LOS(平均滞在日数)とは?計算方法・メリット、向上策について解説
ホテル運営のKPI(重要業績評価指標)の1つとなるLOS(平均滞在日数)は、ホテルの経営に携わる方であれば理解しておくべき項目です。
本記事ではLOSの考え方や計算方法といった基本的な要素に加え、数値の高め方や運営での役立て方などを初心者の方にもわかりやすく解説します。
数値分析に関心があり、LOSを自社の運営に役立てたいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。
ホテル経営の重要指標「LOS(平均滞在日数)」とは?
まずはLOSの定義や計算方法などを解説します。すでにホテル業界に従事しており、何となく意味を知っているという方も、正しく定義を理解するために再確認していきましょう。
LOSの意味
LOS(Length of Stay)とは、「宿泊客一人あたりの平均滞在日数」を指す重要な経営指標です。
LOSは宿泊客の属性で大きく変動するものです。例えばビジネス利用は1〜2泊と短期間ですが、インバウンド(訪日外国人)や長期休暇の観光客では数日から1週間以上の滞在になる傾向があります。
滞在日数が延びれば、チェックアウト後のフル清掃回数が減り、館内レストラン等の利用も増えやすいため、利益率の改善につながります。セグメントごとの滞在傾向を可視化することで、連泊割引や長期滞在プランなどターゲットに合わせた「根拠のある戦略」を打ち出せるでしょう。
LOSの計算方法
LOSは一定期間における「総宿泊数(延べ宿泊数)」を「実宿泊人数(チェックインした人数)」で割って計算します。
| LOS=総宿泊数(延べ宿泊数)÷実宿泊人数(チェックインした人数) |
例えば「3名様が3連泊」した場合、LOSは以下の通りです。
・延べ宿泊人数(延べ人数):3人×3泊=9名
・実宿泊人数(実人数):実際に泊まったのは3名
計算式に当てはめると9÷3=3.0となり、LOSは3泊と算出されます。
なお、PMSやサイトコントローラからデータを出す際は、「デイユース(日帰り)」を除外して抽出しましょう。日帰りが含まれると数値が下振れし、正しい分析ができません。また「予約件数(部屋数)」と「宿泊人数」を混同していないか、抽出条件を精査することも重要です。
LOSを向上させるメリット
LOSを向上させるホテル側のメリットは、おもに以下の3つです。
- 売上増加と顧客単価(LTV)の向上
- オペレーションコストの削減と生産性向上
- 人手不足の解消に寄与
それぞれ詳しく解説します。
売上増加と顧客単価(LTV)の向上
LOSの向上には、集客コストを抑えつつ効率的に売上を最大化できるメリットがあります。
なぜなら1件の予約あたりの総宿泊料金が増えることで、広告費や手数料などの獲得コスト比率を相対的に下げつつ顧客単価(LTV)を高められるためです。また滞在日数が延びれば館内での飲食や付帯サービスの利用機会も増えるため、宿泊以外の収益も積み上がります。
オペレーションコストの削減と生産性向上
LOS(平均滞在日数)の向上は、現場の負担軽減とコスト削減にも効果的です。
滞在が延びれば、その分チェックイン・チェックアウトの回数が減少します。必然的にフロントでの手続き業務や鍵の受け渡し、宿泊名簿の管理といった事務負担が大幅に軽減されるため、ピーク時の混雑緩和や少人数での安定した運営が可能です。
また連泊客に対して「清掃不要プラン(エコプラン)」などを提案することで、清掃人件費やリネン費(シーツ等の洗濯代)も抑制できます。コストと時間がかかる「チェックアウト後のフル清掃」の頻度を下げることで、オペレーションの生産性を高められます。
人手不足の解消に寄与
LOSの向上は、業界全体の課題でもある「人手不足」の解消にも有効です。
チェックインやチェックアウトといった業務負担の軽減、アウト後のフル清掃の抑制などにつながるため、その分スタッフをより付加価値の高い接客や重要業務に振り向けられるようになります。
業務密度を平準化することで、少ないスタッフ数でもサービスの質を維持・向上できる体制を構築するのが重要です。人手不足で悩んでいる施設は、運営のDX化とあわせてLOSの向上にも取り組んでみましょう。
ホテルのLOS(平均滞在日数)を高めるための施策
ホテルのLOS(平均滞在日数)を高めるのに効果的な施策は、おもに以下の3つです。
- 需要喚起を促す「連泊特化型」プランの作成
- 販売制限による戦略的なコントロール
- ターゲット層の選定とプロモーション
順に詳しく見ていきましょう。
需要喚起を促す「連泊特化型」プランの作成
LOSを向上させるのにもっとも直接的な手段は、予約段階で滞在のメリットを明確に提示する「連泊特化型プラン」の作成です。具体的な手法は以下の通りです。
- 連泊割引:「3泊以上で15%OFF」など滞在日数に応じて室単価を下げる設定
- 限定特典:滞在中のランドリー利用無料や館内併設カフェのドリンクチケット付与
- ポイントアップ:会員向けに連泊時のみポイント還元率を倍増させ直販率UP
また7泊以上の「長期滞在(マンスリー/ウィークリー)プラン」や、仕事環境を整えた「ワーケーションプラン」などの導入も効果を発揮します。ゲストに「長期連泊する理由」を提供することで、安定した稼働の確保とオペレーションの効率化を同時に実現できます。
販売制限による戦略的なコントロール
LOSを高め収益を最大化するには、需要予測に基づいた「販売制限」も有効です。単に部屋を売るのではなく、戦略的に残室を埋めるのがポイントです。
具体的には、連休やイベントなど高稼働が見込まれる日程に「最低宿泊日数制限(MinLOS)」を適用します。例えば「土曜日は2連泊以上から」と設定すれば、土曜の1泊だけで在庫が埋まるのを防ぎつつ、翌日の稼働もセットで確保できるのです。
さらにピーク日の新規予約の流入を制限し、前日からの連泊予約を優先的に受け入れることで、カレンダー上の「虫食い状の空室」を排除できます。単発の予約をあえて制限し、宿泊期間全体の売上を最大化させる「攻めのコントロール」を意識しましょう。
ターゲット層の選定とプロモーション
LOS向上には、もともと滞在期間が長い属性への集中アプローチが効率的です。
広域観光の拠点として1週間以上滞在する傾向が強いインバウンドや、プロジェクト単位で動く中長期のビジネス層は、安定した連泊が見込める優良なターゲットです。
これらの層に絞った広告配信や長期滞在向けの設備を充実させることで、自然にLOSを底上げし収益の安定化を実現できます。
LOSとセットで確認すべき重要指標
LOSとセットで確認しておきたいホテルの重要指標を紹介します。
- ADRとOCC
- RevPARとGOP
- DOR
- その他の重要KPI一覧
いずれも数値分析においては外せない指標です。また各指標は関連記事でも詳しく解説していますので、あわせて確認しておきましょう。
ADRとOCC
LOS(平均滞在日数)向上を追求する際は、稼働率(OCC)と客室平均単価(ADR)の均衡が重要です。
連泊を促すために料金を大幅に下げすぎると、売上は立ってもリネン代や光熱費などの変動費に圧迫され利益が残らないリスクがあります。
滞在日数が増えても1日ごとのADRを適切に維持・管理するためには、レベニューマネジメントが不可欠です。LOS・OCC・ADRの3つをセットで捉え、単価を落としすぎずに滞在期間を延ばすことで、利益指標であるRevPAR(販売可能客室数あたり収益)の最大化を図りましょう。
>>関連記事:ホテルのADRとは?計算方法から収益を最大化する活用法まで徹底解説!
>>関連記事:ホテルの稼働率(OCC)とは?経営成功の鍵となる稼働率向上のポイントを解説!
RevPARとGOP
LOSの向上には利益指標であるRevPARに加え、利益の実態を示すGOPの把握も不可欠です。
LOSの向上で連泊客が増加すれば、フロント業務の工数削減だけでなく清掃やリネン交換等の変動費抑制につながります。このコスト削減効果を評価する指標が、売上高から営業費用を引いたGOP(営業総利益:Gross Operating Profit)です。
LOSはあくまでもKPIの1つであり、最終的にはKGIであるGOPの改善につなげなければなりません。たとえ連泊割引で売上が微減したとしても、運営効率が上がりGOPが向上すればホテル経営としては適切だと言えるでしょう。
DOR
LOS(平均滞在日数)とあわせて、1室あたりの平均宿泊人数に関わる指標であるDOR(Double Occupancy Ratio)の分析も収益予測には不可欠です。
1名利用の連泊とファミリーなどの多人数利用の連泊とでは、宿泊料だけでなく夕食や売店などの付帯部門の売上が異なります。
LOSとDORの2つの指標をセットで把握することで、食材の仕入れやスタッフ配置の最適化を図り、一人あたりの総消費額を最大化するのがポイントです。
その他の重要KPI一覧
LOS向上を追求する際は、各KPIを連動させた「多角的な分析」が必要です。清掃効率に関わるLOSとOCCが高まっても、ADRを下げすぎれば最終的なRevPARは伸び悩みます。
さらにDORを掛け合わせることで、夕食や売店等の付帯収入を含めた精度の高い予測が可能です。とはいえ、まずはこれらの指標の定義や活用方法などを正しく理解しなければなりません。
下記にKPIやホテル用語の一覧などをわかりやすく解説していますので、数値分析に携わる方はぜひ参考にしてみてください。
>>関連記事:ホテル経営を数字で見える化!成果を出すKPI設定と運用のコツ
>>関連記事:【保存版】ホテルの重要用語一覧|フロント・客室・経営の必須知識を解説
LOSの向上は「リロホテルソリューションズ」に相談を
LOSはホテルの重要指標の1つであり、LOSを向上させることは売上増加や人件費の抑制につながります。
難しいのは、LOSの改善をどう施策に落とし込むかです。誤った販売制限は稼働を下げ、収益の減少を招く可能性もあります。LOSの向上を含む数値分析で失敗したくない方は、ぜひリロホテルソリューションズまでご相談ください。
リロホテルソリューションズは、ホテル・旅館の再生チームの出身者で構成されるホテル運営のプロ集団です。全国各地のさまざまな施設の支援実績に基づくデータ分析と実行力で、最適なレベニューマネジメントを提案し増収増益へと導きます。
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まとめ
LOS(Length of Stay)は「宿泊客一人あたりの平均滞在日数」を指す、ホテル運営において重要な経営指標の1つです。LOSを高めることで売上増加や顧客単価の向上に加え、オペレーションコストの削減による人手不足の解消にも効果を発揮します。
また、LOSの向上には各KPIを連動させた多角的な分析が必須です。滞在日数が増えても1日ごとのADRを適切に維持するためには、高度なレベニューマネジメントが求められます。
リロホテルソリューションズは「90日で黒字化」をスローガンに、ホテル運営のプロ集団が宿泊業のあらゆる課題を解決へと導きます。
LOSの向上を含む数値分析でお悩みの方は、ぜひリロホテルソリューションズまでお気軽にご相談ください。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
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