ホテルのリース方式とは?初期費用を抑えるメリットや他方式との違いを解説
これからホテルの開業を目指す方の中には、経営コストやリスクを考慮し、リース方式での契約を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回はリース契約について、以下のような項目を解説します。
| ・リース方式の概要・ほかの運営方式との違い・リース方式のメリットとデメリット・リース方式でホテル運営を始める際の手順や、成功させるためのポイント |
リース方式によるホテル運営で失敗しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
ホテル開業の選択肢「リース方式」とは?
ホテル経営方式には、「自社所有」「自社運営」「委託運営」そして「リース方式(賃借方式)」などがあります。リース方式は不動産の所有者(オーナー)と運営者(オペレーター)が分かれており、オーナーは建物をホテルオペレーターに貸し付け、オペレーターはそれを借りてホテルを運営する仕組みです。
なお、オペレーターは、オーナーに対してリース料(賃料)を支払います。リース料は毎月定額を支払う固定制と、売上や利益に連動して変動する変動制、またはこれらを組み合わせた形があります。
オペレーター側は土地や建物を購入する必要がないため、初期投資を大幅に抑えられるのが特徴です。また、ホテル運営も専門の運営会社に任せられるため、効率的で専門性の高いサービスを提供できます。
オーナー側は安定した賃料収入を得られ、運営側は専門会社のノウハウを活かして、初期投資を抑えて事業を展開できる点が魅力です。
他のホテル運営方式との違いをチェック
他のホテル運営方式との違いを、以下の要素から解説します。
- リース以外の代表的な経営方式
- ホテル運営方式の比較
契約時には、それぞれの運営方式との違いと比較しながら検討することが重要です。では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
リース以外の代表的な経営方式
リース方式以外の代表的な経営方式に、「所有直営方式」「MC方式」「フランチャイズ方式」があります。それぞれの特徴や違いは以下の通りです。
| 経営方式 | 仕組み | メリット | デメリット |
| 所有経営方式(Self-Management) | 不動産(建物・土地)を所有し、自社で直接運営するシンプル形態。収益とリスクを全て自社が負う。 | 収益が全て自社のものになり、経営の自由度が高い。 | 初期投資が莫大で、運営リスクも全て自社が負う。 |
| MC方式 (Management Contract) | オーナーが不動産を所有し、専門のホテル運営会社(MC)と契約して運営を委託する。MCは報酬(フィー)を受け取る。 | 運営の専門知識やノウハウを活用でき、オーナーは運営から解放される。 | MCへの報酬が発生し、契約内容によっては運営への関与が難しい。 |
| FC方式(Franchise) | オーナー(加盟店)がブランドやノウハウの使用権を本部(FC本部)から取得し、自己資金で運営する。本部に対価(ロイヤリティ)を支払う。 | 有名ブランドの信用と集客力、本部ノウハウを利用できる。 | ロイヤリティやブランド規定の遵守が必要で、自由度が低い。 |
各経営方式の詳細は、以下の記事でも解説しています。
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ホテル運営方式の比較
「所有直営方式」「MC方式」「フランチャイズ方式」の3つのホテル運営方式を、それぞれ初期投資、運営の自由度、ブランド力、収益性、ノウハウの要否の観点から比較してみましょう。
| 所有経営方式 | MC方式 | フランチャイズ方式 | |
| 初期投資(不動産、建物、設備) | 大(オーナー兼運営者が全て負担) | 大(資産所有者が全て負担) | 大(基本的には加盟店が全て負担) |
| 運営の自由度 | 高 | 低〜中(契約内容による) | 低(規定に縛られる) |
| ブランド力 | 自社ブランド力次第 | MCの力に依存 | FC本部の力に依存 |
| 収益性 | 高(成功時) | 中(フィー支払いあり) | 中(ロイヤリティ支払いあり) |
| ノウハウの要否 | 必須 | 不要(MCに委託) | ある程度必要 |
例えば、自己資金が豊富でホテル運営の知識や経験が十分にある場合は、自由度や収益性の高い所有経営方式を検討するなど、自社の状況に合った運営方式を選ぶことが大切です。
ホテルをリース方式で運営するメリット
ホテルをリース方式で運営するメリットは、おもに以下の通りです。
- 初期投資を抑えて開業できる
- 運営のノウハウが不要
- 所有者側にも安定収入がある
それぞれ詳しく解説します。
初期投資を抑えて開業できる
リース方式は建物の所有と運営を分離するため、運営会社は高額な建物取得費用が不要です。そのため、開業に必要な初期投資が他の契約方式に比べ抑えられるのがメリットです。
他の方式に比べて参入障壁が低いことから、既存の事業ノウハウはあるものの、不動産投資には不慣れな異業種の方にも適しています。
運営のノウハウが不要
リース方式の契約では、オーナーがホテルの専門会社に建物を賃貸し、運営を任せます。そのため、オーナー側に運営のノウハウがなくても、専門会社のスキルやブランド力を活用して事業を始めることができます。自社で全てを運営する所有直営方式と比べ、大きな利点と言えるでしょう。
さらにフランチャイズ方式のように、オーナーが運営の細部にわたり本部のルールに従う必要もありません。また契約内容によっては、より高い事業の自由度を確保できるケースもあります。
所有者側にも安定収入がある
ホテルをリース方式で運営すれば、不動産所有者はホテル運営会社からのリース料という形で安定した収益を得られます。
自ら運営する直営方式のように、日々の宿泊変動や人件費などの運営リスクを負う必要はありません。事業の景況に関わらず、安定的な収入を確保できるのが大きなメリットです。
ホテルをリース方式で運営するデメリット
ホテルのリース方式にもメリットばかりでなく、デメリットもあります。
- リース料の支払いが固定費になる
- 契約条件により自由度が制限される場合も
- 長期的にはコストが割高になることも
メリットとデメリットの双方を理解した上で、契約方式を検討しましょう。では、それぞれ詳しく解説します。
リース料の支払いが固定費になる
リース方式では、運営会社は不動産所有者に対してホテルの収益状況に関わらず、契約に基づいたリース料を支払わなければなりません。
景気後退や感染症拡大などの要因で売上が大きく減少した場合でも、基本的には固定費として支払い義務が生じます。収益がリース料を下回ると赤字になる点には注意が必要です。
契約条件により自由度が制限される場合も
リース方式では不動産の所有者はオーナーのままであり、運営会社は建物を借りている立場です。そのため大規模な改装や改修を行う際はオーナーの承諾が必要となります。
またリース契約にサービスの質やブランドイメージを維持するための規定が盛り込まれている場合も、運営会社の独断でサービス内容や料金設定の変更はできません。契約内容によっては自由度が制限されることも把握しておきましょう。
長期的にはコストが割高になることも
リース方式は契約期間が長期にわたると、毎月のリース料の総額が最終的に建物を自社で購入・所有した場合の総費用を上回る可能性があります。
また契約更新時に賃料が上昇したり、不動産価値が変動するリスクもあります。運営者は目先の初期費用の抑制と、長期的な総支出のバランスを慎重に見極めなければなりません。
リース方式でホテル運営を成功させるためのポイント
リース方式の契約で失敗しないために、大切なポイントを3つ解説します。
- 立地・物件選びが最大のカギ
- 契約条件をしっかり確認する
- 運営会社とのパートナーシップを築く
順に詳しく見ていきましょう。
立地・物件選びが最大のカギ
リース方式で契約する上で最大のカギとなるのが、需要が見込める立地を見極めることです。観光地や駅前、ビジネス街などターゲットとする顧客層が継続的に利用する場所を選びましょう。
また借りる建物の規模や設備が、想定するターゲット客層のニーズと合致しているかも重要です。建物が古く改装に多額の費用がかかったり、ターゲット層に対して建物の規模が合わない場合、初期投資を抑えられても収益が圧迫する可能性があります。
なおリース形式での契約では、オーナーからの承諾なしに大規模な変更はできません。確実に収益を上げるためにも、慎重に物件を選定しましょう。
契約条件をしっかり確認する
契約前には入念に条件を確認し、リスクを最小限に抑えましょう。リース方式の最大のリスクは、毎月のリース料が固定費となることです。
リース料の算定方法(固定制もしくは売上に連動する変動制)はホテルの財務安定性に直結するため、契約時に売上変動リスクをどれだけオーナーと分担できるか確認しましょう。
また契約期間の長さや更新条件は、長期的な事業計画に影響します。さらに建物の修繕費や設備投資の負担範囲も明確にしておかないと、高額費用が発生した場合に初期投資を抑えるというメリットが相殺される可能性があります。
運営会社とのパートナーシップを築く
リース方式では、オーナーはオペレーターからの賃料で収益を得ます。賃料は固定費ですが、ホテルの収益が悪化すれば運営会社の倒産などで賃料回収のリスクが生じます。
そのためオーナーとオペレーターが賃料の支払いだけでなく、収益向上に向けた協力関係を築くことが重要です。情報共有や共同でのマーケティング、修繕への協力などを通じ、双方にとってWin-Winになる関係を築きましょう。
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まとめ
ホテルのリース方式での契約は、建物の所有と運営を分離するため高額な初期投資を抑えられます。またオーナーにホテル運営がなくても経営できるため、参入障壁が低くなるのもメリットです。
ホテルの経営状況に左右されずリース料の支払い義務が生じるほか、契約期間が長期に及ぶほどコストが高くなりやすい点には注意が必要です。
ホテルの経営面で不安がある方は、ぜひリロホテルソリューションズにご相談ください。「直集客」の強化から、開業やリブランドなどのコンバージョン支援、ブランド価値の向上まで、幅広くサポートいたします。
これから新規開業を目指す方、または現在ホテルを所有中でリース方式への運営変更を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
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