RevPAR(レブパー)とは?計算式・業界平均・改善策を解説【自動計算ツール付】
RevPAR(レブパー)とは、ADR(客室平均単価)×OCC(客室稼働率)で計算する、ホテル収益の最重要KPIです。
OTA手数料が20%、人件費が30%——売上は伸びているのに「なぜか利益が残らない」と感じたことはないでしょうか。その原因の多くは、RevPARの管理不足にあります。稼働率を上げるために単価を下げ続けた結果、忙しいのに利益が残らない構造が出来上がっているのです。
RevPARは、ADR(客室単価)とOCC(稼働率)のバランスを一目で示す、ホテル収益の「体温計」です。この数値を正しく見ていない限り、どれだけ稼働が上がっても利益は改善しません。
本記事では、RevPARの意味・計算式・業界平均の目安から、GOPPARとの使い分け・ADRやOCCとの関係、そしてRevPARを継続的に向上させるための具体的な施策まで、現場で使える形で解説します。
📚 この記事の目次
📌 この記事でわかること
RevPARとは?意味と定義
RevPAR(レブパー:Revenue Per Available Room)とは、ホテルが保有する販売可能な客室全体から得られる収益を、1室あたりに換算した指標です。
OCC(稼働率)が高くても単価が低ければ収益は伸びず、逆に単価が高くても空室が多ければ機会損失が生じます。RevPARはこの2つのトレードオフを同時に評価できるため、ホテル経営における最重要指標のひとつとして広く使われています。
この記事が特に刺さる施設
・OTAからの予約が売上の半分以上を占めている
・稼働率は高いのに利益が思うように残らない
・繁忙期の価格設定を感覚や競合横並びで決めている
——心当たりがある方は、RevPARの見直しが収益改善の最短ルートです。
⚠️ RevPARを見ていない宿が陥るリスク
稼働率が高いのに赤字——これは珍しいことではありません。「とにかく部屋を埋める」という発想のまま運営を続けると、知らず知らずのうちに安売り地獄に陥ります。RevPARを管理していない施設は、繁忙期に取れたはずの利益を毎年取り逃がし続けています。
RevPARの計算式
RevPARは以下2通りの方法で計算できます。どちらを使っても同じ結果になります。
計算式①(通常版)
計算式②(直接計算版)
たとえばADRが12,000円、OCCが70%の場合、RevPARは8,400円です。また100室のホテルで月間客室売上が840万円であれば、1室あたりのRevPARは84,000円(月次)となります。
RevPAR計算シミュレーター
自施設のADRとOCCを入力すると、RevPARを即座に計算できます。
RevPARを改善するには、ADRを上げるかOCCを上げるか、あるいは両方を同時に動かす必要があります。どちらを優先すべきかは、自施設が「単価不足」なのか「稼働不足」なのかを先に切り分けることが出発点です。
RevPARが重視される3つの理由
①「売り方の質」を一つの数値で評価できる
RevPARはADRとOCCを掛け合わせた指標のため、「価格を上げて稼働率が下がった場合」も「稼働率は上がったが単価が下がった場合」も、収益への影響を正直に反映します。
| ホテルA | ホテルB | |
|---|---|---|
| ADR | 4,500円 | 7,500円 |
| OCC | 100% | 60% |
| RevPAR | 4,500円 | 4,500円 |
2つのホテルのRevPARは同じですが、ホテルBは稼働率を40%上げる余地があります。価格を維持しながらOCCを改善すれば、RevPARはホテルAを大きく上回れます。RevPARはこうした「成長余地」の判断にも使えます。
②競合比較のベンチマークに使える
RevPARは施設規模に関わらず比較できるため、競合ホテルとの相対評価に最適です。競合より低ければ価格設定か集客に課題があり、高ければその強みを持続させる戦略を取ります。自施設のRevPARを業界平均と比較することで、課題が「ADRなのかOCCなのか」を切り分ける出発点になります。
③レベニューマネジメントの中核KPIである
需要予測・価格調整・チャネル管理を組み合わせて収益を最大化するレベニューマネジメントでは、RevPARが最も広く目標指標として使われています。単なる安売りによる高稼働(高OCC・低ADR)も、高すぎる価格設定による空室(低OCC・高ADR)も、RevPARには正直に反映されます。RevPARこそが「売り方の質」を評価する羅針盤です。
RevPARの業界平均・目安
RevPARの水準は施設の立地・規模・グレードによって大きく異なります。自施設を評価する際の参考として、以下の目安を活用してください。
| 施設タイプ | RevPARの目安(1泊・1室) |
|---|---|
| 都心部・高級シティホテル | 15,000〜25,000円以上 |
| 都心部・ビジネスホテル | 8,000〜15,000円 |
| 地方都市・ビジネスホテル | 4,000〜8,000円 |
| 地方温泉旅館(スタンダード・1泊2食) | 20,000〜35,000円 |
| 地方温泉旅館(高級・料理重視型) | 30,000〜65,000円 |
| リゾートホテル(繁忙期) | 20,000円以上 |
| リゾートホテル(閑散期) | 5,000〜15,000円 |
※上記はあくまで目安です。インバウンド需要の回復により、都市部を中心に2024〜2025年にかけてRevPARは上昇傾向にあります。
業界平均を下回っていた場合、まず何を確認すべきか
自施設のRevPARが目安を下回っている場合、「ADRが低いのか、OCCが低いのか」を切り分けることが改善の第一歩です。両方が低い場合はより根本的な戦略の見直しが必要です。観光庁の宿泊旅行統計調査では施設タイプ別のRevPAR・ADR・OCC指標を無料で確認でき、ベンチマーク設定に活用できます。
RevPARが低い原因を診断する
「RevPARが業界平均を下回っている」とわかった場合、次に必要なのは原因の特定です。RevPARが低い原因は大きく3パターンに分かれます。自施設がどのパターンに当てはまるかを確認してください。
パターン①:ADRが低い(単価不足)
こんな施設に多い:競合に合わせて値下げを続けている/OTAのセールに頼りすぎている/繁忙期でも価格を上げられていない
ADRが低い場合、稼働率が高くても収益は伸びません。価格設定の根拠が「感覚」や「競合の横並び」になっていないか確認しましょう。高需要日に価格を据え置くことは、取れたはずの利益を手放しています。
改善の方向性:ダイナミックプライシングの導入、繁忙期・イベント日の価格引き上げルールの設定、早割終了タイミングの前倒し。
パターン②:OCCが低い(稼働不足)
こんな施設に多い:平日・閑散期の稼働が著しく低い/OTA以外の集客チャネルが少ない/リピーター・法人契約が育っていない
OCCが低い場合、価格設定より先に「そもそも予約が入っていない」構造を解消する必要があります。チャネルの多様化と閑散期対策が優先課題です。
改善の方向性:法人契約・連泊プランによるベース稼働の確保、平日向け新規顧客層(テレワーク・シニア)の開拓、OTAの掲載内容・口コミ対応の見直し。
パターン③:ADRもOCCも低い(構造問題)
こんな施設に多い:単価も稼働も低い状態が長期間続いている/「安くしないと売れない」という思い込みが定着している/PMSのデータが整備されておらず現状把握ができていない
両方が低い場合は、価格・集客の個別改善より先に、データの整備と経営方針の見直しが必要です。支援現場では「忙しいのに利益が残らない」という声が最も多いパターンです。
改善の方向性:PMSデータの整備から始め、OCC・ADRの推移を可視化。顧客セグメントの見直しと販売チャネルの最適化を並行して進める。
【自己診断チェック】RevPARが低い原因はどれ?
| 確認項目 | Yes | No |
|---|---|---|
| 競合より単価が明らかに低い | → ADR不足:価格設定を見直す | 引き続きOCC維持を優先 |
| 繁忙期でも稼働率が70%を超えない | → OCC不足:集客・チャネルを強化 | 次はADR引き上げを検討 |
| OTA手数料が売上の20%以上を占めている | → 直販強化・チャネル構造の見直し | 引き続きチャネルコストを監視 |
| 過去12ヶ月のRevPAR推移を把握していない | → データ整備が最優先 | 定期モニタリングを継続 |
| 閑散期の稼働率が40%を下回る月がある | → 閑散期対策プランを設計 | 現状維持しつつADR改善へ |
ADR(客室平均単価)とは
ADR(Average Daily Rate)は、実際に販売された客室の平均単価を示す指標です。
ADRは「価格戦略の良し悪し」を評価する指標ですが、空室を無視した数値です。一方RevPARは空室の損失も含めて評価します。高需要日にADRをどこまで引き上げられるかがRevPAR向上の核心であり、低需要日でもADRを急激に下げすぎないことが収益の底上げにつながります。
OCC(客室稼働率)とは
OCC(Occupancy Rate)は、販売可能な客室のうち実際に販売された割合です。
OCCは重要な指標ですが、単独で成功を判断することは危険です。OCCが高くても単価が低ければ収益は上がりません。RevPARはOCCとADRを掛け合わせることでこの問題を解消しており、OCCは必ずRevPARとセットで評価することが重要です。
3指標の比較まとめ
| 指標 | 何を評価するか | 単独使用の限界 |
|---|---|---|
| ADR | 客室の価格水準 | 空室の影響を無視 |
| OCC | 客室の売れ行き | 単価の高低を反映しない |
| RevPAR | 収益性の総合評価 | 経費・利益を反映しない |
RevPARは収益性の「総合スコア」ですが、利益(GOP)は反映されていません。経費込みの評価にはGOPPARを使います。
RevPARとGOPPARの違いと使い分け
GOPPARとは「Gross Operating Profit Per Available Room」の略で、1室あたりの粗営業利益を示す指標です。
RevPARが高くても人件費・光熱費・OTA手数料などのコストが高ければ、実際の利益は少なくなります。GOPPARはそのコストまで含めた「本当の収益力」を示します。
| 指標 | 主な用途 | 判断の場面 |
|---|---|---|
| RevPAR | 日常の価格・稼働管理、競合比較 | 毎日のモニタリング・戦略調整 |
| GOPPAR | 投資判断、コスト構造の評価 | 月次・四半期の利益レビュー |
RevPARで売上を管理し、GOPPARで利益を管理するという使い分けが実務では有効です。GOPについては「GOPとは?ホテル経営を変える本当の利益率の見方と改善方法」もあわせてご覧ください。
RevPARが高いのに利益が残らない場合は?
RevPARが改善しているにもかかわらず利益が出ない場合は、コスト構造を疑うサインです。OTA手数料が売上の15〜20%を占めていないか、人件費比率が高くなっていないかをGOPPARとあわせて確認しましょう。RevPARとGOPPARの両方をセットで管理することが、本質的な経営改善への近道です。
RevPARを経営に活かす分析サイクル
日次・週次・月次のモニタリング
| タイミング | 目的 | 活用例 |
|---|---|---|
| 日次 | 当日〜翌日の価格調整 | 急な需要増に合わせてADRを引き上げ |
| 週次 | 曜日別の傾向把握 | 平日と週末の価格差を最適化 |
| 月次 | 前月比・前年比の評価 | 年間計画の進捗確認と戦略修正 |
RevPARは毎日変動します。PMSやサイトコントローラーのデータを活用して、少なくとも日次でモニタリングする体制を整えることが理想です。
年間目標への組み込み方
年間RevPAR目標を設定する際は、以下のステップが有効です。
年間RevPAR目標の設定ステップ
- 前年同期のRevPAR実績を確認する
- 市場のインバウンド需要・競合動向を加味する
- 繁忙期・閑散期に分けて月別目標を設定する
- ADR目標とOCC目標に分解して管理する
KPIとしての設定方法は「ホテル経営を数字で見える化!KPI設定と運用のコツ」もあわせて参考にしてください。
ADRと稼働率(OCC)、どちらを優先すべきか
RevPAR改善に取り組む際、最もよく聞かれる疑問が「ADRを上げるべきか、OCCを上げるべきか」です。答えは施設の現状によって異なります。
| 現状 | 優先すべき指標 | 理由 |
|---|---|---|
| OCC 80%以上・ADRが競合より低い | ADR優先 | 稼働は十分。単価を上げる余地が大きい |
| OCC 60%以下・ADRは適正水準 | OCC優先 | 価格より集客・チャネル改善が先決 |
| OCC・ADRともに低い | OCC優先→ADR | まずベース稼働を作り、その後単価を上げる |
| OCC 70〜80%・ADRも競合並み | 繁忙期ADR優先 | 高需要日の価格設定に伸びしろがある |
「ADRを上げると予約が減る」は本当か?
多くの施設が恐れるこの問題ですが、高需要日に限定した値上げであれば予約減はほぼ起きません。問題が起きるのは需要のない日に無理に単価を上げた場合です。需要判断を正確に行い、高需要日・低需要日で戦略を使い分けることが重要です。
RevPARを向上させる4つの戦略
高需要日の施策:ダイナミックプライシングでADRを最大化する
需要に応じてリアルタイムで価格を変動させるダイナミックプライシングは、RevPAR向上に直結します。繁忙期・イベント時・直前予約の需要急増など、機会に応じてADRを段階的に引き上げることで、OCC100%でも取り残していた収益を回収できます。
▲ 高需要日の価格コントロール(攻め)
- 段階的な価格引き上げ(ブッキングカーブに応じた設定)
- 早期割引の提供期間を短く設定する
- OTAの在庫を絞り、直販を優先する
「値上げして空室が出たら怖い」への答え
支援現場でよく聞く声です。しかしデータが示す高需要日に価格を据え置くことは、取れたはずの利益を自ら手放していることと同じです。前年同日の稼働率・競合の空室状況・予約ペースの3点を確認し、自信を持って価格を動かしましょう。
低需要日の施策:閑散期対策でOCCの底上げをする
RevPARが落ちやすい閑散期は、OCC維持によって収益の下限を守ることが重要です。安易な値下げではなく、以下のように顧客層を広げる施策が効果的です。
▼ 低需要日の価格コントロール(守り)
- 早割・連泊プランで早期予約を促進する
- リタイア層・テレワーク層向けの平日プランを設計する
- 地元企業との法人契約で安定稼働を確保する
- OTAへの在庫を厚めに配分する
閑散期の具体的な対策については「ホテルの閑散期とは?売上を守り繁忙期に備えるための対策を解説」をご覧ください。
通年の施策:直販比率を上げてOTAコストを削減する
OTAは集客力が高い一方、手数料が15〜20%発生します。直販(自社サイト)経由の予約を増やすことで、同じRevPARでも実質的な手取り収益は大幅に改善します。「公式サイトが最安値」の訴求や会員限定特典の設計が効果的です。
OTAの手数料比較については「OTAの手数料を徹底比較!ホテル経営者が知るべきコスト削減と集客戦略」をご覧ください。
チェックイン時の施策:アップセル・クロスセルで客単価を引き上げる
チェックイン時のアップグレード提案や、食事・スパなどのオプション販売はADRを押し上げます。1件のアップセルで数千円の収益増になり、RevPARの改善に直接つながります。
旅館・1泊2食型施設の場合は設計が異なります
都市型ホテルと異なり、旅館は食材原価が大きく、単純なADRアップが粗利に直結しないケースがあります。宿泊単体ではなく食事・滞在価値を含めた利益設計が必要です。「1泊単価の最大化」ではなく「滞在価値の最大化」という視点が、旅館のRevPAR向上では重要です。
よくある質問(FAQ)
まとめ:RevPARを軸に収益体質を変える
稼働率が高いのに利益が残らない——その原因は、ほぼ確実にRevPARの管理不足にあります。RevPARはADR×OCCで計算され、単価と稼働率のバランスを一つの数値で把握できる最重要KPIです。
RevPARを高めるには、以下の4つが有効です。
- ダイナミックプライシングによる高需要日のADR最大化
- 閑散期対策(早割・法人契約・平日プラン)によるOCCの底上げ
- 直販比率向上によるOTAコストの削減
- アップセル・クロスセルによるチェックイン時の客単価向上
RevPARを日次・週次・月次で継続的にモニタリングし、数値に基づいた経営判断を行うことが、安定した収益体質への近道です。
リロホテルソリューションズの支援実績
| シティホテル(55室) | 旅館(30室) |
|---|---|
|
WEB売上 60%増 ・RevPAR改善に向けADR・OCC構造を見直し ・OTA依存から直販強化へシフト ・販売チャネル別の価格設定を最適化 |
利益改善 8,800万円 ・高稼働日の単価引き上げでRevPAR向上 ・閑散期の底上げプランで年間OCC安定化 ・OTAセール対抗プランを公式限定販売 |
支援施設全体では、3〜6ヶ月でRevPAR 15〜30%改善、稼働率+8〜15pt程度の改善が見られます。特にOTA依存度が高い施設ほど改善幅が大きい傾向があります。
株式会社リロホテルソリューションズでは、RevPARをはじめとする収益指標の改善を、データ分析から価格戦略の立案・実行まで一貫して支援しています。RevPARが伸び悩んでいる、どこから手をつければいいかわからない、そういった方はお気軽にご相談ください。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。



