セルフチェックインはキーボックスで十分?仕組みとリスク、選び方を解説
人手不足やインバウンド対応で「セルフチェックイン」を導入するホテルも増えています。その中で「ハードルが高そう」という理由で、より手軽に設置できるキーボックスの導入を検討するホテル関係者の方も少なくないでしょう。
本記事では、キーボックスを活用したセルフチェックインの仕組みや、見落としがちな運用リスク(デメリット)などを解説します。
安易にキーボックスを導入して失敗しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
キーボックスを利用するセルフチェックインとは?
キーボックスを利用するセルフチェックインについて、以下の2つの観点から解説します。
- キーボックスを活用した鍵受け渡しの流れ
- キーボックスの種類
キーボックスの種類や受け渡しの流れなど、まずは基本的なことを詳しく見ていきましょう。
キーボックスを活用した鍵受け渡しの流れ
キーボックスによるセルフチェックインは、暗証番号を入力して内部の物理キーを取り出すシンプルな仕組みで、おもに民泊や小規模施設で広く採用されている手法です。以下のような流れで宿泊客に鍵を受け渡しします。
- 予約確定後:施設側からゲストへ、メール等で設置場所と暗証番号を通知
- 現地到着:ゲストがキーボックスに番号を入力して解錠、物理キーを受け取る
- 入室・滞在:受け取った鍵を使用して入室し、滞在開始
- チェックアウト:退出時に再度キーボックスへ鍵を戻して返却完了
なお旅館業法や民泊新法に基づき、宿泊名簿の作成と本人確認が義務付けられています。そのため、ICT端末(タブレット等)を用いたビデオ通話や、事前の身分証アップロードなどを組み合わせ、法令を遵守しつつ非対面で対応します。
キーボックスの種類
キーボックスは、導入コストや管理体制に合わせて、おもに以下の2種類に分類されます。
| 種類 | 特徴 |
| ダイヤル・プッシュ式 | ・電源工事不要で、ホームセンター等で安価に入手できる・導入が容易で、電池切れや故障のリスクが低い |
| IoT連携型 | ・ネット経由で番号が変更でき、駅等の専用BOXも利用可能・遠隔管理ができ、番号の使い回しを防げる |
設置場所も多様で、ドアノブに直接吊るす「南京錠型」、外壁などにネジで固定する「壁掛け型」、集合ポスト内に設置するタイプなど、施設の構造に合わせて選択可能です。
なお小規模施設や民泊では安価なアナログ式が主流ですが、番号変更の手間や防犯性を考慮し、近年は「キーステーション」のように駅などの外部ボックスを利用するサービスも普及しています。導入の際は施設の規模や運営形態に応じた選定が重要です。
キーボックスでセルフチェックインを導入するメリット・デメリット
キーボックスでセルフチェックインを導入するメリットとデメリットは、おもに以下の通りです。
- 【メリット】低コストで即日導入が可能
- 【デメリット】セキュリティリスクの存在
- 【デメリット】オーナー・ゲスト双方に負担
それぞれ詳しく解説します。
【メリット】低コストで即日導入が可能
キーボックスによるセルフチェックイン導入の最大のメリットは、「圧倒的な低コスト」と「即日運用が可能なスピード感」にあります。
1台あたり数千円程度から手に入るため、スマートロックのような大規模なシステム投資や高額な機器代、月額のシステム利用料が不要です。資金を抑えてスタートしたい民泊や小規模施設には、コストパフォーマンスの高い選択肢となります。
また設置が容易である点も魅力です。電源や配線の工事は一切不要で、ドアノブやフェンス、郵便受け等に本体を固定するだけで、その日からすぐに運用を開始できる手軽さがあります。
さらに、アナログな仕組みはデジタル操作に不慣れな高齢のゲストでも直感的に使いやすく、視覚的なわかりやすさがあります。ITリテラシーを問わず誰でもスムーズに鍵を受け取れる点は、システムトラブルを回避したい運営側の安心感にもつながるでしょう。
【デメリット】セキュリティリスクの存在
キーボックスによるセルフチェックインは手軽な反面、セキュリティリスクという大きな課題を抱えています。
最大の懸念は暗証番号の管理です。宿泊ごとに番号を変更しないと、過去の宿泊者が容易に不正侵入できてしまうリスクが生じます。とはいえ、遠隔地やスタッフ不在の施設では毎回現地に足を運んで手動で番号を変えるのは現実的に困難であり、結果的に同じ番号を使い続けてしまうという防犯上のリスクがあります。
さらに物理的な脆さも無視できません。安価なボックスは工具で破壊・持ち去りをされる危険性があるほか、物理キーそのものの紛失や、知らない間に合鍵を複製される恐れもあります。
アナログゆえのデメリットを理解し、防犯カメラとの併用や定期的な暗証番号の変更といった、リスクを最小限に抑える運用体制が不可欠です。
【デメリット】オーナー・ゲスト双方に負担
キーボックス運用はシンプルな反面、オーナーとゲスト双方に実務的な負担を強いる側面があります。
大きなリスクとなるのが「返却トラブル」です。チェックアウト時の鍵の戻し忘れや誤った持ち帰りが発生すると、当然ながら次に到着するゲストが入室できません。その際の予備鍵の手配や回収作業は、オーナーにとって大きな時間的・心理的コストとなります。
またゲスト側にとっても、指定の設置場所まで鍵を取りに行く手間があります。特に悪天候時や夜間の暗い場所では細かなダイヤル操作などに手間取りやすく、利便性の低下や不満につながりやすいのが難点です。
さらに屋外設置による物理的な摩耗・故障への対応や、不特定多数が触れる鍵やボックスへの感染症対策(消毒作業)などのメンテナンスも欠かせません。デジタル化されたスマートロック等に比べ、人的な管理コストがかかる点には注意が必要です。
【比較】キーボックス vs スマートキー|ホテルに最適なのはどちら?
実際にキーボックスとスマートキーとでは、どちらがホテル運用に最適なのかを、比較表を用いて解説します。あわせてホテルや旅館にスマートキーが向いている理由なども解説しますので、導入を迷っている方は参考にしてみましょう。
機能・セキュリティ・費用の比較一覧
セルフチェックインの導入を検討する際、コスト重視の「キーボックス」と、利便性・安全重視の「スマートキー(スマートロック)」はよく比較されます。それぞれの特徴は以下の通りです。
| 項目 | キーボックス | スマートキー(スマートロック) |
| 導入コスト | 低(数千円〜) | 中〜高(1室あたり数万円〜 + 別途工事・ネットワーク構築費) |
| 運用コスト(人件費) | 高(現地での番号変更、トラブル対応) | 低(システムによる完全自動化) |
| セキュリティ | 低(物理キー紛失・複製リスク) | 高(自動採番・入退室履歴管理) |
| ゲスト体験 | 手動(設置場所への移動・解錠の手間) | スムーズ(キーレスで入室可能) |
キーボックスは、ホームセンター等で購入してすぐに設置できる初期費用の安さが魅力です。ただし、セキュリティを保つには「毎回現地で番号を変える」という膨大な手間がかかります。これに対しスマートキーは初期投資が必要ですが、予約システムと連携すれば番号発行から通知までを自動化できるため、実質的な人件費を抑制できます。
またキーボックスは物理的な鍵を扱うため、紛失や合鍵作成のリスクを完全には排除できません。スマートキーの場合は宿泊期間中のみ有効な暗証番号を発行し、「いつ誰が入ったか」のログも残るため安心して運用できます。
なおキーボックスは必然的にキーボックスでの鍵の受け渡し作業があり、ゲストにとって少なからず負担となります。スマートフォンなどで手軽に入室できるスマートキーであれば、ゲストが求める「スムーズな体験」に直結するため、顧客満足度の向上にも効果的です。
ホテル・旅館にスマートキーが向いている理由
スマートキーの導入は、宿泊施設運営の「自動化」と「省人化」につながります。
最大のメリットは、物理キーの受け渡しが不要になる点です。予約システムと連携すれば、予約ごとに暗証番号を自動発行し、ゲストへ直接通知できます。鍵の受け渡しミスや使い回しのリスクを完全に排除しつつ、セキュリティの高い入室管理が可能です。
また物理キーの紛失対応や受け渡し業務がゼロになることで、フロントの負担も軽減します。スタッフの配置を最小限に抑える省人化や、夜間の無人化運用もできるため、人手不足への対策と人件費削減につながります。
失敗しないセルフチェックインシステムの選び方
失敗しないセルフチェックインシステムの選び方は、大きく分けて以下の2つです。
- PMS(ホテル管理システム)との連携がポイント
- サポート体制と導入後の運用イメージ
順に詳しく解説します。
PMS(ホテル管理システム)との連携がポイント
セルフチェックインシステムを選ぶ際に、機能の豊富さ以上に重視すべきなのが「PMS(宿泊管理システム)とのシームレスな連携」です。
PMSと連携する一番のメリットは、データ入力の「無人化」です。PMSと連携することで、予約サイトから取り込まれた宿泊者名、日程、部屋タイプなどの情報がチェックインシステムへ自動で反映されます。スタッフが手動で予約を照合する手間がなくなるだけでなく、部屋割りの確定からスマートキーの暗証番号発行までを全自動で管理できます。
このように、セルフチェックインシステムでの業務効率化は「既存PMSとの連携」を軸に考えるのがポイントです。
- サイトコントローラー(在庫・料金の同期)
- PMS(顧客・客室管理の中枢)
- セルフチェックイン機(ゲストの受付窓口)
- スマートキー(物理的な入室制御)
上記の要素が1つのシステムとしてつながることで、予約からチェックアウトまで一気通貫で運用できます。
そのため連携が不十分なシステムを選んでしまうと、結局システム間で情報を転記する「二度手間」が発生します。「導入したのに現場が楽にならない」という、本末転倒な事態を招きかねません。
関連記事:【初心者向け】ホテルのPMSとは?役割と導入メリット、選び方について解説
サポート体制と導入後の運用イメージ
セルフチェックインシステム選定の際は、「導入後の現場がどう回るか」という運用のイメージを持つことも大切です。
非対面・省人化運用において、トラブル時の対応は最大の懸念点です。万が一のシステム障害やゲストが操作に迷った際に、24時間体制のコールセンターなどが対応するといったバックアップの体制は確認しておきましょう。現場の安心感は、こうした「いざという時」のサポート体制の厚さに直結します。
またインバウンドの利用を想定し、多言語への対応力も重要です。単なる文字の翻訳だけでなく、直感的に操作できる分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)だと、フロントでの滞留を防ぎ業務効率も上がります。
さらに運用のミスマッチを防ぐために、「部分導入」が可能かどうかも確認しましょう。いきなり全客室を自動化するのではなく、一部のフロアや特定の部屋タイプから試験的に運用を開始するスモールスタートがおすすめです。現場スタッフの習熟度やゲストの反応を見つつ段階的に規模を拡大することで、混乱を避けつつスムーズにシステムを移行できます。
ホテルの運営効率化・DX化ならリロホテルソリューションズへ
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リロホテルソリューションズでは「90日で黒字化」をスローガンに、ターンアラウンドを通じて全国40か所以上のリゾート地や過疎地の宿泊施設を運営してきた実績があります。
スマートキーの導入といったDX化の支援においては、単にシステムを売るだけでなく、ホテル運営の現場を熟知したプロが「オペレーションの再構築」から提案。既存の鍵の種類やドアの形状、予算に合わせた最適なソリューション(キーボックス、スマートキー、タブレット等)を選定、サポートします。
ご相談は無料ですので、下記のフォームからお気軽にご連絡ください。
まとめ
キーボックスによるセルフチェックインは「低コスト」&「スピーディー」に導入でき、おもに民泊や小規模施設を中心に活用されています。
ただし暗証番号の管理や紛失といったリスクもあるため、初期コストは高いものの利便性やセキュリティ性能が高いスマートキー(スマートロック)を導入するのも効果的です。
またスマートキーなどのセルフチェックインシステムを採用する際には、既存PMSとの連携性能やサポート体制、導入後の運用イメージを持つことが大切です。
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【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
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