RevPAR(レブパー)とは?ホテル経営の収益力を測る指標を徹底解説!

evPAR(レブパー)は、販売可能客室あたりの収益を指すものです。ホテルを増収増益に導くためには、RevPARをいかに高めるかが重要になります。
他にもADRやOCCなど、ホテル運営において欠かせない指標があります。いずれも正しく理解しておかないと、ホテルの健全な運営はできません。
今回はRevPARの意味やADRとOCCとの関係性、RevPARをホテル経営に活かすための方法をわかりやすく解説します。
RevPARはホテル経営の重要指標

RevPARは収益性を測るために重要な指標です。ここではホテル業が初心者の方でもわかるよう、以下の2つについて解説します。
- RevPARとは?
- RevPARの計算方法
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
RevPARとは?
RevPAR(レブパー:Revenue Per Available Room)は、ホテルが所有する販売可能な客室全体から得られる収益を平均して示す指標です。
おもにホテルの収益性を総合的に評価するために使います。RevPARがホテル業界で重視される理由は、以下のような重要な役割を果たすためです。
項目 | 内容 |
収益性の評価 | 客室稼働率と平均客室単価を参考に、ホテルの収益性を総合的に評価できる |
競合との比較 | 競合ホテルとRevPARを比較し、改善につなげる |
経営戦略の策定 | RevPARの分析結果をもとに、価格設定や販売戦略に活かす |
ホテルを健全に運営するためには、RevPARを軸にした経営戦略が欠かせません。
RevPARの計算方法
RevPARの計算式は、以下の通りです。
RevPAR=ADR(客室平均単価)×OCC(客室稼働率) |
たとえばADRが6,000円、OCCが80%だった場合、RevPARは4,800円です。
RevPARが低ければOCCが100%であっても、収益が高いとは言えません。以下のAとBのホテルの例を参考に考えてみます。
ホテルA | ホテルB | |
ADR | 7,000円 | 12,000円 |
OCC | 100% | 60% |
RevPAR | 7,000円 | 7,200円 |
上記のように「ホテルB」はOCCが60%ですが、ADRもRevPARもOCCが100%のホテルAよりも高くなっています。
需要と供給を見極め、その日の適切な価格で販売することがRevPARを高める有効な方法です。
ホテル経営でRevPARが重視される理由
多くのホテルでRevPARが重視される理由は、おもに2つです。
- 売上と稼働率を同時に評価できる
- 競合ホテルとの比較分析に最適
増収増益のためには、RevPARの分析が必要不可欠です。1つずつ理由を解説します。
売上と稼働率を同時に評価できる
先述したように、RevPARは「客室稼働率(OCC) × 平均客室単価(ADR)」で算出できます。
RevPARはOCCとADRの両方を考慮するため、いかに客室を効率的に販売し収益を上げているかを同時に評価できます。
以下の例を見てみましょう。
・ホテルA:ADR4500/OCC100%/RevPAR4500 ・ホテルB:ADR7500/OCC60%/RevPAR4500 |
ホテルAとホテルBはADRとOCCがそれぞれ異なりますが、RevPARは同じです。
RevPARはADRとOCCのバランスを考慮し、ホテルの収益性を総合的に評価できる指標のため、多くのホテルで重視されています。
競合ホテルとの比較分析に最適
競合ホテルのRevPARをベンチマークとして活用すれば、自社の強みと弱みを客観的に把握できます。
ベンチマークとは、自社の業績やプロセスを業界のベストプラクティスや競合他社の実績と比較し、改善点を見つけ出す方法です。
競合ホテルのRevPARと比較すれば、自社の収益性が市場平均と比べてどの程度の差があるのかを客観視できます。
ホテルの立地や規模などの条件にもよりますが、競合ホテルのRevPARを目標値として設定すれば具体的な改善目標を立てやすくなります。
また競合ホテルのRevPARの変動を分析すれば、市場全体の動向を把握できるのもメリットです。
新規でホテルを開業する際などは、市場ポジショニングの把握にRevPARの分析が役立ちます。
RevPARとADR、OCCの関係
ADRやOCCの定義や計算方法と、具体例(シミュレーション)について解説します。
多くのホテルでは需給で価格が変動する「ダイナミックプライシング」を導入しています。これは都市型ホテルに限った話ではありません。
地方温泉地・リゾート地においても訪日需要の高まりとともに取り入れられています。適正価格で客室を販売できるよう、各指標を詳しく見ていきましょう。
ADR(平均客室単価)
ADR(Average Daily Rate)は、ホテルで販売された客室の平均単価を示す指標です。以下の計算式で算出します。
ADR = 客室売上合計 ÷ 販売客室数 |
たとえば客室売上合計が50万円で、販売された客室数が50室ならADRは1万円です。ADRとRevPARの違いは、以下の通りです。
ADR | RevPAR |
客室の価格設定の妥当性を評価するのに役立つ平均客室単価のみを表示し、客室の稼働率を考慮しない | 客室の収益性を総合的に評価するのに役立つ客室の稼働率と平均客室単価の両方を考慮する |
ADRは価格戦略に重点を置く際に、RevPARは収益性全体を評価する際に活用します。では、ADRの特徴を参考に、具体例を見てみましょう。
繁忙期 | 閑散期 | イベント時 | |
客室売上合計 | 100万円 | 30万円 | 150万円 |
販売客室数 | 50室 | 50室 | 75室 |
ADR | 2万円 | 6,000円 | 2万円 |
ADRは時期やイベントによって大きく変動します。繁忙期やイベント時は需要が上がるため、ADRも高くなります。
反対に冬休み後の1月中旬〜2月にかけての閑散期は、需要が下がるためADRも低くなりがちです。客室が満室でなくても高いADRを維持できれば、一定の収益を確保できます。
OCC(客室稼働率)
OCC(Occupancy Rate)は、ホテルが所有する販売可能な客室のうち、実際に販売された客室の割合を示す指標です。以下の計算式で算出します。
OCC = 販売客室数 ÷ 販売可能な客室数 × 100(%) |
たとえば100室の販売可能な客室を持ち、その日に70室販売したならOCCは70%です。
ただしOCCだけでは、ホテルの収益性を完全に把握できません。仮にOCCが100%でも、ADRが2,000円ならRevPARは2,000円です。
また特定タイプの客室稼働率が低い場合も、OCCの平均値が高くても収益性は下がります。以下のシミュレーションを見てみましょう。
現状 | スタンダードルームのOCCは90%スイートルームのOCCは50%ADRはスタンダード1万円、スイート3万円 |
目標 | スイートルームのOCCを70%に上げる |
戦略 | スイートルーム限定の特別プランを販売専用ラウンジ利用などの付加価値の向上チェックイン時の声掛けによるアップセル戦略の強化 |
結果 | スイートルームのOCCが70%に向上し、収益性が向上ホテル全体のADR向上にも寄与 |
収益パフォーマンスを最大化するためには、OCCだけではなくADRやRevPARを考慮し総合的に判断すべきです。
RevPARをホテル経営に活かす方法
RevPARをホテル経営に活かす方法として、以下の2点を軸に具体的に解説します。
- 日々の経営判断におけるRevPARの活用
- 長期的な経営戦略とRevPARの活用
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
日々の経営判断におけるRevPARの活用
RevPARを日次、週次、月次で分析すれば、ホテルの収益状況を多角的に把握できます。以下に参考例を記載します。
目的 | 分析内容 | 活用方法 | |
日次分析 | 日々の収益変動の把握と対応 | RevPARの推移や競合ホテルとの比較 | 急激なRevPARの低下の原因特定と対策 |
週次分析 | 週毎の収益傾向を把握 | 週や曜日別のRevPAR推移 | 週毎の収益傾向の把握と中長期的な経営計画 |
月次分析 | 月毎の収益傾向の把握と年間目標の達成度評価 | 月毎のRevPARの推移 | 年間目標の達成度を評価し必要に応じて戦略を修正 |
またホテル業界は、季節やイベントで需要変動があります。過去のデータや市場動向を分析し、需要判断につなげRevPARを高めるのが重要です。
長期的な経営戦略とRevPARの活用
長期的な経営戦略におけるRevPARの活用方法を、「年間計画における目標設定」と「投資判断における活用」の2つの観点から解説します。
年間計画におけるRevPARの目標設定は、ホテルの収益性の向上に直結します。目標は現実的かつ挑戦的な数字を設定するのがポイントです。
市場全体の動向や競合ホテルのRevPARを分析し、季節変動やイベントなどの影響も考慮します。過去のRevPARの推移を分析し、成長率や変動パターンを把握するのも効果的です。
またRevPARは、ホテルへの投資判断においても役立ちます。改装などの投資がRevPARに与える影響を予測すれば、投資回収期間や将来の収益性から妥当性を判断できるためです。
RevPARを向上させるための戦略
RevPARの向上に効果的な方法はいくつかありますが、ここでは初心者でも実践しやすい3つの戦略を解説します。
- 柔軟な料金設定
- 販売チャネルの最適化
- 客室稼働率の向上
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
柔軟な料金設定
需給に応じて料金を調整できるよう、料金体系は柔軟に設定します。中でも「シーズナルプライシングの導入」と「ターゲット顧客層に合わせた料金設定」は効果的です。
シーズナルプライシングとは、季節やイベントなどの需要変動に応じて客室料金を変動させる価格戦略です。需給に合わせて料金を設定し、RevPARの最大化を図ります。
またターゲットの顧客層に合わせて料金を設定すれば、顧客満足度を高めリピーターを増やせます。ホテルの口コミ投稿にも反映され、新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
ただし過度な割引はブランドイメージを損なう恐れがあるため、注意が必要です。顧客満足度を維持しながら、収益性を向上させるバランスが求められます。
販売チャネルの最適化
販売チャネルの最適化も、RevPARの向上につながります。とくに意識したいのが「OTAと直販のバランス」と、「コミッション削減による実質RevPAR向上」です。
OTA(Online Travel Agent)は集客力が高い一方で、高いコミッションが発生します。そのため直販(自社サイト)とのバランスの取れた販売戦略が必要です。
直販チャネルを強化すればOTAへの依存度を下げ、コミッションを削減できます。「公式サイトが最安値」と掲げているホテルが多いのはこのためです。
またOTAへのコミッションは、RevPARを押し下げる要因となります。そのため直販チャネルからの予約比率を高めることは、実質的なRevPAR向上にもつながります。
客室稼働率の向上
客室稼働率を上げてRevPARを高めるには、「オフシーズン対策」と平日稼働の底上げに有効な「法人需要獲得」が重要になります。
オフシーズン対策では、オフシーズンならではの魅力を打ち出したイベントが効果的です。たとえば冬の閑散期に、イルミネーションを楽しめるプランを販売するといったものです。
加えてオフシーズンでも旅行しやすい顧客層(リタイア層や平日休みが可能な層など)に、アプローチするのも有効でしょう。
またビジネス利用に特化したプラン(高速Wi-Fi、会議室提供など)を販売し、法人向けのプランを充実させるのも効果的です。
法人向け予約ページの作成など、オンラインで予約しやすいシステムを構築するのもおすすめです。
まとめ
RevPARは販売可能客室あたりの収益を指すもので、ホテルの経営戦略を練るためには欠かせない指標です。
RevPARをホテル経営に活かすためには、日次・週次・月次毎に分析し、需要と供給に合わせた適正価格で販売し、1室あたりの収益を高めるのが重要です。
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