コラム

2026.03.24

ホテルが直接予約を増やすべき理由とは?利益率を最大化する集客戦略

ホテルが直接予約を増やすべき理由とは?利益率を最大化する集客戦略

「OTAの手数料が重い」「価格競争に巻き込まれて利益が残らない」と感じていませんか。中小規模ホテルにとって、販売チャネルの設計は収益を左右する重要な経営課題です。中でも注目すべきなのが「直接予約」の強化です。

この記事では、ホテルの直接予約を軸にOTAとの違いを紹介します。そのうえで直接予約を増やすメリットや具体策、さらに両立させる戦略まで解説します。利益率を高め、主体的な販売体制を築くためのヒントをお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

宿泊予約の主流「OTA」と「直接予約」の違い

ホテルの予約経路は大きく「OTA」と「直接予約」に分かれます。どちらも重要な販売チャネルですが、手数料構造や集客力、ブランドへの影響は大きく異なります。

まずは両者の違いを整理し、自社にとって最適な活用法を考えていきましょう。

手数料体系と集客アプローチの違い

OTA(Online Travel Agent)は成果報酬型のビジネスモデルで、予約成立ごとに宿泊料金の約8〜15%前後の手数料が発生します。さらに、代理店手数料だけでなく、自社設定型クーポンの原資負担やシステム利用料などが加わるケースもあり、実質的なコストは想定以上になることも少なくありません。

一方、直接予約は公式サイトや電話・メールを通じた予約を指し、送客手数料がかからないため、販売価格がそのままホテルの収益に反映されます。

ただし、集客力の面では違いがあります。OTAは広範な顧客層にリーチできるため新規顧客の獲得に強く、公式サイトはブランド理解を深めたうえでの予約につながりやすく、リピーター育成にも適しているのが特徴です。

OTAの概要や手数料などに関するより詳しい情報は、下記の参考記事をご覧ください。

【関連記事】OTAとは?ホテル経営者が知るべき旅行代理店との違いと集客最大化のポイント

【関連記事】OTAの手数料を徹底比較!ホテル経営者が知るべきコスト削減と集客戦略とは

近年の予約経路の傾向

日本旅館協会の調査によると、宿泊人員のうちOTA経由は46.9%と約半数を占めています。一方、自社ホームページ経由は11.5%、電話・メールなどの直接予約も11.5%です。代理店を通さない直販系は合計しても約23%にとどまっています。

出典:令和7年度営業状況等統計調査|日本旅館協会

インバウンド回復に伴い、海外系OTAの存在感は高まっていますが、パンデミック以降は利益率改善を目的に「直販率」を見直す動きも広がっています。予約数だけでなく、利益構造まで踏まえたチャネル戦略が求められているといえるでしょう。

ホテルが直接予約を増やすためには、単に価格を下げるのではなく、戦略的なチャネル設計と受け皿の整備が不可欠です。

ホテルが直接予約を強化する4つのメリット

直接予約の強化は、単に手数料を削減するだけでなく、経営基盤そのものを強くする効果があります。代表的なメリットは次の4つです。

手数料削減による「利益率」の改善顧客データの蓄積とパーソナライズ独自のブランド価値とコンセプトの訴求柔軟な在庫管理と独自配分のコントロール

順に見ていきましょう。

メリット1:手数料削減による「利益率」の改善

直接予約の最大のメリットは、OTAに支払う8〜15%前後の送客手数料が不要になる点です。仮に1泊5万円の客室が公式サイト経由で予約された場合、本来OTAに支払うはずだった数千円がそのまま利益として残ります。

年間で積み上げれば、その差は決して小さくありません。具体的にどれほどの差が生まれるのか、シミュレーションで見てみましょう。

項目OTA経由直接予約
宿泊単価50,000円50,000円
手数料(10%想定)▲5,000円0円
実際の売上45,000円50,000円
差額+5,000円

例えばこの差額5,000円が月100件発生すると、月間で50万円、年間では600万円の利益差となります。客室数や稼働率によっては、さらに大きなインパクトになるでしょう。

さらに重要なのは、削減した手数料を施設改善やスタッフ教育、サービス向上へ再投資できることです。こうした取り組みが顧客満足度を高め、リピート増加につながる好循環を生み出します。

直接予約の強化は、利益率の底上げとブランド価値向上を同時に実現する経営戦略といえるでしょう。

ホテルの利益率に関する情報は、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】ホテルの利益率とは?正しい計算方法と収益改善のポイントについて解説

メリット2:顧客データの蓄積とパーソナライズ

OTA経由の予約では、入手できる顧客情報が限定的であることが少なくありません。一方、直接予約では連絡先や宿泊履歴・利用目的・記念日情報・細かなリクエストまでを自社の資産として蓄積できます。これらのデータを活用すれば、宿泊後のお礼メールや誕生日に合わせた特別オファーの配信など、CRM(顧客関係管理)を通じた継続的な関係構築が可能です。

顧客ごとの利用頻度や客単価を把握することで、優良顧客への優先的な特典提供や再来訪を促す施策が可能となり、LTV(顧客生涯価値)の最大化にもつながるでしょう。さらに初回利用からリピート、ロイヤル顧客化までの導線を設計することで、安定した収益基盤の構築が期待できます。

顧客一人ひとりに合わせた提案は、価格競争からの脱却にもつながります。データを持つことは、顧客を理解し、長期的な収益を育てるための基盤といえるでしょう。

メリット3:独自のブランド価値とコンセプトの訴求

OTAは利便性が高い一方で、表示形式がテンプレート化されているため、施設ごとの細かなこだわりやストーリーを十分に伝えきれない場合があります。公式サイトであれば、写真や動画、ブログ記事などを自由なレイアウトで配置でき、ホテルの世界観を立体的に表現できます。

料理への想い・地域との関わり・スタッフの取り組みなどを丁寧に発信することで、価格ではなく価値で選ばれる存在へと近づくでしょう。

共感によって予約される状態をつくれれば、単なる比較対象から脱却し、ファンを育てる基盤が整います。

メリット4:柔軟な在庫管理と配分のコントロール

直接予約を強化すれば、販売チャネルの主導権をホテル側が握りやすくなります。価格の同一性を守りつつも、公式サイト限定の特典や付加価値を設けることで差別化は可能です。

たとえば、ロイヤルカスタマー向けの先行販売や限定プランの提供、キャンセルポリシーの柔軟な設定など、戦略的な配分設計が行えます。需要動向に応じた在庫調整も自社判断で迅速に行えるため、レベニューマネジメントの精度も高まります。

結果として、単なる販売チャネルの一つではなく、利益を最大化するためのコントロールセンターとして機能するようになるでしょう。

直接予約を増やすための外部露出戦略

直接予約を増やすには、公式サイトの改善だけでは不十分です。外部チャネルを上手に活用しながら、最終的に公式サイトへ誘導する設計が重要になります。

ここでは、直接予約につなげるための代表的な3つの外部露出戦略を解説します。

ビルボード効果(看板効果)の活用Googleビジネスプロフィールとメタサーチ広告の強化SNSによる「ファン化」の促進

順に見ていきましょう。

ビルボード効果(看板効果)の活用

多くの旅行者は、まずOTAでホテルを見つけ、その後に詳細情報を求めてホテル名で再検索する傾向があります。このように、OTAが認知の「看板」として機能し、公式サイトへの再検索につながる現象を「ビルボード効果(看板効果)」と呼びます。つまり、OTAは単なる販売チャネルではなく、潜在顧客に存在を知らせる広告媒体としての役割も担っているのです。

重要なのは、この行動を前提にした導線の設計です。再検索時に公式サイトが魅力的でわかりやすく表示されていれば、最終的な予約は自社経由へと自然に誘導できます。

OTAを排除するのではなく、認知拡大の装置として活用し、直販へつなげる設計が成果を左右します。

Googleビジネスプロフィールとメタサーチ広告の強化

Googleビジネスプロフィールは、無料で活用できる重要な集客基盤です。写真や口コミへの返信、最新情報の更新の徹底などにより、Googleマップや検索結果から公式サイトへの導線を強化できます。

また、Googleホテル広告などのメタサーチ広告を活用すれば、OTAの価格と並列に公式サイトの料金を表示でき、価格の優位性や特典の存在を直接アピールできます。なお、この機能は予約エンジンや連携状況によっては対応していない場合や、事前の設定・契約が必要になるケースもあるため、導入時には確認が必要です。こうした条件を踏まえたうえで活用すれば、旅行者が比較検討する瞬間に公式サイトを選択肢として提示でき、直販比率の向上にもつながるでしょう。

検索結果の主導権を握ることが、直接予約増加への近道です。

SNSによる「ファン化」の促進

SNSは単なる宣伝ツールではなく、ブランドの世界観や人柄を伝えるメディアです。スタッフの日常や朝食づくりの裏側、地域との関わりなどを発信することで、価格ではなく共感で選ばれる関係性を築けます。

重要なのは、投稿を見るだけで終わらせず、プロフィール欄から会員登録ページや限定プランページへと最短距離で誘導する導線設計です。ファン化が進めば、次回の旅行時にOTAで検索する前に公式サイトを訪れる行動へと変わります。長期的に直販率を高めるには、共感と接点の積み重ねが欠かせません。

公式サイトの改善で予約率(CVR)を高める

外部露出で集客できても、公式サイトで予約に至らなければ意味がありません。直接予約を増やすには、訪問者を確実に成約へ導く仕組みづくりが不可欠です。

ここでは、予約率(CVR)を高めるための具体的な改善ポイントを解説します。

モバイルフレンドリーで直感的なUXデザイン

旅行関連商品の検索や予約は、いまやスマートフォン経由が過半数を超えています。そのため、スマホでの見やすさと操作性は「あるとよい」ではなく「必須条件」です。文字が小さい、画像が重い、ボタンが押しにくいなどの小さなストレスが、予約離脱の原因になります。

さらに重要なのは導線設計です。どのページを閲覧していても、ワンタップで予約画面へ進める構造になっているかが成否を分けます。迷わせないナビゲーションと直感的なUX(User Experience)を整えることで、訪問者の検討意欲をそのまま予約へと転換できるでしょう。

公式サイト限定の「動機づけ」となる特典設計

公式サイトで予約する明確な理由がなければ、利用者は利便性の高いOTAを選びがちです。そのため、公式限定の動機づけを設けることが重要になります。

代表例が「ベストレート(最低価格保証)」の明示です。公式が最安であるという安心感は、比較検討段階で強い後押しになります。加えて、レイトチェックアウトやウェルカムドリンク、お土産サービスなど、価格以外の付加価値を提供することで差別化が可能になるでしょう。

単なる値引きではなく、体験価値を高める特典設計が、利益を守りながら直販比率を引き上げます。

離脱を防ぐ高機能な自社予約システムの導入

どれほど魅力的なサイトでも、予約フォームが煩雑であれば成約率は下がります。入力項目が多すぎたり、途中でエラーが頻発したりすると、いわゆる「カゴ落ち」が発生します。

予約ステップは可能な限りシンプルに設計し、入力負担を最小限に抑えることが不可欠です。また、多言語対応や多通貨決済、多彩なオンライン決済への対応も重要になります。インバウンド需要を取り込むには、海外利用者が安心して決済できる環境整備が前提です。

予約システムは単なる機能ではなく、収益を左右する重要なインフラといえるでしょう。

直接予約を強化する際の注意点とOTAとの共存戦略

直接予約の強化は重要ですが、OTAを排除すればよいという単純な話ではありません。集客力と利益率の両立には、チャネルごとの役割を明確にした戦略設計が不可欠です。

直販強化を進める際の注意点と共存の考え方は、次の通りです。

OTA経由の予約を「ゼロ」にしない過剰な割引合戦を避ける

順に解説します。

OTA経由の予約を「ゼロ」にしない

OTAには依然として圧倒的な集客力があります。検索利便性やポイント制度、海外顧客へのリーチ力などを考えると、新規顧客との出会いの場としての価値は高いままです。直販比率を高めたいからといって、OTAを過度に縮小すれば、認知機会を失う可能性もあります。

重要なのは棲み分けの視点です。OTAで新規顧客を呼び込み、宿泊体験を通じて満足度を高め、その後は公式サイトでリピーターとして関係を深めていく。この流れを意図的に設計することが、健全なチャネルミックスを実現する鍵となります。

短期的な利益だけでなく、中長期の顧客育成まで見据えた戦略が求められるでしょう。

過剰な割引合戦を避ける

直接予約を増やしたいあまり、極端な割引を繰り返すと、ブランドイメージの低下につながります。一度価格を下げると、顧客はその水準を基準として認識し、正規価格での販売が難しくなることも少なくありません。さらに、価格競争に巻き込まれれば利益率の改善という本来の目的からも遠ざかります。

重要なのは、割引に依存しない差別化です。特別感のある特典設計や滞在体験そのものの質を高める取り組みを通じて、満足度を起点とした直販増加を目指すべきです。

価格ではなく価値で選ばれる状態を築くことが、持続可能な直販戦略につながります。

ホテルの売上拡大をサポートする「リロホテルソリューションズ」

直接予約を増やすには、Webマーケティングの専門知識だけでなく、公式サイトの改善・予約システムの最適化・チャネル戦略の再設計など、多岐にわたる施策が必要です。個別に取り組むことも可能ですが、全体設計が不十分であれば十分な成果は得られません。

リロホテルソリューションズでは、ホテルの「集客」と「運営」の両面からアプローチし、利益率の改善をトータルで支援しています。各施設の規模や立地、ターゲットに応じた最適なチャネルミックスを提案し、中長期的な収益の安定化を実現します。直販強化を本格的に進めたい方は、ぜひリロホテルソリューションズへご相談ください。

まとめ

ホテル経営において、直接予約の強化は、利益率改善と販売主導権の確立につながる重要な戦略です。OTAには集客力という大きな強みがありますが、直販比率を高めることで収益構造はより健全になるでしょう。

大切なのは、どちらか一方に偏るのではなく、役割を明確にしたチャネルミックスを設計することです。公式サイトの改善や外部露出の強化を通じて直販基盤を整えれば、中長期的な安定収益が見込めます。
リロホテルソリューションズでは、施設ごとに最適な戦略立案から実行支援まで一貫して行っています。売上拡大と利益率向上を目指す際は、具体的な戦略づくりからお手伝いします。お気軽にお問い合わせください。

株式会社リロホテルソリューションズ
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【監修者情報】
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「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。

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