コラム

2026.06.05

GOPPAR(ゴッパー)とは?RevPARやGOPとの違い・計算式・活用法

GOPPAR(ゴッパー)とは?RevPARやGOPとの違い・計算式・活用法

「RevPARは上がっているのに、なぜ手元に利益が残らないのか」——そう感じたことはありませんか。

売上を示すRevPARだけを追い続けると、OTA手数料や人件費に利益を削られながら「忙しいだけで儲からない」状態に陥りがちです。その突破口となるのが、1室あたりの粗営業利益を示す指標【GOPPAR(ゴッパー)】です。

この記事では、GOPPARの計算式・読み方から、RevPAR・GOPとの違い、業態別の目安水準、そして実際にGOPPARを改善する3つのアプローチまでを体系的に解説します。あわせて、自施設のGOPPARをその場で算出できる計算ツールと、利益が残らない原因を診断するツールもご用意しました。


📌 この記事でわかること

GOPPARの計算式・読み方と、売上指標RevPARとの決定的な違い
「RevPARは上がったのに利益が残らない」構造の正体と対処法
GOPPARを改善する3つのアプローチと、業態別の目安水準
🎯 この記事はこんな方に向けて書いています
RevPARは知っているが、GOPPARを体系的に理解したい経営者・支配人
売上は伸びているのに利益が手元に残らないと感じている方
収益指標(ADR・OCC・RevPAR・GOPPAR)の関係を整理したい運営担当者

GOPPAR(ゴッパー)とは?意味と計算式

GOPPARの基本概念

GOPPAR(ゴッパー:Gross Operating Profit Per Available Room)とは、販売可能な客室1室あたりが生み出した「粗営業利益(GOP)」を示す指標です。日本語では「1室あたり営業総利益」と訳されます。

よく知られるRevPAR(1室あたり売上)が「いくら売れたか」を見るのに対し、GOPPARは人件費・光熱費・OTA手数料といった運営コストを差し引いた後の「いくら手元に残ったか」を見ます。つまりGOPPARは、ホテル・旅館経営における「本当の収益力」を測る指標です。

この記事が特に刺さる施設
・RevPARや稼働率の数字は改善しているのに、利益が増えた実感がない
・OTA手数料や人件費が経営を圧迫していると感じる
・売上目標は立てているが、利益ベースの目標を設定していない
——心当たりがある方は、GOPPARによる利益管理が突破口になります。

⚠️ GOPPARを見ていない宿が陥るリスク
「RevPARが上がった=経営が良くなった」と考えるのは危険です。売上を伸ばすために値引きや高コストなOTA販売に依存すると、RevPARは伸びても利益はむしろ減るという逆転現象が起きます。GOPPARを管理していない施設は、頑張って売っているのに「忙しいだけで儲からない」状態から抜け出せません。

GOPPAR算出プロセス計算ツール

GOPPARは「売上 → 経費 → GOP → 客室数」という順序で算出します。下記ツールに数値を入力すると、各ステップの計算過程が段階的に可視化され、最終的なGOPPARと営業利益率が表示されます。

🧮 GOPPAR算出プロセス計算ツール
月次の数値を入力してください(販売可能客室数=客室数×対象日数)。
1 総売上 − 営業経費 = GOP(粗営業利益) 8,000,000 円
2 客室数 × 日数 = 販売可能客室数 1,500 室
3 GOP ÷ 販売可能客室数 = GOPPAR
あなたの施設のGOPPAR(1室・1日あたり)
5,333 円
営業利益率(GOP率):26.7%
📊 数値の読み解き
総売上・経費・客室数・日数を入力すると判定が表示されます。

このように、GOPPARは「売上をどれだけ利益に変換できているか」を1室単位で示します。RevPARが同じ2施設でも、コスト構造が違えばGOPPARは大きく差がつきます。GOPの基礎概念については「GOPとは?ホテル経営を変える本当の利益率の見方と改善方法」をあわせてご覧ください。


なぜGOPPARが「真の収益指標」と呼ばれるのか

①コストを含めた「手残り」を評価できる

RevPARやADRは売上ベースの指標であり、いくらコストをかけて得た売上かを問いません。GOPPARは人件費・原価・光熱費・OTA手数料などの営業経費を差し引いた後の利益を見るため、「売っても残らない」状態を見逃しません。経営の最終目的が利益である以上、GOPPARは経営判断の軸になり得る指標です。

②規模の異なる施設・期間を公平に比較できる

営業利益(GOP)の総額だけでは、客室数100室のホテルと30室の旅館を比べられません。GOPPARは1室あたりに換算するため、規模を問わず「収益効率」を横並びで比較できます。複数施設を運営する企業が、施設間の収益力を比較する際にも有効です。

③投資判断・M&A評価の基準になる

ホテルの売買や設備投資の意思決定では、「その1室がいくらの利益を生むか」が問われます。GOPPARは投資対効果を測る共通言語として、機関投資家や運営会社の間で広く使われています。RevPARが「営業の通信簿」なら、GOPPARは「経営の通信簿」です。


RevPARとGOPPARの違い(売上 vs 利益)

同じRevPARでも利益はこれだけ違う

RevPARとGOPPARの最大の違いは、RevPARが「売上」を、GOPPARが「利益」を見る点にあります。次の2施設は、RevPARが全く同じでもGOPPARは2倍以上の差がつきます。

  ホテルA(高コスト型) ホテルB(低コスト型)
RevPAR 10,000円 10,000円
営業経費率 80% 60%
GOPPAR(概算) 2,000円 4,000円

RevPARだけを見ていると、この2施設は「同じ成績」に見えます。しかしコスト構造を反映するGOPPARでは、ホテルBはホテルAの2倍の収益力を持つことがわかります。RevPARの改善が利益に直結しているかどうかは、GOPPARを見て初めて判断できるのです。

RevPAR×GOPPARギャップ診断ツール

「売上は悪くないのに利益が薄い」——その構造を切り分けるのがこのツールです。6つの質問にはい/いいえで答えると、自施設が「売上型」「コスト過多型」など、どのタイプに当てはまるかを自動で判定します。

⚖️ RevPAR×GOPPARギャップ診断
6つの質問にはい/いいえで答えてください。利益が残らない原因タイプを判定します。
Q1.RevPARや売上は前年より伸びている
Q2.それでも営業利益(手残り)は増えた実感がない
Q3.OTA手数料が売上の15%以上を占めている
Q4.人件費率・原価率を月次で把握していない
Q5.経営目標は「売上」「稼働率」中心で、利益目標がない
Q6.客室以外(料飲・物販)の利益貢献を分析していない
回答済み:0 / 6 問 0%
全6問に答えると診断結果が表示されます

RevPARの計算式や向上戦略そのものについては「RevPARとは?計算式と収益改善の考え方」で詳しく解説しています。


GOPとGOPPARの違い(総額 vs 1室単位)

GOPは「総額」、GOPPARは「1室あたり」

GOP(Gross Operating Profit/粗営業利益)は、売上から営業経費を差し引いた利益の総額です。一方GOPPARは、そのGOPを販売可能客室数で割った1室あたりの利益を示します。

GOPPAR = GOP(粗営業利益)÷ 販売可能客室数

GOPは「会社全体でいくら稼いだか」を、GOPPARは「客室1室がどれだけ効率よく稼いだか」を表します。GOPが同じでも、客室数が多い施設ほどGOPPARは低くなります。規模に左右されずに収益効率を測れる点がGOPPARの強みです。

指標 何を表すか 主な用途
GOP 営業利益の総額 全社・施設単位の利益管理
GOPPAR 1室あたりの営業利益 収益効率の比較・投資判断

GOPの定義や改善方法は「GOPとは?ホテル経営を変える本当の利益率の見方と改善方法」で詳しく扱っています。利益率全般の底上げについては「ホテルの利益率を改善する方法」もあわせてご覧ください。


GOPPARの業界平均・業態別ベンチマーク

業態別のGOPPAR目安

GOPPARの水準は、立地・グレード・コスト構造によって大きく変わります。特に料飲部門を持つ施設はコスト構造が複雑になるため、同業態同士での比較が前提です。以下は実務上の目安です。

業態 GOPPARの目安(1室・1日)
都心部・ビジネスホテル 3,000〜7,000円
都心部・高級シティホテル 8,000〜15,000円以上
地方都市・ビジネスホテル 1,500〜4,000円
地方温泉旅館(1泊2食) 5,000〜12,000円
リゾートホテル 5,000〜15,000円(季節変動大)

※上記はあくまで目安です。GOP率(GOP÷総売上)は業界一般で30〜40%前後が一つの基準とされますが、料飲比率の高い旅館では原価がかさみ、これより低くなる傾向があります。自施設を評価する際は、同業態のベンチマークとの比較が出発点です。

公的データで自施設の位置を確認する
施設タイプ別の売上・経費構造の傾向は、観光庁の宿泊旅行統計調査で無料で確認できます。また経営指標の体系的な整理には、中小企業庁の中小企業庁が公開する業種別の経営指標も参考になります。これらをベンチマークに、自施設のGOPPARが業態平均と比べてどの位置にあるかを把握しましょう。


GOPPARを改善する3つのアプローチ

アプローチ①:売上を増やす(分子のGOPを上げる)

GOPPARの分子はGOPです。RevPAR向上策(ダイナミックプライシング・直販強化・アップセル)で売上を伸ばし、利益を増やすのが王道です。ただし、コストを伴う売上増は利益に直結しないため、必ずGOPベースで効果を検証します。

▲ 売上・利益を伸ばす施策(攻め)

高需要日のADR最大化(ダイナミックプライシング)
料飲・スパなど高粗利オプションのアップセル
直販比率を高め、手数料控除後の手取りを増やす

アプローチ②:コストを下げる(経費を最適化する)

GOPPAR改善の核心は、売上を増やさなくても利益を増やせる点にあります。人件費・原価・光熱費・OTA手数料を見直すだけで、GOPPARは大きく改善します。特にOTA手数料は売上の15〜20%に達することもあり、直販シフトの効果は絶大です。

▼ コストを最適化する施策(守り)

OTA依存を下げ、公式直販で手数料を削減する
シフト最適化・業務効率化で人件費率を適正化する
料飲原価・光熱費・消耗品の継続的な見直し

アプローチ③:部門別に利益を最適化する(料飲・物販を含めて見る)

GOPPARは客室だけでなく、料飲・物販を含めた施設全体の利益を反映します。特に旅館・1泊2食型施設では、客室売上より料飲の利益設計がGOPPARを左右します。「宿泊単価」ではなく「滞在全体の利益」で考える視点が重要です。

旅館・1泊2食型施設のGOPPAR設計
旅館は食材原価が大きいため、ADRを上げても料飲原価が比例して増えれば利益は伸びません。「単価の最大化」ではなく「利益率の最大化」という視点で、原価率の低い体験価値(地域連携・滞在プログラム)を組み込むことがGOPPAR向上の鍵になります。


失敗パターン:RevPARだけを追う罠

現場で繰り返される3つの失敗

支援現場で最も多いのが「RevPARや稼働率は改善したのに利益が増えない」という相談です。その背景には、GOPPARを見ていないことによる典型的な失敗があります。

失敗①:OTA販売を増やしてRevPARを伸ばす

こんな施設に多い:手っ取り早く稼働を埋めるためOTAのセールに頼る/手数料率を意識せずに販売量だけを追う

OTA経由で売上を増やすと表面上のRevPARは伸びますが、15〜20%の手数料が利益を削ります。RevPARは改善しても、GOPPARはむしろ悪化します。利益を見ていれば避けられた失敗です。

失敗②:値引きで稼働を埋める

こんな施設に多い:稼働率を上げることが目的化している/「埋まっていれば安心」という思い込みがある

安売りで稼働を埋めると、稼働率もRevPARも一見良く見えます。しかし清掃・アメニティ・光熱費といった変動費は客室が稼働するたびに発生するため、薄利の客室を増やすほどGOPPARは下がることもあります。

失敗③:売上目標だけで利益目標がない

こんな施設に多い:年間目標が「売上◯◯円」「稼働率◯◯%」だけ/現場KPIに利益指標がない

売上・稼働を目標に掲げると、現場は「売る」ことに集中し、コストへの意識が薄れます。GOPPARを目標に加えることで、初めて「利益を残す売り方」へと現場の行動が変わります。

⚠️ 内製対応の限界——「売上だけ管理」が招く3つのリスク

RevPARや稼働率は予約システムで簡単に把握できますが、GOPPARは会計データと運営データの統合が必要なため、現場で見落とされがちです。担当者頼みの管理では、①部門別コストの見えない化(どこで利益が漏れているか不明)、②手数料控除後の実質利益の未把握、③利益視点を欠いた価格判断——が慢性化します。RevPARと会計を突き合わせ、GOPPARを月次で自動集計する仕組みづくりが「内製の限界」を超える第一歩です。

🔍 プロとの差——専門家が見ている「利益の解像度」

収益管理の専門家は、①部門別GOP(客室・料飲・その他を分離して利益貢献を可視化)、②チャネル別ネット収益(手数料控除後のGOPPAR寄与度)、③コスト弾力性分析(稼働変動に伴う変動費の挙動)——を組み合わせて意思決定します。自施設の担当者が「売上が伸びた」で満足している間に、専門家は「その売上が利益にいくら変換されたか」を1室単位で追っています。この解像度の差が、半年後・1年後の利益格差として現れます。


よくある質問(FAQ)

GOPPARに関するよくある疑問

GOPPARとRevPARはどちらを重視すべきですか?
A. 両方をセットで使うのが正解です。日常の価格・稼働管理や競合比較にはRevPAR、最終的な利益や投資判断にはGOPPARを使います。RevPARで「売れているか」を、GOPPARで「儲かっているか」を確認するという役割分担が実務的です。どちらか一方だけでは経営の全体像は見えません。
GOPPARの目安はいくらですか?
A. 業態によって大きく異なります。都心部ビジネスホテルで3,000〜7,000円、地方温泉旅館(1泊2食)で5,000〜12,000円、高級シティホテルで8,000〜15,000円以上が一つの目安です。料飲比率の高い旅館は原価がかさむため、同業態同士での比較が前提になります。
GOPとGOPPARは何が違うのですか?
A. GOPは営業利益の「総額」、GOPPARはそれを販売可能客室数で割った「1室あたりの利益」です。GOPは施設全体でいくら稼いだかを、GOPPARは1室がどれだけ効率よく稼いだかを表します。規模の異なる施設を比較するときはGOPPARが有効です。
RevPARが上がったのに利益が減ったのはなぜですか?
A. コストを伴う売上増だった可能性が高いです。OTAのセールで稼働を埋めると手数料が15〜20%発生し、RevPARは伸びても利益は減ります。値引きでの稼働増も変動費がかさみます。GOPPARを見れば、その売上が利益に変換されているかを確認できます。
中小規模の旅館でもGOPPARは使えますか?
A. 規模を問わず有効です。客室数が少ない旅館ほど1室あたりの利益効率が経営を左右するため、GOPPARの管理価値は高いと言えます。計算式はシンプルで、月次の売上・経費・客室数・日数があれば算出できます。本記事の計算ツールでまず一度試算してみることをおすすめします。
GOPPARを改善する一番効果的な方法は?
A. 多くの施設で即効性が高いのは「直販比率の引き上げ」です。OTA手数料を削減すれば、売上を増やさなくてもGOPPARが改善します。あわせて部門別の原価・人件費を点検し、利益の漏れを止めることが効果的です。売上増(攻め)とコスト最適化(守り)を両輪で進めましょう。

まとめ:GOPPARで「本当に儲かる経営」へ

売上が伸びているのに利益が残らない——その原因は、GOPPARという「利益の物差し」を持っていないことにあります。GOPPARはGOP(粗営業利益)÷販売可能客室数で計算され、1室あたりがどれだけ利益を生んだかを示す経営の通信簿です。

RevPARが「売れているか」を測る指標なら、GOPPARは「儲かっているか」を測る指標です。RevPARだけを追ってGOPPARを見ないと、OTA手数料や値引きで利益を削りながら売上だけ伸ばす——という典型的な失敗に陥ります。両指標をセットで管理することが、安定した利益体質への近道です。

GOPPARを高めるには、①売上を増やす(攻め)、②コストを最適化する(守り)、③部門別に利益を見る——の3つを組み合わせます。まずは自施設のGOPPARを算出し、業態平均と比べてどの位置にあるかを把握するところから始めましょう。

リロホテルソリューションズの支援実績

シティホテル(55室) 旅館(30室)
WEB売上 60%増

・直販シフトで手数料控除後の利益を拡大
・RevPARとGOPPARを並行管理
・チャネル別ネット収益を可視化
利益改善 8,800万円

・料飲原価の見直しでGOP率を改善
・部門別GOPPARで利益効率を最適化
・滞在価値型プランで原価率を抑制

支援施設全体では、3〜6ヶ月でGOP率の改善が見られ、特にOTA依存度が高い施設ほどGOPPARの改善幅が大きい傾向があります。

株式会社リロホテルソリューションズでは、RevPAR・GOPPARをはじめとする収益指標の改善を、データ分析からコスト構造の最適化・価格戦略の立案まで一貫して支援しています。「売上は伸びているのに利益が残らない」「どこから手をつければいいかわからない」——そういった方は、お気軽にご相談ください。レベニューマネジメント全体の考え方は「レベニューマネジメントとは?」もあわせてご覧ください。

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【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。

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