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コラム

2025.08.05

ホテルのADRとは?計算方法から収益を最大化する活用法まで徹底解説!

ホテルのADRとは?計算方法から収益を最大化する活用法まで徹底解説!

ホテルを運営するうえで重要な指標に「ADR(客室平均単価)」があります。これに「OCC(稼働率)」や「RevPAR」を加えた3つが、ホテル経営の基盤となる重要な指標です。

本記事ではADRについて、以下のような項目を解説します。

・ホテル経営におけるADRの役割と重要性・ADRの計算方法・OCCやRevPARとの違い・ADR向上のための施策

本記事をお読みいただくことでADRへの理解が深まり、データを活用した戦略的な運営が可能になります。ホテル運営に携わる方は、ぜひ最後までご覧ください。

ADRはホテル経営の“ものさし”

ADRとは、ホテルの経営における“ものさし”ともいえる重要な指標です。その理由を以下2つの観点から解説します。

  • ADR(客室平均単価)とは
  • ホテル運営でADRが注目される理由

1つずつ詳しく見ていきましょう。

ADR(客室平均単価)とは

ホテルのADRは「Average Daily Rate(客室平均単価)」の略で、販売した客室1室あたりの平均販売価格を指します。

宿泊売上合計を販売客室数で割って算出される、ホテルの収益性や価格戦略を評価するうえで重要な指標です。

ホテル運営でADRが注目される理由

ADRは、施設全体の価格帯や収益性を把握するための重要な指標です。客室単価が高いほど1室あたりの収益貢献度も高く、施設の収益力に直結します。ADRのデータをもとに、現在の運営方法が持続可能かどうかを判断できます。

また、宿泊料金の妥当性を判断し、適正価格を設定するための指針となるのも特徴です。競合ホテルのADRや市場の需要動向と比較することで、自ホテルの料金設定が適正であるかを客観的に判断できます。

例えば、ADRが低い場合は料金の見直しや付加価値による価格引き上げを検討し、高すぎる場合は需要減少のリスクを考慮するなど、戦略的な意思決定が可能です。

またマーケティングや販売戦略の効果を測る指標にもなります。特定のプロモーションや販売チャネルの利用がADRにどのような影響を与えたかを分析することで、マーケティング施策に反映させることができます。

ADRの計算方法と注意点

ADRの計算方法と注意点を、以下の2つに分けて解説します。

  • ADR=総宿泊売上÷販売客室数
  • ADRの適正値は変動する

順に詳しく見ていきましょう。

ADR=総宿泊売上÷販売客室数

ホテルのADR(客室平均単価)は、以下の計算式で算出されます。

ADR = 宿泊売上合計 ÷ 販売客室数

例えば、ある日の宿泊売上が100万円で、販売客室数が50室の場合、ADRは2万円です。

100万円(宿泊売上合計) ÷ 50室(販売客室数) = 2万円(ADR)

ADRはホテルの価格設定や販売戦略が適切かを評価する指標です。稼働率(OCC)との組み合わせでRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)も算出でき、より総合的な収益性を把握できます。なお、OCCやRevPARとの違いや関係性については、後ほど詳しく解説します。

ADRの適正値は変動する

ADRを分析するうえで押さえておきたいのは、ADRの数値がさまざまな要因によって大きく変動するという点です。

例えば高級リゾートホテルとビジネス街の簡易なホテルでは、適正とされるADRは大きく異なります。立地やターゲット層で変わるのがADRの特徴です。

さらに、観光シーズンやイベントの有無といった季節性や需要の変動もADRに影響を与えます。閑散期には価格を下げて集客を図るなど、柔軟な価格設定が求められます。

自ホテルのADRの適正値に悩んだ場合は、観光庁が発表している「宿泊旅行統計調査」などを参考にするとよいでしょう。下記のように宿泊施設タイプごとの稼働率などがデータ化されています。

引用元:宿泊旅行統計調査 (2025年4月・第2次速報)

稼働率の推移をもとに、閑散期や繁忙期を判断できるため、ADRの価格設定に活用できます。

さらに、OTAなどを活用して競合ホテルの価格をリサーチし、自ホテルのADRと比較することも効果的です。市場における自ホテルの競争力を考慮し、必要に応じて料金を調整し、収益の最大化を目指しましょう。

OCC・RevPARとの違いと関係性

OCCとRevPARとの違いや関係性を、指標ごとに解説します。

  • OCC(稼働率)との関係
  • RevPAR(レブパー)との関係

それぞれ詳しく見ていきましょう

OCC(稼働率)との関係

OCCは「Occupancy Rate」の略で、販売可能な全客室のうち実際にどれだけ稼働したかを示す割合です。例えば100室のホテルで80室が稼働していれば、OCCは80%となります。

ADRとOCCは一般的に反比例する傾向があり、価格(ADR)を下げるとOCCは上がりやすく、逆に価格を上げるとOCCは下がる傾向にあります。

ただし、価格を下げてOCCを上げても、ADRが下がりすぎると収益にはつながりません。極端な例ですが、1室100円で売れば満室にはなるものの、大幅な赤字となってしまいます。

OCCの詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

>>ホテルの稼働率(OCC)とは?経営成功の鍵となる稼働率向上のポイントを解説!

RevPAR(レブパー)との関係

RevPARは「Revenue Per Available Room」の略で、販売可能な全客室1室あたりの収益額を示すホテル全体の収益力を測るための指標です。以下の計算式で算出します。

RevPAR = ADR × OCC(客室稼働率)

RevPARは、ADRとOCCの要素を総合的に考慮した指標であり、双方のバランスを測るものです。ADRが高くても稼働率が低ければRevPARは伸びず、逆に稼働率が高くてもADRが低ければ同様にRevPARは伸びません。

ホテルの収益最大化に直結する指標として、RevPARは非常に重要です。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

>>RevPAR(レブパー)とは?ホテル経営の収益力を測る指標を徹底解説!

ADRの戦略的な活用方法5選

ADRの戦略的な活用方法を5つ紹介します。

  • 収益トレンド分析と精度の高い需要予測
  • 競合ホテルとの比較による立ち位置の明確化
  • 収益最大化に向けた販売戦略の立案
  • マーケティング施策の効果測定と評価
  • データに基づいた販売価格と売上目標の設定

順に詳しく見ていきましょう。

収益トレンド分析と精度の高い需要予測

ADRの戦略的活用には、収益トレンド分析と精度の高い需要予測が不可欠です。過去のADRデータを月次や年次で分析することで、繁忙期や閑散期の傾向を把握し、季節性による変動パターンを明確にできるためです。

さらに周辺イベントや祝日、気象条件といった外部要因とADRの推移を照らし合わせ、需要変動の具体的な要因も分析しましょう。先々の需要を予測し最適な価格設定や販売戦略を立てられるため、収益の最大化を図れます。

競合ホテルとの比較による立ち位置の明確化

ADRの戦略的活用には、競合ホテルとの比較が欠かせません。競合エリアの宿泊価格を調査し、自ホテルのADRが相場から大きく外れていないかを確認することで、自社の立ち位置を明確にできるためです。

また、自ホテルのADRが競合と比べて低い場合は、あえて価格を上げずに「お得感」を打ち出す戦略も有効です。低価格を強みとしてターゲット層にアピールし、稼働率を高めることでRevPARも最大化できます。

競合分析を通じて自社の強みと弱みを把握し、最適な価格戦略を構築することが重要です。

収益最大化に向けた販売戦略の立案

ADRの戦略的活用には、収益最大化に向けた販売戦略の立案が不可欠です。理想はADRとOCCの両方を高水準に保つことですが、常に実現できるわけではありません。

重要なのは、RevPARの数値を意識することです。ADRとOCCはトレードオフの関係になりがちですが、RevPARの最大化を意識することで、収益向上を図ることができます。

パターンAパターンB
ADR7,000円9,000円
OCC90%75%
RevPAR6,300円6,750円

上記のパターンBのように、OCCを多少犠牲にしてでもADRを上げた方が、結果的にRevPARが高くなる場合もあります。需要と供給を見極め、適切な販売戦略を立てましょう。

マーケティング施策の効果測定と評価

マーケティング施策の効果測定も重要です。高価格帯プランのプロモーション実施後にADRの上昇率を確認することで、施策の効果を客観的に評価できます。

もし稼働率重視の割引施策などでADRが一時的に下がったとしても、RevPARが上昇していれば収益全体としては成功と判断できます。

重要なのは、ADR・OCC・RevPARの3つの指標を多角的に評価軸として活用することです。マーケティング施策の効果測定と評価をもとに、PDCAサイクルを回していきましょう。

データに基づいた販売価格と売上目標の設定

ADRの戦略的活用には、データに基づいた販売価格と売上目標の設定が重要です。具体的には、過去のADR推移を月次・年次で詳細に分析します。繁忙期や閑散期の特性を把握し、売上目標や予算を策定する際の参考にしてください。

さらに、数か月先の競合ホテルの価格動向についてOTAなどを通じて調査します。市場相場や需要の変化を先読みし、データに基づいた目標設定と価格戦略で収益向上を目指しましょう。

ADRを向上させる5つの方法

ADRを向上させる主な方法は、以下の5つです。

  • 付加価値の強化で“選ばれる”ホテルに
  • 直販比率アップで「手取りADR」も改善
  • 需要が読みにくい日の価格設計
  • 客層・部屋タイプごとの最適化
  • 口コミ・SNS評価をADR向上に活かす

順に詳しく解説します。

付加価値の強化で“選ばれる”ホテルに

ADRを向上させるには、以下のような付加価値の強化が効果的です。

  • 朝食メニューの充実化
  • 女性向けアメニティの充実
  • オールインクルーシブプランの販売 など

上記のような取り組みは、競合との差別化につながり、「このホテルだからこそ泊まりたい」という顧客心理を生み出します。高い宿泊料金にも納得してもらえれば、ADRの自然な向上につながります。

直販比率アップで「手取りADR」も改善

直販比率のアップも、ADRの向上に効果的です。OTA経由の予約は集客力が高い反面、手数料が差し引かれるため実質的な収益が減少します。

直販比率を高めることで手数料を削減でき、同じ宿泊料金でもホテルに入る収益が増え、結果的にADRの向上にもつながります。

具体的な施策としては、公式サイトでの予約を促進するキャンペーンや、リピーター獲得のための会員制度・特典の充実などが効果的です。

需要が読みにくい日の価格設計

ADR向上のためには、需要予測が難しい日の価格設計が特に重要です。たとえば、特定のイベント開催が未定で直前まで需要が見通せない日などは、まずは高めの価格で市場の反応を見ます。

その後、残室の推移を日々確認し、予約が伸び悩む場合は段階的に価格を調整します。この方法であれば、需要の不確実性が高い状況でもADRを最大化しつつ、収益機会を逃しません。もし早々に部屋が埋まる場合は、価格が安すぎる可能性があるため、値上げを検討しましょう。

客層・部屋タイプごとの最適化

客層や部屋タイプごとの最適化もADR向上に効果的です。具体的には、シングルやツインなど部屋タイプごとの収益性を比較・分析します。稼働率が伸びない部屋タイプがあれば、価格の見直しはもちろん、場合によってはリニューアルも検討します。

また、人数や利用目的ごとに販売戦略を立てることも重要です。ビジネス利用の多い平日にはシングルルームの料金を、観光需要の高い週末にはツインやファミリータイプの料金を最適化するなど、顧客のニーズに合わせて販売価格を調整しましょう。

口コミ・SNS評価をADR向上に活かす

顧客からの口コミを分析してサービス改善を図ることで、顧客満足度が向上し、高評価につながります。宿への高評価は宿泊料金への納得感を高め、結果的にADRを押し上げる要因となります。

また、好意的な口コミや顧客体験は、SNSや公式サイトでも積極的に発信しましょう。ユーザー生成コンテンツ(UGC)のシェアや高評価レビューの掲載は、新たな顧客の獲得やリピーターの育成につながります。

ADR分析・改善にお悩みならプロに相談!

ADRの分析や改善にお悩みの場合は、ぜひリロホテルソリューションズにご相談ください。

リロホテルソリューションズでは「90日で黒字化」をスローガンに掲げ、ターンアラウンドを通じて全国40か所以上のリゾート地や過疎地の宿泊施設を運営してきた実績があります。

ご相談の際は、弊社が無料で提供している「宿の健康診断」をご利用ください。専用フォームに簡単にご入力いただくだけで、各項⽬を5段階(A〜E)で判定し、根拠と対策案についてご案内いたします。

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まとめ

ホテルのADRは、販売した客室1室あたりの平均販売価格を指します。宿泊売上合計を販売客室数で割って算出され、OCCやRevPARとともにホテルの収益性や価格戦略を評価する重要な指標です。

これら3つの指標を正確に理解していないと、1室あたりの収益化が見込めず、ホテルの経営が傾く可能性もあります。

ホテルの経営に失敗したくない方は、ぜひリロホテルソリューションズまでご相談ください。

ホテル運営のプロ集団が、販売チャネル最適化やプランの見直しなどを通じて、3か月で収益の最大化を目指します。ぜひ、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。

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【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。。