(スタッフブログ)宿経営の総合診療科を目指して

はじめまして。
私は、この宿泊業界に携わり30年を超えるMと申します。
全国各地の宿泊施設の方々とお話しするなかで、現場のリアルや経営者の想いに触れる機会が多くあります。
今回は、この場をお借りして、私が最近感じていることを整理し、皆さまにお伝えしたいと思います。
よく耳にするコンサルティングへの不満
経営者の方から、しばしばこんなお声をいただきます。 「過去にコンサルタントに依頼したけれど、思うように成果が出なかった。何とかならないか」 詳しく伺ってみると、共通点が見えてきます。 「月に数回会議をして、レポートを受け取る。でも、現場は一向に変わらなかった」 そんな経験をされてきた方が少なくありません。
医療の「総合診療科」と経営課題
私はこの状況を、医療の「総合診療科」と重ね合わせて考えています。
総合診療科は、専門領域を横断して患者全体を診る診療科です。
友人の医師はこう言いました。
- 「病気を診るのではなく、人を診るんだ」
- 「本当の原因を探るために、一歩下がって俯瞰する」
- 「症状だけではなく、その背景にまで目を向ける」
経営課題も同じです。
経営課題には二つのタイプがある
経営課題を俯瞰して見てみると、問題には二つのタイプがあることに気づきます。
- 法則によって改善できる課題
仕組みや数字、プロセスを整えれば解決できるものです。 - 人に根差した課題
会社の歴史や社是、慣習の踏襲、組織構造、権威、重要人物やカリスマ性など、
「人」によって改善されるものです。
私は、この後者の「人の病」が経営改善において非常に重要であると強く感じています。
表面的な数字やルールだけを追うのではなく、背景にある人の想いや組織の文化に目を向けることが、真の変化につながるのです。
経営課題にも同じことが言えます。仕組みや数字で解決できる”法則の病”がある一方で、会社の歴史や文化、組織のしがらみ、経営者の想いや権威性といった”人の病”も存在します。 そして本当に重たいのは、後者の「人に関わる課題」なのです。
私の同僚は「私たちの仕事は”コンセル”だ」とよく言います。 コンサルティング(仕組みや数字を整える)と、カウンセリング(心に寄り添う)を合わせた造語です。数字を分析するだけではなく、経営者や社員の想いに耳を傾け、ときに一緒に悩み、整理しながら前へ進む。 その両輪がそろって初めて、組織は変わっていきます。
経営者からの温かい言葉
ある経営者様は、こんな言葉をかけてくださいました。 「あなた達と一緒に仕事をすると、意見がぶつかることもある。正直わずらわしさを覚えることもある。けれど、不思議と安心感がある。あなた達が横にいることで確かにぬくもりを感じる。その小さなぬくもりが、私にとってはとても大切なんだ。小さな会話が、大きな変化につながっていきましたね」
この言葉をいただいたとき、私たちの役割は「数字を改善すること」だけではないと改めて気づきました。 遠回りに思える対話や、何気ない雑談にこそ、本質的な突破口が隠れているのです。
森全体と一本一本の木を見る視点
森全体を見渡しながら、一本一本の木を丁寧に見ていく。その両方を意識し続けること。 これこそが、私たちが経営者の皆さまと共に歩む意味だと考えています。
経営課題の解決と人の心に寄り添うことが得意なコンシェルジュです。 数字だけでは見えない組織の本質を見つけ出し、経営者の皆さまと一緒に歩んでいくことを大切にしています。