土台なき施策は、打っても打っても利益に変換されないのです。

内製対応の限界——なぜプロとの差が出るのか

「自社でもできるはずだ」と考える経営者は多く、実際に試みる施設も少なくありません。しかし、実務上の壁がいくつか存在します。まず、担当者が施策の実行と日常業務を兼任するため、PDCAを回す時間が確保できません。また、データを見る習慣がなければ、改善の方向性を誤ったまま続けることになります。

さらに、プロが持つのは「施策の知識」だけではありません。なぜなら、数百施設の支援から得た「失敗パターンの蓄積」が判断精度を高めるからです。したがって、特に収益改善を急ぐ局面では、専門家の伴走を検討することが現実的な選択肢となります。


設計を変えたら何が起きたか——改善事例

改善の全体像

ここで重要なのは、施策を増やすことではありません。

次の事例は、リロホテルソリューションズが支援した東北エリアの温泉旅館のケースです。新しい施策を追加するのではなく、既存の集客導線と価格設計を見直すだけで収益構造が大きく変化しました。つまり、設計を変えることで現場は変わります。

項目 支援前(BEFORE) 支援後6ヶ月(AFTER)
OTA依存率 78% 61%(自社予約比率32%へ)
ADR(客室平均単価) 8,400円 11,200円(+33%)
RevPAR(販売可能客室1室あたり収益) 基準値 +22%向上
収益状況 赤字 黒字転換

よくある失敗パターンとの違い

何を変えたか

新施策の追加はゼロ。実施したのは①OTAプランの整理、②自社サイトへの予約導線強化、③コンテンツ記事3本による検索流入確保、④早期予約特典の設計——この4点のみです。「施策を増やす」のではなく「設計をつなぐ」だけで収益構造が変わりました。

なお、こうした改善は内製で試みた場合、現場スタッフの時間と専門知識の両方が必要となります。したがって、外部の専門家が伴走することで実現のスピードが大幅に上がる点も、この事例の重要な教訓です。

つまり、マーケティングの成否は「何の施策を使うか」より、施策同士がどう接続されているかで決まります。また、その接続を設計できるかどうかが、内製と専門家支援の最大の差でもあります。


7つのマーケティング手法

手法 効果が出るまで コスト感 特に向く施設
①ブランドMG 6〜12ヶ月〜 差別化に悩む施設
②コンテンツMG 3〜6ヶ月〜 自社予約を増やしたい施設
③SNS MG 1〜3ヶ月〜 ビジュアル資産がある施設
④口コミMG 即時〜3ヶ月 全施設(特にOTA依存施設)
⑤デジタルMG 1〜6ヶ月 高〜中 短期で予約数を伸ばしたい施設
⑥アウトバウンドMG 施策による シニア層・地域密着施設
⑦インフルエンサーMG 投稿後〜1ヶ月 20〜40代女性ターゲット施設
🎯 TOOL 01 / 施策優先度スコアラー
今すぐ着手すべき施策がわかる|6問で判定

自社の状況に当てはまるものをすべて選んでください。チェックの組み合わせから、今最も優先すべき施策を判定します。

  • OTA経由の予約が多く、手数料コストが重い
  • 競合との違いや強みが言語化できていない
  • SNSアカウントはあるが更新が止まっている・反応が薄い
  • 口コミ評点が低い、または口コミ数が少ない
  • 自社サイトへのアクセスが少なく、検索からの流入がほぼない
  • シニア層や地域客が多く、ネット以外の集客を強化したい

① ブランドマーケティング:「選ばれる理由」を設計する

ブランドマーケティングとは、「自社がなぜ選ばれるのか」という理由を施設全体で一貫して表現することです。ロゴやWebサイトだけではありません。客室のコンセプト・接客スタイル・SNS発信のトーンに至るまで、すべてに共通の世界観を持たせます。

「静かな大人の隠れ家」「愛犬と過ごせる温泉リゾート」など明確なコンセプトがある施設は、価格だけでなく共感・ストーリーで選ばれるため、値下げ競争から抜け出しやすくなります。つまり、ブランドとは「また来たい・誰かに教えたい」という感情を設計することです。デザインだけでは作れません。さらに、ブランド設計が定着するまでには時間がかかるため、早期着手が中長期の競争優位につながります。

支援施設の多くで、「売りにしたいこと」と「実際に発信していること」がずれているケースが見られます。コンセプト設計の前に、まず「今何を発信しているか」の棚卸しから始めることを推奨しています。

② コンテンツマーケティング:検索から自社予約へつなぐ

コンテンツマーケティングは、顧客が「検索する前」から「予約するまで」の行動に沿って、役立つ情報を提供し続ける手法です。ブログ記事・観光ガイド・FAQ・メールマガジンなどが代表的なコンテンツです。

OTA経由でなく自社サイトへ直接誘導できるため、OTA手数料負担なしで予約を獲得できます。しかし、重要なのは「記事を書く」ことではなく「予約への導線を設計すること」です。なぜなら、良い記事があっても予約ページへの導線がなければ、訪問者は別サイトで予約してしまうからです。したがって、コンテンツは導線設計とセットで機能します。

支援施設の約6割でコラムページがあるものの、記事から予約画面への導線を設計せずに放置していました。コンテンツは「書いたら終わり」ではなく、設計されて初めて機能します。

③ SNSマーケティング:日常的な接点でファンを育てる

InstagramやX(旧Twitter)は、旅行の「きっかけ」をつくる場として機能します。なぜなら、旅行者は宿泊先を選ぶ際にSNSで雰囲気を確認するからです。朝食の写真・季節の風景・スタッフの日常など、「行きたい」と思えるコンテンツを継続投稿することで、認知から興味・検索・予約へとつながります。

宿泊者がハッシュタグをつけて投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、広告よりも高い信頼性を持ちます。つまり、「泊まった人が勝手に発信したくなる体験」の設計がSNS最大の武器です。さらに、この体験設計は施設のサービスと直結するため、マーケティング担当だけでなく現場スタッフ全体で取り組む施策でもあります。

「アカウントはあるが2〜3ヶ月更新が止まっている」施設を多く見ます。ゼロ更新と毎日更新では信頼度に大きな差が出ます。週2〜3回の更新を維持できる体制設計から始めることを推奨しています。

④ 口コミマーケティング:最も費用対効果の高い施策

Googleマップ・じゃらん・楽天トラベル・Tripadvisorにおける口コミ評価は、新規利用者の意思決定に直接影響します。さらに、OTA内の検索順位にも影響するため、集客コスト削減にも直結します。

たとえば、チェックアウト後のメールで投稿を依頼する、フロントで案内する、次回クーポンと交換するなど、積極的に口コミを「設計して集める」姿勢が重要です。なお、この施策はコストがほぼかからないため、規模を問わず最初に着手すべき施策の一つです。

口コミ平均評点が4.0→4.4に改善した施設では、OTA内の検索順位が約2ランク上昇し、同一プランでの予約数が6週間で28%増加した事例があります。口コミは「運」ではなく「設計」で変えられます。

⑤ デジタルマーケティング:Web全体を予約エンジンにする

自社Webサイト・OTA・Google広告・SEO・メール施策などを統合的に活用して、Web全体を「予約を生み出す仕組み」として機能させることです。特に重要なのがGoogleビジネスプロフィールとGoogleホテル検索の最適化です。正確な情報・写真・価格を常に最新の状態に保つことで、検索から直接予約へつなぐルートが確保できます。

また、デジタルマーケティングは施策の数が多い分、内製で全体最適化を図るには専門知識が必要です。したがって、まずは自社サイトのスマートフォン表示とGoogleビジネスプロフィールの最適化という「0円でできる改善」から着手することを推奨します。

Webサイトのスマートフォン表示を確認していない施設が驚くほど多く見られます。予約者の70%以上がスマートフォンで行動しているにもかかわらず、PC前提のレイアウトのままになっているケースは即改善が必要です。

⑥ アウトバウンドマーケティング:リーチが難しい層に届ける

テレビCM・ラジオ・新聞・交通広告など、マスメディアを活用したプッシュ型の集客手法です。特に、インターネットに不慣れな高齢者層や地域密着の顧客層に有効です。

たとえば、地方紙での温泉特集や電車内広告での季節限定プランの掲載は、ターゲット層の生活動線に合わせたメディア選定の好例です。さらに、デジタル施策と組み合わせてWebへのQRコードを入れるなど、オンラインとの接続を意識した設計を推奨します。なお、アウトバウンドはコストが高い傾向があるため、費用対効果を測定しながら継続判断することが重要です。

⑦ インフルエンサーマーケティング:「行きたい」感情を演出する

SNSで影響力を持つインフルエンサーに施設を体験してもらい、フォロワーへ拡散する手法です。特に20〜40代女性をターゲットとする施設や、ビジュアル訴求力の高いホテル・リゾートに向いています。

しかし、フォロワーが多い大型インフルエンサーより、ターゲット層との親和性が高いマイクロインフルエンサー(フォロワー1〜10万人程度)のほうがCV率が高い傾向があります。つまり、属性の一致を重視した選定が、コンバージョン率向上の鍵です。また、インフルエンサーの選定基準を事前に設けることで、期待外れの投稿が減り、投資対効果が高まります。


自社に合う戦略を選ぶ3ステップ

戦略設計の全体フロー

「どれも重要そう」と感じたなら、それが最大の落とし穴です。すべてに手を出すと、どれも中途半端に終わります。したがって、以下の3ステップで優先度を絞ることが、実行力を生む最短ルートです。

ステップ1:ペルソナ設定——「誰に届けるか」を具体化する

既存顧客データを分析し、年齢・性別・旅行目的・趣味嗜好・情報収集手段をもとに具体的な顧客像(ペルソナ)を1〜2パターン設定します。たとえば、「30代夫婦・温泉好き・Instagram派・予算1泊2万円」のように具体化するほど、取るべき手法が自然と絞られます。なぜなら、ペルソナが曖昧なままでは、どの施策も中途半端になるからです。

ステップ2:強み・競合分析——「どこで戦うか」を決める

SWOT分析で自社の立ち位置を整理します。そのうえで、競合のOTA評点・SNSフォロワー数・サイト充実度を比較し「勝てる土俵」を特定します。全方位で戦う必要はありません。つまり、1〜2の強みに集中することが現実的であり、かつ最も成果が出やすいアプローチです。

ステップ3:コンセプト設計——「何を・誰に・どう届けるか」を言語化する

ステップ1〜2の結果をもとに、「誰に・どんな価値を・どのように届けるか」を1文で表現します。たとえば、「OTA依存を脱却し、夫婦旅ターゲットの自社予約をコンテンツとSNSで獲得する」のように具体化します。この一文が現場を動かす軸になります。さらに、コンセプトが決まることで、各施策の取捨選択基準が生まれ、チーム内での認識も揃いやすくなります。


マーケティング戦略の実行ポイント

現場で起きているズレ

戦略が机の上で終わる理由はほぼ一つ——担当と指標と期限が決まっていないことです。営業・フロント・広報など各部門との連携体制を整え、以下の3点を最初に決めることで実行率が大きく変わります。なお、この「実行の仕組み化」こそが、内製とプロ支援の最も大きな差の一つでもあります。

▲ 実行率を上げる3原則

  • 担当を一人に絞る。複数部門が関与するほど誰も動かなくなります。したがって、責任者を明確にし、権限と期限を与えることが先決です。
  • 月次レビューを習慣にする。KPIを月に一度確認し、「上がったか・下がったか・なぜか」を3行で記録するだけでPDCAが回り始めます。つまり、数字を見る習慣が改善サイクルをつくります。
  • 小さく始めて、数字で判断する。まず1〜2の施策を3ヶ月試し、数字を見て継続・改善・撤退を判断する。この繰り返しが確実に成果につながります。

成功事例から学ぶ 顧客を惹きつけるホテルマーケティングの秘訣

ここからは、独自の取り組みで集客やブランド力を高めたホテルの成功事例を4つ紹介します。SNSの活用、体験価値の演出、明確なコンセプト設計など、それぞれの工夫が収益向上にどう結びついたかを見ていきましょう。

成功事例に共通する「設計の思想」

以下の4事例はいずれも、施策の種類よりも「誰に・何を・どう届けるか」の設計が先にあった点が共通しています。つまり、施策の実行前に設計があるからこそ、各施策が機能します。また、いずれの施設も「設計→実行→検証」のサイクルを継続することで成果を積み上げており、一度の施策で完結していない点も重要です。

SNSマーケティング〜ゆるり熱海 with DOGS

SNSマーケティング〜ゆるり熱海 with DOGS

出典:ゆるり熱海 with DOG公式サイト

「ゆるり熱海 with DOGS」は、静岡県熱海市に位置するペット同伴型温泉リゾートです。全国の愛犬家を主なターゲットに、SNSを駆使したマーケティングで高いブランド認知と集客効果を実現しています。

項目内容
施設名 ゆるり熱海 with DOGS(静岡県熱海市)
ターゲット 愛犬家、ペット連れ旅行者
主なSNS Instagram、X(旧Twitter)
主要施策 ハッシュタグ活用、写真・動画投稿、リポスト、コメント対応
結果 SNSからの新規集客増加、リピーター増、地域認知度向上

フォトスポットやペット用設備を活かした「シェアしたくなる」映え写真の発信、宿泊者投稿のリポストによるリアルな声の活用、独自ハッシュタグによる拡散促進——こうした施策の組み合わせにより、愛犬家コミュニティ内での認知が広がりました。つまり、ターゲットを絞ることで、SNSの拡散力が最大限に活きた好例です。

エクスペリエンスマーケティング〜フォートリート+那須高原

エクスペリエンスマーケティング〜フォートリート+那須高原

出典:フォートリート+那須高原公式サイト

項目内容
施設名 フォートリート+那須高原(栃木県那須町)
ターゲット 忙しい日常から離れ、癒しを求める大人層
主な施策 よもぎ蒸し、貸切風呂、地産食材の料理、静寂空間、音楽・読書演出
結果 感情価値の創出、リピート意欲喚起、価格競争の回避

「見る・聴く・味わう・香る・触れる」の五感で癒す空間設計と、地元食材・ハーブを用いた飲食の演出により、記憶に残る体験がSNSや口コミでの拡散を生み、価格ではなく「体験の質」による差別化に成功しています。つまり、体験設計がそのままマーケティングになっている好例です。

コンセプトマーケティング〜秋保風雅

コンセプトマーケティング〜秋保風雅

出典:秋保風雅公式サイト

項目内容
施設名 秋保風雅(宮城県仙台市・秋保温泉)
ターゲット 30代後半〜50代のカップル・夫婦、アクティブシニア、静かに過ごしたいソロ客
コンセプト 夜を愉しむ大人の宿
主な施策 夜ラウンジ、照明・暖炉などの空間設計、夜に合う創作会席
結果 SNSや口コミでの高評価、価格競争を回避、リピーター増加

オリジナルカクテルと〆パフェを提供するラウンジ「夢寐」、アートや間接照明による「夜の余白」を大切にした空間設計——「意味のある夜」という非日常の提案が、価格ではなく「過ごし方の価値」で選ばれる宿への転換を実現しました。つまり、コンセプトが明確であればあるほど、それを好む顧客が集まりやすくなることが、この事例から読み取れます。

体験型マーケティング〜ゆとりろ那須塩原

体験型マーケティング〜ゆとりろ那須塩原

出典:ゆとりろ那須塩原公式サイト

項目内容
施設名 ゆとりろ那須塩原(栃木県那須塩原市)
主な施策 ゆとりろファームスタジオによる地域体験の提供
提供コンテンツ 栃木県産いちごのいちごミルク、地元牛乳などの提供
対象層 家族連れ、都市圏からの旅行者
主な効果 顧客満足度向上、SNS口コミ拡大、地域連携による活性化

牧場を模した休憩空間で「地域らしさ」を体感できる設計と、地元食材を使ったオリジナルメニューにより、滞在満足度の向上とリピート意欲の醸成、さらに地元農家との連携による地域経済の活性化にもつながっています。また、地域との連携は「地元で応援される施設」というブランド価値も生み出しており、中長期的な集客にも寄与しています。


施策ごとに測るべきKPIと収益指標

成果は感覚ではなく数値で把握する必要があります。施策ごとに「何を測るか」を最初に決めておかなければ、PDCAは回りません。なぜなら、改善の根拠がなければ次の一手が判断できないからです。したがって、施策の実行前にKPI(Key Performance Indicator)と目標値を決めることが、マーケティング改善の基本ルールです。

施策別KPI一覧

以下の表は、施策ごとに設定すべき主要KPIと目標の目安を整理したものです。たとえば、コンテンツマーケティングであれば自然検索流入数とCV率、SNSであればエンゲージメント率(engagement rate)とURLクリック数が主要な指標となります。また、RevPAR(Revenue Per Available Room)・ADR(Average Daily Rate)・OCC(Occupancy Rate)は、どの施策においても最終的な収益への貢献を測る共通指標として機能します。さらに、ROI(Return on Investment)やROAS(Return on Advertising Spend)などのコスト対効果指標も、デジタル広告施策では必ず確認すべき数値です。

施策 主要KPI 目標の目安
コンテンツMG 自然検索流入数・自社予約CV率 記事公開後3ヶ月でセッション+30%
SNS フォロワー数・エンゲージメント率・URLクリック数 エンゲージメント率3〜5%以上
口コミ 平均評点・月間投稿数・OTA検索順位 平均評点4.2以上・月間10件以上
デジタル広告 ROAS・予約獲得単価・直接予約比率 ROAS 300%以上
インフルエンサー リーチ数・保存数・施設名検索数の変化 投稿後2週間の施設名検索数+20%

RevPAR・ADR・OCCの関係性——収益指標の読み方

ホテル経営における3つの基本指標(RevPAR・ADR・OCC)は、それぞれ単独では判断材料として不十分です。したがって、3指標をセットで見ることが、収益改善の精度を高めます。

指標 定義 マーケティングとの関係 単独使用の限界
RevPAR 販売可能客室1室あたりの収益。ADR×OCCで算出 全施策の最終成果を一つの数値で評価できる最重要KPI 経費・利益は反映しない
ADR 客室平均単価。販売された客室の平均販売価格 ブランドMG・RM施策の成果が直接反映される 空室の影響を無視している
OCC 客室稼働率。販売可能客室数に対する販売済み客室の割合 集客・販促施策の成果が直接反映される 単価の高低を反映しない

RevPAR = ADR × OCC——この関係を理解することがマーケティング施策の設計に直結します。つまり、稼働率(OCC)を上げるために単価(ADR)を下げすぎると、RevPARは改善されません。レベニューマネジメントの視点で「OCCとADRの最適な組み合わせ」を意識することが、収益最大化の核心です。また、最終的な利益の評価にはGOP(粗営業利益)もあわせて確認してください。

✅ TOOL 02 / 判断チェッカー
自社のOTA依存度を判定|あなたの施設は「自立型」ですか?

当てはまる項目を選択してください。チェック数に応じてOTA依存リスクを判定します。

  • OTA経由の予約が全体の60%以上を占めている
  • 自社公式サイトに予約エンジン(直接予約ボタン)が設置されていない
  • OTAと自社サイトで同じ料金・同じプランしか出していない
  • メールマガジンやLINEなど顧客への直接リーチ手段を持っていない
  • OTAの手数料率(平均)が15%を超えている
  • リピーター顧客のデータ(名前・連絡先・利用歴)を自社で管理していない
項目を選択すると判定結果が表示されます
6項目中何個当てはまるかで依存リスクを判定します

よくある質問

小規模の旅館でもマーケティング戦略は必要ですか?
規模は問いません。客室数が少ないからこそ、1室あたりの単価と稼働率を最適化するマーケティング設計が収益に直結します。むしろ大規模ホテルよりターゲットを絞った施策が刺さりやすく、成果が出やすいケースも多くあります。つまり、規模が小さいほど「選択と集中」の効果が大きく出ます。
OTAをやめて自社予約だけにすることはできますか?
現実的ではありません。OTAは集客チャネルとして引き続き有効なため、完全撤退は機会損失につながります。目指すべきは「OTA依存からの脱却」ではなく「OTAと自社予約の最適な比率設計」です。したがって、自社予約比率30〜40%を目標に、段階的にシフトするアプローチを推奨します。
マーケティング担当者がいない施設はどこから始めればいいですか?
まず口コミ評点の改善と、自社Webサイトのスマートフォン表示確認から始めてください。どちらもコストがかからず即日対応できます。担当者不在でも動かせる施策に絞って着手し、成果が出てから体制を整えることが現実的な順序です。つまり、「できることから小さく始める」が最短ルートです。
SNSのフォロワーが増えても予約に結びつきません。なぜですか?
SNSプロフィールから予約ページへの導線が設計されていないことが最大の原因です。なぜなら、どれだけフォロワーが多くても、予約ページへの道筋がなければ離脱するからです。プロフィールURLを予約ページに直結させる、投稿キャプションに予約リンクを記載するなど、「認知→予約」の導線を意識的に設計することで改善できます。
効果が出るまでどのくらいかかりますか?
施策によって異なります。口コミ改善・Googleビジネスプロフィール最適化は1〜2ヶ月で変化が出ることがあります。コンテンツMG・SEOは3〜6ヶ月が目安です。ブランド設計は6〜12ヶ月以上の視点が必要です。したがって、まず短期で成果が出る施策から着手し、中長期の施策を並行して育てることを推奨します。

まとめ:ホテルマーケティングは「設計」が9割

収益改善のための重要ポイント

成果が出ない原因は、施策の選択ではありません。設計が抜けていることが根本にあります。つまり、以下のポイントが収益改善の近道です。

  • 「施策を増やす」より「施策をつなぐ設計」がマーケティング成功の本質
  • OTA依存・値下げ依存の収益構造は、設計の見直しで変えられる
  • 7つの手法は「コスト・効果期間・施設タイプ」で優先度を選ぶ
  • ペルソナ設定→競合分析→コンセプト設計の3ステップが実行の土台
  • RevPAR・ADR・OCCの3指標をセットで見ることが収益管理の基本
  • 担当・指標・期限の3点を決めることが施策を動かし続ける条件
  • 内製では限界がある場合、専門家の伴走が改善スピードを大幅に高める

なぜ「設計」が先でなければならないのか

ホテル・旅館のマーケティングで最も多い失敗は、「施策の実行」を「設計」より先に行ってしまうことです。たとえば、SNS投稿を増やしても予約への導線がなければ意味がありません。また、コンテンツ記事を公開しても、検索キーワードとターゲット顧客がずれていれば集客にはつながりません。したがって、どの施策を選ぶかより、「誰に・何を・どう届けるか」を先に決めることが最優先です。

なぜなら、設計がなければ施策はバラバラに動き、成果を測ることもできないからです。さらに、設計があれば担当者が変わっても一貫した方向性を維持できます。つまり、設計は施策の効果を最大化する「土台」であり、これなしには何を追加しても収益改善にはつながりません。

OTA依存からの脱却は段階的に進める

OTAをゼロにすることが目標ではありません。しかし、OTA依存が70%を超えている施設では、手数料負担が収益を構造的に圧迫し続けます。したがって、まず自社予約比率を30〜40%まで高めることを当面の目標として設定し、コンテンツマーケティング・口コミ対策・Googleビジネスプロフィールの最適化から着手することを推奨します。

なぜなら、これらはコストがほぼかからず、かつ効果が数ヶ月以内に現れやすい施策だからです。たとえば、口コミ評点が0.3ポイント改善するだけでOTA検索順位が上がり、同じ手数料負担でも露出が増えるという好循環が生まれます。また、Googleビジネスプロフィールの写真・営業時間・価格情報を最新に保つだけで、検索からの直接流入が増えた事例も多くあります。

小さく始めて、数字で判断する

すべての施策を同時に動かす必要はありません。まず1〜2の施策に絞り、3ヶ月間数字を追うことが最も現実的な進め方です。たとえば、最初の1ヶ月は口コミ件数と評点を週次で確認し、2ヶ月目からSNSの投稿頻度を週2回に固定する——このように段階的に積み上げることで、担当者の負荷を抑えながら成果を出せます。

また、RevPARとADR・OCCを月次でモニタリングする習慣をつけることが、施策の効果測定の基本となります。なぜなら、数値で把握できていなければ、改善しているのか悪化しているのかさえわからないからです。したがって、どの施策に着手するより先に、現状の数値を把握する仕組みを作ることが最初の一歩です。

株式会社リロホテルソリューションズでは「90日で黒字化」をスローガンに、マーケティング戦略の設計からOTA対策・コンテンツ構築・販促企画まで一貫して支援しています。また、数百施設の支援実績から得た失敗パターンの知見を活かし、施設ごとの課題に応じた具体的な改善提案を行っています。「何から手をつければいいかわからない」という方は、まず現状の課題を整理するところからご一緒します。

株式会社リロホテルソリューションズ

【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。

CONTACT

【サービス資料】90日で黒字化ホテル・旅館を再生

資料をダウンロードする Download

【無料宿診断】リロの“プロ”と課題対策を始める

宿診断お申し込み Free