海外OTAの特徴とは?国内OTAとの違いと活用のポイントを紹介
インバウンド需要が急回復する中、海外からの宿泊客をどう取り込むかは、いまやホテル経営における重要なテーマです。一方で、「海外OTAは種類が多く違いがわからない」「手数料が高そうで導入に踏み切れない」といった悩みを抱える経営者も少なくありません。
本記事では、主要な海外OTAの特徴や手数料を比較し、それぞれの強みを整理します。さらに、海外OTAを単なる予約窓口ではなく、施設の認知を高める「広告塔」として活用し、自社サイト予約へつなげて利益を最大化するための考え方を解説します。
【関連記事】#44 OTAとは
海外OTAとは?
インバウンド需要の拡大に伴い、海外からの予約獲得には海外OTAの理解が欠かせません。海外OTAは、世界中の旅行者と宿泊施設を結ぶオンライン予約サービスであり、訪日外国人の多くが利用しています。
国内OTAとは役割や仕組みが異なるため、特徴を正しく把握することが、効率的なインバウンド集客の第一歩となります。
海外OTAの概要
OTA(Online Travel Agent)とは、インターネット上で宿泊施設や航空券などを予約できるオンライン旅行代理店のことです。日本旅館協会のデータによると、年間延べ宿泊者数の44.9%がOTA経由とされており、特に海外OTAの存在感は年々高まっています。
海外OTAは、世界中の旅行者が日常的に利用する巨大プラットフォームであり、多言語・多通貨に対応した環境が整っています。そのため、日本の中小規模ホテルであっても、掲載するだけで海外市場へアクセスできる点が大きな強みです。
インバウンド集客において、海外OTAは「最初に施設を知ってもらう入口」として欠かせない役割を担っています。
参照:令和6年度 営業状況等統計調査(令和5年度財務諸表より) | 日本旅館協会
国内OTAとの比較
海外OTAと国内OTAの大きな違いは、まずターゲット層にあります。国内OTAは日本人利用者が中心で、中高年層やファミリー層の利用が多い一方、海外OTAは欧米やアジアなど世界各国の旅行者を主な対象としています。
決済や契約形態にも差があり、国内OTAでは現地決済が多いのに対し、海外OTAは事前決済が主流です。キャンセルポリシーも柔軟な設定が求められる傾向があります。
さらに、海外OTAは多言語・多通貨対応が標準で、AIによる価格調整や需要予測機能など、収益最大化を支援する機能が充実している点も特徴です。
インバウンドに強い主要海外OTA 5選
海外OTAは、サービスごとに強みや得意な市場が異なります。ここでは、インバウンド集客で特に活用されている主要5社について、特徴や向いている施設タイプを整理して紹介します。
自社の立地や客層と照らし合わせながら確認することが重要です。
- Booking.com(ブッキングドットコム)
- Agoda(アゴダ)
- Expedia(エクスペディア)
- Trip.com(トリップドットコム)
- Airbnb(エアビーアンドビー)
順に見ていきましょう。
Booking.com(ブッキングドットコム)
Booking.comは、世界最大級の宿泊予約サイトとして高い認知度を誇る海外OTAです。欧米を中心に世界中の旅行者が利用しており、訪日外国人にとっても「まず検索されやすいOTA」として強い存在感があります。
掲載施設数や口コミ数が非常に多く、検索結果での露出機会が豊富な点は大きなメリットです。また、海外OTAでは多言語・多通貨対応が標準となっており、Booking.comも例外ではありません。世界的に利用者が多いため、海外ユーザーにとって予約のハードルが低く、初めての訪日旅行でも選ばれやすい点が特徴です。
一方、柔軟なキャンセルポリシーが求められる傾向があり、直前キャンセル対策や在庫管理の工夫は欠かせません。
初めて海外OTAを導入するホテルにとっては、インバウンド集客の入口として導入しやすく、都市部だけでなく地方観光地でも効果が期待できるサービスです。
| 項目 | 内容 |
| 主な強み | 世界的な知名度、検索・露出力の高さ |
| 利用者層 | 欧米中心の個人旅行客(FIT) |
| 機能面 | 多言語・多通貨、口コミ・評価機能が充実 |
| 注意点 | 柔軟なキャンセル条件への対応 |
| 向いている施設 | 都市型ホテル、地方観光地の宿 |
Agoda(アゴダ)
Agodaは、アジア圏に特化した集客力を持つ海外OTAで、東南アジアや韓国、台湾などからの訪日客に強い影響力を発揮します。価格比較に強く、割引表示やキャンペーンが目立つ設計となっているため、価格重視の旅行者から選ばれやすい点が特徴です。
短期滞在や都市部での宿泊需要と相性が良く、稼働率を優先した運用を行いたい施設に向いています。
一方で、価格競争に巻き込まれやすい側面もあるため、他OTAや自社サイトとの価格パリティ(同等性)管理が重要になります。安定した集客力を活かしつつ、利益率を確保するためには、販売戦略を意識した運用が欠かせません。
| 項目 | 内容 |
| 主な強み | アジア圏での高い認知度と集客力 |
| 利用者層 | アジア圏の価格重視層 |
| 機能面 | 割引表示、キャンペーン施策が豊富 |
| 注意点 | 価格競争・利益率の低下 |
| 向いている施設 | ビジネスホテル、都市型宿泊施設 |
Expedia(エクスペディア)
Expediaは、宿泊予約だけでなく航空券やレンタカーなどを組み合わせたパッケージ販売に強みを持つ海外OTAです。北米・欧州圏の利用者が多く、家族旅行や中長期滞在を想定した予約が入りやすい傾向があります。
客単価が比較的高くなりやすいため、一定の収益確保を狙いたいホテルにとって魅力的なプラットフォームです。
また、広告や露出を強化するマーケティング機能も用意されており、戦略的に活用すれば集客効果を高められます。ただし、プログラムによっては手数料が高くなるケースもあるため、コスト管理を意識した運用が重要です。
| 項目 | 内容 |
| 主な強み | パッケージ販売による集客力 |
| 利用者層 | 欧米の家族・長期滞在層 |
| 機能面 | マーケティング施策・露出強化 |
| 注意点 | 手数料が高くなりやすい |
| 向いている施設 | シティホテル、リゾートホテル |
Trip.com(トリップドットコム)
Trip.comは中国最大級のOTAであり、中国本土からの訪日客を取り込むうえで欠かせない存在です。中国語対応やAlipay・WeChat Payなど中国系決済手段への対応が進んでおり、中国人旅行者にとって使いやすい環境が整っています。
個人旅行だけでなく団体旅行の取り扱いも多く、観光地や大型施設との相性が良い点が特徴です。
今後のインバウンド回復を見据えると、中国市場への対応は中長期的に重要度が高まります。文化や商習慣の違いを理解し、適切な在庫管理や受入体制を整えることで、安定した集客につながるでしょう。
| 項目 | 内容 |
| 主な強み | 中国市場への圧倒的な訴求力 |
| 利用者層 | 中国人個人・団体旅行客 |
| 機能面 | 中国語対応、中国系決済手段への対応 |
| 注意点 | 商習慣・文化の違い |
| 向いている施設 | 観光地ホテル、団体受入れ施設 |
Airbnb(エアビーアンドビー)
Airbnbは、ホテルだけでなく民泊やユニークな宿泊体験を提供するプラットフォームです。体験重視・長期滞在を目的とした旅行者が多く、一般的なOTAとは異なる客層にアプローチできます。キッチン付き客室や広めの客室、滞在型サービスとの相性が良く、価格以外の価値で差別化を図りたい施設に向いています。
ホテルが活用する場合は、立地や設備だけでなく「その施設ならではの過ごし方」や体験価値を明確に打ち出すことが重要です。周辺観光との組み合わせや長期滞在向けプランを用意することで、滞在日数や客単価の向上も期待できます。
一方で、通常のホテル予約サイトとは利用者の期待値が異なるため、写真や説明文での情報発信を丁寧に行うことが成果につながるでしょう。
| 項目 | 内容 |
| 主な強み | 体験型・長期滞在需要 |
| 利用者層 | 個人旅行・長期滞在客 |
| 機能面 | 体験訴求、レビュー重視 |
| 注意点 | 施設コンセプトの明確化が必要 |
| 向いている施設 | コンセプトホテル、長期滞在向け施設 |
主要5社の手数料・特徴の比較
海外OTAの手数料は一律ではなく、多くのサービスで基本手数料+露出強化プログラムという構造になっています。単純な数字比較ではなく、「どこまで露出を上げるか」「費用対効果が合うか」を前提にした判断が重要です。
以下に、主要5社の手数料目安と特徴を整理しました。
| OTA名 | 基本手数料 | 露出強化プログラム利用時の目安 | 主な特徴・強み |
| Booking.com | 12% | 15〜20% | 世界最大級の集客力。露出施策が豊富 |
| Agoda | 12% | 15% | アジア圏に強く価格訴求が得意 |
| Expedia | 12~18% | 13~25% | パッケージ販売で高単価を狙える |
| Trip.com | 15% | – | 中国市場に圧倒的な影響力 |
| Airbnb | 15% | – | 長期滞在・体験型需要に強い |
※手数料は契約条件や地域により変動する場合があります。あくまで参考値として認識してください。
海外OTAの手数料は、基本12〜15%が起点となり、露出を高めるほど上乗せされる仕組みが一般的です。重要なのは、手数料を抑えること自体ではなく、支払った手数料以上の集客効果と客単価を得られているかという視点です。
施設の立地やターゲットに応じてOTAごとの役割を分けることで、インバウンド集客を利益につなげやすくなるでしょう。
OTAの手数料に関するより詳しい情報は、下記の関連記事をご覧ください。
【関連記事】OTAの手数料を徹底比較!ホテル経営者が知るべきコスト削減と集客戦略とは
海外OTA導入のメリット
海外OTAを活用することで、国内向け集客だけでは取りこぼしていた需要にアプローチできます。
ここでは、インバウンド集客の観点から、ホテル経営において特に効果が大きい3つのメリットを紹介します。
- 認知拡大(ビルボード効果)
- 多言語対応の自動化
- 閑散期稼働率の底上げ
順に見ていきましょう。
認知拡大(ビルボード効果)
海外OTAは、世界中の旅行者が日常的に利用する巨大な集客プラットフォームです。自社サイトだけではリーチできない海外層に施設情報を届けられるため、認知度向上に大きく貢献します。
OTA上で施設名や写真を目にした旅行者が、後日あらためて検索し自社サイトから予約するケースも少なくありません。このように、海外OTAは単なる予約獲得の場ではなく、施設を広く知ってもらう「広告塔」としての役割も果たします。
多言語対応の自動化
海外OTAでは、多言語・多通貨対応が標準機能として整備されています。ホテル側が個別に翻訳をしなくても、英語や中国語など複数言語で情報を発信できる点は大きなメリットです。ただし、翻訳ミスなど間違った登録をされている場合も多いので、チェックする必要がある点には注意が必要です。
料金表示も各国通貨で自動変換されるため、海外旅行者にとって予約のハードルが下がります。限られた人員で運営する中小規模ホテルでも、効率的にインバウンド対応を進められる点は見逃せません。
閑散期稼働率の底上げ
海外OTAを通じた集客は、稼働の平準化にも効果を発揮します。日本の連休や繁忙期と、海外旅行者の休暇シーズンは必ずしも一致しません。そのため、国内需要が落ち込みやすい平日や閑散期でも、海外からの予約を獲得できる可能性があります。
結果として、年間を通じた稼働率の底上げにつながり、売上の安定化を図りやすくなります。
最新のインバウンド事情や対策に関する詳しい情報は、下記の関連記事をご覧ください。
【関連記事】【2025年最新】ホテル・旅館のインバウンド対策は何から始める?集客から受け入れ体制まで網羅
海外OTAのリスクと注意点
海外OTAは、インバウンド集客に有効な一方で、導入・運用にあたって注意すべき点もあります。メリットだけで判断せず、リスクを理解したうえで対策を講じることが、安定した収益確保につながります。
リスクおよび注意点は、主に以下の3点です。
- 手数料負担
- 在庫管理とオーバーブッキング
- パリティ(同等性)の維持
順に見ていきましょう。
手数料負担
海外OTAは集客力が高い反面、国内OTAと比べて手数料が高めに設定されるケースが多く、利益率を圧迫する可能性があります。さらに、海外送金に伴う送金手数料や、為替変動による収益の変動にも注意が必要です。
表面上の手数料率だけでなく、実際の入金額ベースで収益性を確認し、手数料に見合った集客効果が得られているかを、定期的に検証する姿勢が欠かせません。
在庫管理とオーバーブッキング
複数の海外OTAを併用すると、在庫や料金の管理が煩雑になりやすくなります。更新のタイミングがずれると、同じ客室が重複して販売され、オーバーブッキングにつながるリスクも高まります。
こうしたトラブルは、クレームや評価低下の原因になりかねません。安定運用のためには、在庫管理を一元化し、リアルタイムで反映できる体制を整えることが重要です。
また、海外OTAでは予約のしやすさから、ノーショー(無断キャンセル)が発生しやすい傾向もあります。被害を防ぐためには、事前決済の導入や返金不可プランの設定など、予約条件を工夫することも重要です。
パリティ(同等性)の維持
海外OTAとの契約内容によっては、他の販売チャネルと同等の価格設定を求められる場合があります。
近年は独占禁止法上の判断を背景に、強制的な価格パリティ条項は緩和・撤廃される流れにありますが、実務上は注意が必要です。
ホテル側が価格パリティを守っていても、OTA側の会員割引やキャンペーン施策によって、結果的に表示価格に差が生じるケースは少なくありません。そのため、自社サイトを安くできないと誤解されやすく、直販強化の妨げになることもあります。
契約条件を正しく理解したうえで、価格以外の特典や付加価値による差別化をする視点が重要です。
利益を最大化する海外OTA活用戦略
海外OTAは、使い方次第で「高い手数料コスト」にも「安定収益の源」にもなります。重要なのは、闇雲に掲載するのではなく、自社ホテルの特性に合わせた戦略的な運用をすることです。
ここでは、利益を最大化するための実践的な視点を紹介します。
施設タイプに合わせたOTAの使い分け
海外OTAは、それぞれ強みと得意市場が異なるため、「とりあえず全部掲載」では効率的とはいえません。自社ホテルのターゲット国や客層を明確にし、相性の良いOTAにリソースを集中させることが重要です。
たとえば、アジア圏からの宿泊客が多い施設であれば、Agodaを軸にしつつ、欧米客向けにBooking.comやExpediaを強化するといった使い分けが考えられます。OTAごとの役割を整理すれば、運用負荷を抑えながら集客効果を高めやすくなるでしょう。
サイトコントローラーによる在庫の一元管理
複数の海外OTAを運用する場合、在庫管理の煩雑さは避けて通れません。手動更新では反映漏れが起こりやすく、オーバーブッキングによる機会損失やクレームにつながる恐れがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、サイトコントローラー(チャネルマネージャー)による在庫の一元管理が不可欠です。各OTAの在庫・料金をリアルタイムで連動させることで、運用負荷を軽減しつつ、安定した販売体制を構築できます。
自社直販とのバランスをとる
海外OTAへの依存度が高くなりすぎると、手数料負担が重なり、利益が残りにくくなる可能性があります。そのため、OTAと自社サイトを役割分担して活用する視点が欠かせません。
価格だけで差をつけるのが難しい場合は、会員限定特典や付加サービスを用意し、自社予約の魅力を高める工夫が有効です。
海外OTAは新規顧客獲得の「広告塔」として活用し、リピーターは直販へ誘導することで、収益性の高い集客構造を目指せます。
複雑なインバウンド集客・収益化はリロホテルソリューションズに相談を
海外OTAはインバウンド集客に有効な一方、手数料管理や在庫調整・直販とのバランス設計など、運用は複雑になりがちです。
リロホテルソリューションズは、OTA運用から価格戦略・サイトコントローラーの活用・自社予約強化までを一体で支援できる点が強みです。施設の立地や客層、経営目標に合わせた最適な集客設計により、売上だけでなく「利益が残る仕組みづくり」をサポートします。インバウンド施策に不安を感じているホテル経営者にとって、心強いパートナーとなるでしょう。
まとめ
海外OTAは、インバウンド需要を取り込むうえで欠かせない集客チャネルです。主要OTAごとに得意な市場や手数料体系は異なるため、自施設のターゲットに合わせた使い分けが重要になります。
一方で、手数料負担や在庫管理、パリティへの対応など、運用面の課題も無視できません。海外OTAを「予約窓口」だけで終わらせず、認知拡大の広告塔として活用し、自社サイト予約と組み合わせることで、収益性は大きく変わります。
リロホテルソリューションズでは、こうした海外OTA活用から直販強化までを一体で設計し、ホテルごとの状況に応じたインバウンド集客・収益化を支援しています。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。



