ホテルコンサルティングとは?サポート内容から費用、成功事例まで解説


ホテル経営の安定化を目指し、専門家によるコンサルティング導入を検討されている経営者の方は多いのではないでしょうか。
ホテルコンサルティングには、課題の解決や収益の改善などの効果が期待できます。本記事ではコンサルティングをご検討中の方に向けて、次の項目を解説します。
・コンサルティングを受けるメリット・サポートの種類や内容・コンサルティングの成功事例・コンサルティング費用の目安・自社に合う会社を選ぶポイント |
コンサルティングの導入で失敗したくない方は、ぜひ最後までご覧ください。

ホテルコンサルティングの導入メリット
ホテルのコンサルティングを導入するメリットは、おもに以下の3つです。
- 客観的な視点による的確な課題発見
- 専門知識とノウハウを活用した早期の業績改善
- 経営者が本来の業務に集中できる環境の構築
まずはホテルや旅館のコンサルティングがどのようなものかをご説明し、続けて具体的なメリットを一つずつご紹介します。それでは、順に詳しく見ていきましょう。
そもそもホテル・旅館のコンサルティングとは?
ホテルや旅館のコンサルティングは、観光市場や競合に関する専門的な知識をもとに、売上向上やコスト削減、顧客満足度(CS)の向上、人材育成など、経営課題の解決をサポートする宿泊施設運営のプロフェッショナル集団です。
戦略立案から実行、効果測定まで一貫してサポートすることで、持続的な成長と収益性の改善を目指します。また施設の特性やニーズに応じたオーダーメイドの支援も可能です。
メリット1:客観的な視点による的確な課題発見
客観的な視点による的確な課題発見ができるのは、コンサルティングを導入する上で大きなメリットです。
施設内部で長年業務を続けていると、どうしても慣れや常識化により気づきにくい問題点や経営の穴が生じがちです。
コンサルタントは内部の思い込みにとらわれない第三者としての専門的視点で、運営体制やコスト構造の見落としがちなポイントを洗い出します。内部では見過ごしていた課題を発見し、解決策を導き出せるのはコンサルタントならではの利点と言えるでしょう。
メリット2:専門知識とノウハウを活用した早期の業績改善
コンサルティングを導入するメリットは、専門知識とノウハウを活用した早期の業績改善を実現できることです。
コンサルタントは高度なマーケティング知識や最新の業界トレンド、他社の成功事例といった専門ノウハウを豊富に有しています。これらの知見を投入することで、試行錯誤の時間を省き、課題解決のための施策立案から実行までを最短ルートで進められます。
客室稼働率や顧客単価の向上、効率的なコスト管理などを通じて、迅速に業績改善を実現できるでしょう。
メリット3:経営者が本来の業務に集中できる環境の構築
経営者が本来の業務に集中できる環境を構築できるのも、コンサルティングを導入するメリットです。
日々の運営の中で、集客戦略の立案や複雑な業務改善といった専門的なタスクに時間を割かれがちな経営者は少なくありません。
これらの業務を外部のコンサルタントに任せることで、経営者は、現場での接客品質向上やブランド価値を高めるための長期的な経営戦略策定など、本来取り組むべきコア業務に一層専念できるようになります。
経営者が本来の業務に専念できることで、組織全体の生産性が高まり、リーダーシップを最大限に発揮できる体制が整います。
ホテルコンサルティングで受けられるサポート内容
ホテルコンサルティングで受けられるサポートの内容は、大きく分けて3つです。
- 経営・運営支援
- 集客・マーケティング支援
- 人材・組織開発支援
それぞれ詳しく解説します。
経営・運営支援
コンサルティングにおける経営・運営支援は、施設の持続的な成長と収益性向上を実現するため多岐にわたる専門的なサポートを提供するものです。支援はおもに以下の要素から構成されます。
- 事業戦略の策定と事業再生
現状の財務状況や市場環境を詳細に分析し、客室稼働率や顧客単価の改善に加え、コスト削減につなげる具体的な経営改善計画を立案します。
また業績が悪化している施設に対しては事業再生を視野に入れた計画策定と、資金調達や債務整理に関する金融機関との折衝サポートなども実施します。
- 新規開業とリニューアル支援
新規ホテルの開業や既存施設の大幅リニューアルを実施する際に、プロジェクト全体を成功に導くためにサポートします。
具体的には立地やコンセプトに基づいたマーケット調査、投資回収を見据えた事業計画の策定、施設コンセプトの実現に向けた設計・建築プロセスのサポートに加えて、スタッフ採用やトレーニング、販売戦略の策定など、開業準備全般を幅広く支援します。
- DX推進と業務効率化支援
競争力を高めるために不可欠なデジタル・トランスフォーメーション(DX)と業務効率化を支援します。
支援内容はホテル運営の根幹である予約管理システム(PMS)やサイトコントローラーの見直しや、施設の特性に最適なシステムの選定・導入などです。
また従業員間のコミュニケーションを円滑化し、紙ベースの作業を削減するための情報共有ツールやクラウドサービスの導入などもサポートします。
ITを活用した定型業務の自動化により、スタッフが接客やサービスといった付加価値の高い業務に集中できる環境を構築します。
集客・マーケティング支援
ホテルコンサルティングにおける集客とマーケティング支援は、施設の魅力を最大限に高め、売上を拡大するために不可欠なサポートです。以下の3つの要素から支援します。
- Webマーケティング戦略
現代の集客において中核となるオンラインでの集客力最大化を目指します。具体的には公式サイトの改善(SEO含む)や、主要OTA(オンライン旅行会社)の掲載内容の最適化などです。
上記に加え、ターゲット層に合わせたWeb広告(リスティング、ディスプレイなど)の戦略立案と運用、顧客エンゲージメントを高めるSNS活用の企画や実行を通じて、多角的に予約流入を増やします。
- ブランディングと販売戦略
競合との差別化を図るため、施設の魅力や強みを再定義しターゲット顧客に深く響くコンセプトや一貫したブランドイメージを構築します。その上で、顧客ニーズに応える魅力的な宿泊プランを作成します。
また、レベニューマネジメントで収益を最大化できるのも強みです。市場の需給や競合の動向を分析し、リアルタイムで適正価格を提示する仕組みを導入します。
- インバウンド対策
インバウンド(訪日外国人)需要を取り込むための施策も重要なサポート内容です。主要な海外OTAの活用や、施設の情報を魅力的に伝える多言語対応(公式サイト、館内案内)などを強化します。
さらに文化や習慣の違いを考慮したサービス改善のアドバイスも提供可能です。インバウンドが利用しやすい環境を整備し、新規顧客の開拓を支援します。
人材・組織開発支援
コンサルティングによる人材と組織開発支援は、サービスの質を支える「人」と、それを機能させる「組織」の強化を通じて、施設の持続的な競争力を高めるために不可欠なサポートです。以下の2つの柱で構成されます。
- 人材育成と研修
サービスレベル向上のためのプログラムを提供します。具体的には、従業員一人ひとりの接客スキルやホスピタリティの向上に重点を置いた実践的な研修の実施などです。
さらに将来の支配人やマネージャーを育成するためのリーダー育成プログラムも提供し、中核となる人材を計画的に育成します。従業員のモチベーションとスキルレベルを高め、顧客に一貫して高品質な体験を提供できる体制を構築します。
- 組織体制の構築と採用支援
慢性的な人手不足や高まる人件費の課題に対応し、「強い組織」を作るのもコンサルティングの仕事です。
まず業務の棚卸しと分析に基づいた効率的な人員配置を提案し、既存の組織図と職務分掌を再検討します。その上でマルチタスク化の推進を後押しし、少人数でも質の高いサービスを提供できる柔軟な体制を確立します。
また、優秀な人材を確保するためのサポートも重要です。求人戦略の策定や採用プロセス構築、面接官のトレーニングなどで施設の文化やニーズに合った人材獲得を支援します。

ホテルコンサルティングの成功事例
ホテルコンサルティングの成功事例を、「再生」「運営・収益改善」「Web集客」3つの要素に分けて紹介します。
- 事例1:「北海道/中規模旅館タイプ」Web集客実績
- 事例2:「支配人派遣」実績
- 事例3:「メルヴェール箱根強羅」再生実績
なお上記はいずれも、リロホテルソリューションズによる成功事例です。コンサルティングをご検討の方は、お気軽に下記フォームからお問い合せください。
事例1:「北海道/中規模旅館タイプ」Web集客実績
事例の1つ目は、中規模旅館のWeb集客による支援実績です。
対象施設 | インバウンド好況エリアに所在する中規模旅館 |
問題点 | 販売対応者が他業務との兼務のため、国内外のチャネルコントロールを含めた販売操作の効率的運用ができず、喫食率や売上を棄損 |
改善策 | 販売設計を見直し、売上最大化に向けた集客管理の徹底 |
結果 | 稼働前年比157%、売上前年比141%の増加率を達成 |
上記はコンサルティングの導入前と導入後で、売上前年比141%を達成した好事例です。経路の均衡も取れ、リスクが分散された販売体制を構築しています。
事例2:「支配人派遣」実績
事例の2つ目は、支配人の派遣による運営および収益改善の事例です。
対象施設 | 中国地方の旅館 |
問題点 | バスツアー、団体集客、広告集客などが宿泊収入の66%を占有。稼働率は安定していたが、収益化に苦戦 |
改善策 | コンサルティング会社所属の支配人を派遣。段階的かつ計画的に収益率の低い経路比率を下げ、Web集客強化へシフト転換 |
結果 | ・全体の売上で単月+700万(11月度比較)・経路構成の変化により収益率が改善・日帰りツアーの縮小により従業員の休息確保(人件費抑制)にも繋がり、ES(Employee Satisfaction・従業員満足度)と黒字運営の両方を実現 |
販売経路構成比の見直しで収益率を高めた上に、日帰りツアーの縮小でスタッフの労務環境を改善している好事例です。
事例3:「メルヴェール箱根強羅」再生実績
事例の最後は、リロホテルソリューションズ直営による再生実績です。
対象施設 | 神奈川県箱根の温泉旅館(55室) |
問題点 | 年間1億円の赤字 |
改善策 | ・ターゲットを明確にし、食材、飲材の仕入見直し・グループ企業の会員顧客組織からの送客による平日稼働率の底上げ |
結果 | ・運営開始90日で黒字化・5年目には年間利益1億円を突破 |
また上記ホテルは、2022年にオールインクルーシブホテルへ改修。集客とCS向上に取り組み、激戦区の箱根エリアでも健全なホテル営業を継続しています。
ホテルコンサルティング費用の目安
ホテルコンサルティングの料金体系は、おもに以下の種類に分かれます。
料金体系 | 特徴 |
月額固定型 | ・毎月定額費用を支払う一般的な形式・中長期的な継続支援を前提 |
成果報酬型 | ・事前に定めた売上向上額やコスト削減額など、成果の一部を報酬として支払う形式 |
プロジェクト型 | ・新規開業や大規模リニューアル、特定のシステム導入など、期間や範囲が限定された大規模プロジェクトに適した形式 |
スポット型 | ・経営相談や短期間の現状分析、特定分野の単発的なアドバイスのみを依頼する形式 |
なおホテルのコンサルティング費用は一概には言えませんが、中小規模のホテルや旅館が継続的な支援を依頼する場合の月額費用の目安は、10万円から100万円程度と幅があります。
コンサルティング費用によるおもな違いは、以下の通りです。
比較的安価なプラン(月額10万円〜30万円程度)
OTA運用代行やSNS活用支援、簡易的なWeb集客サポートなど、特定分野に特化した支援やオンラインでのアドバイスが中心。
一般的な継続支援プラン(月額30万円〜100万円程度)
経営戦略の立案、レベニューマネジメント、業務改善、人材育成など、多岐にわたるサポートやコンサルタントの定期的な訪問を含む、包括的な支援を実施。
コンサルティング費用は、単なる「支出」として捉えるのではなく、「投資」としての視点で考えることが重要です。支払う費用だけでなく、得られる売上向上効果(客単価・稼働率の改善)や、コスト削減効果(業務効率化による人件費削減など)を総合的に判断しましょう。
自社に最適なコンサルティング会社を選ぶ5つのポイント
自社に最適なコンサルティング会社を選ぶポイントは、以下の5つです。
- ポイント1:自社の規模や業態に合った「実績」があるか
- ポイント2:課題解決に必要な「専門性」を持っているか
- ポイント3:「現場目線」での提案が可能か
- ポイント4:担当者との「相性」は良いか
- ポイント5:支援の「範囲と柔軟性」は十分か
1つずつ詳しく解説します。
ポイント1:自社の規模や業態に合った「実績」があるか
コンサルティング会社の選定では、自社の規模や業態に合う実績の有無が重要です。なぜなら大規模なシティホテルと小規模な温泉旅館では、抱える課題が根本的に異なるためです。
大手ホテルは効率化やグローバル戦略が中心になりがちですが、中小旅館は人手不足や地域性を活かした集客がおもな課題となります。ミスマッチを防ぐためにも、選定時は依頼するコンサルタントが自社と類似施設(客室数、業態、立地など)のコンサルティング実績があるかを確認しましょう。
ポイント2:課題解決に必要な「専門性」を持っているか
ホテルコンサルティング会社を選ぶ際には、課題解決に必要な専門性を持っているかも確認しましょう。
Web集客、事業再生、人材育成など、施設によって問題領域が異なります。依頼するコンサルタントが自社が抱える問題点を得意としているか、実績や専門分野から判断するのが重要です。
特定の分野に特化した専門家を選ぶことで、自社の課題に効果かつ即効性のある解決策を得られやすくなります。
ポイント3:「現場目線」での提案が可能か
現場目線での提案ができるコンサルティングを選ぶのも、重要なポイントです。どれほど理論的に優れた戦略でも、現場のオペレーションを考慮しない机上の空論では実行が困難なため定着しません。
コンサルタントが実際に現場の業務の流れを深く理解し、スタッフと共に実行可能な改善策を考える姿勢があるかを確認しましょう。現場密着型の支援こそが、持続的な業務効率化やサービス品質の向上に繋がります。
ポイント4:担当者との「相性」は良いか
ホテルコンサルティング会社を選ぶ上で、担当者との相性は重要です。コンサルタントは単なる外部の専門家ではなく、施設の成長を支援する長期的なビジネスパートナーです。
初回の面談などを通じて、経営者の理念や想いを深く理解しようと努めているか、また、耳の痛い話も含めて率直な意見交換ができる信頼関係を築ける相手かを見極めましょう。
困難な課題を共に乗り越えるためにも、知識や実績だけではなく人間的にも信頼できるパートナーを選びましょう。
ポイント5:支援の「範囲と柔軟性」は十分か
支援の範囲と柔軟性が十分かどうかも確認しましょう。コンサルティングが戦略提案の段階で終わってしまうと、具体的な成果に繋がらないためです。
現場の従業員が実行できるよう、戦略の現場への落とし込みから施策の実行支援までしっかりと伴走してくれるかを確認しましょう。実務レベルでの運用サポートや、課題に応じて支援内容を調整できる柔軟な契約内容となっているか、選定の段階で相手とのすり合わせが必要です。
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まとめ
本記事では、ホテルコンサルティングのサポート方法や種類、メリット、選び方のポイントなどについて解説しました。
専門知識や実績が豊富なコンサルティングを導入すれば、課題の早期発見と解決に加え、経営者がコア業務に集中できるといったメリットがあります。
またコンサルティング会社を選定する際には、実績や専門性だけではなく、現場目線での提案や担当者との相性、支援の範囲と柔軟性なども見極めるのがポイントです。
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【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
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