【保存版】ホテルの重要用語一覧|フロント・客室・経営の必須知識を解説
ホテル業界へ新規参入を考えている方は、開業前にホテルの重要用語を把握しておくことで経営判断の精度が上がります。
今回はホテルの重要用語を、以下の3つの項目に分けて詳しく解説します。
| ・フロント&接客サービスでの専門用語・客室(ハウスキーピング)での専門用語・経営やマーケティングでの専門用語 |
ホテルへの新規参入者はもちろん、ホテルスタッフを育成する指導者の方にも役立つコンテンツです。ぜひ最後までご覧ください。
ホテル用語を理解するメリットとは
ホテル用語を理解するメリットは、大きく分けて以下の2つです。
- スタッフ間の連携ミスを防ぎ、サービス品質を向上させる
- 経営指標を正しく読み解き、利益最大化につなげる
ホテル用語を覚える前に、まずは用語を理解することでどのようなメリットを得られるのか把握しておきましょう。順に詳しく解説します。
スタッフ間の連携ミスを防ぎ、サービス品質を向上させる
ホテル用語を理解することは、部門間の連携強化に不可欠です。フロントと清掃(ハウスキーピング)などの情報伝達(インカムや申し送り)において、共通の専門用語を使用することで、曖昧さがなくなり伝達ミスを大幅に減らせます。
スタッフ同士が専門用語を理解することで、客室の準備状況やゲストの要望に関する正確な情報を共有できるのがポイントです。迅速かつ適切なサービス提供につながるため、最終的に顧客満足度の向上にもつながります。
経営指標を正しく読み解き、利益最大化につなげる
ホテル用語、特に経営指標に関する用語への正しい理解は、利益最大化のためには必須です。例えば「RevPAR(レブパー)」や「ADR(平均客室単価)」などの用語の意味や計算式などです。
これらの重要指標を正しく把握していなければ、売上数字を誤って解釈し的外れな料金設定や販売戦略を実施するリスクが高まります。現状を正しく分析し、正確な判断材料をもとに効果的な改善策を打ち出すためにも、専門用語の理解は欠かせません。
フロント・接客編
ホテルの顔とも言える、フロントや接客サービス関連の専門用語です。いずれも業務において頻繁に使われる基本的な用語となります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
予約・チェックイン関連
以下は、予約やチェックイン時間の調整に使われる用語です。ホテルには規定のチェックイン・チェックアウト時間がありますが、顧客からの要望や特典などに応じて調整することがあります。
| 用語 | 意味 |
| アーリーチェックイン | ホテルが定めている時刻よりも早く客室へ入ること。 |
| レイトチェックアウト | 定刻よりも遅い時刻に客室を出ること。 |
予期せぬ宿泊や、予約管理に関する専門用語も存在します。
| 用語 | 意味 |
| ウォークイン | 事前に予約をせずに直接来館し、宿泊を希望するゲスト。空室があれば対応可能だが、予約優先。 |
| オーバーブッキング | ホテルの客室数以上の予約を受け付けた状態。予約後のキャンセルやノーショウを見越して、あえて受ける場合もある。受け入れができない場合は、代替ホテルの手配が必要。 |
| デポジット | チェックイン時などに宿泊費や追加利用費の担保としてホテルが宿泊客から一時的に預かる預かり金のこと。チェックアウト時に精算され、差額が返金される。 |
| ノーショウ | 予約客がホテルに現れない、いわゆる無断キャンセル。大きな損失となるため、キャンセルポリシーの徹底が必要。 |
宿泊プラン・料金・サービス
以下は、予約客に客室を提供する業務や、顧客の要望に応える専門スタッフを指す用語です。
| 用語 | 意味 |
| アサイン | チェックイン前に、どの客室にどのゲストを割り当てるかを決定する部屋割り業務のこと。予約状況やゲストの要望、客室の清掃状況などを考慮し、効率的かつ適切な割り当てを行う。 |
| アップグレード | ゲストが予約した客室よりも良い条件(広さ、景観、設備など)の部屋へ変更すること。サービスの向上や空室状況に応じて行われることが多く、顧客満足度を高めるサービスの1つ。 |
| コンシェルジュ | レストランの予約や交通手段の手配、観光案内など、ゲストからの幅広い要望に応える専門担当者。コミュニケーション能力や語学力に加え、状況判断力や問題解決能力などの高いスキルが求められる。 |
宿泊料金の基準や、ホテルで提供される朝食の形式にも専門用語があります。
| 用語 | 意味 |
| ラックレート | ホテルが設定している正規の客室料金。割引やパッケージ料金が適用される前の、いわば「定価」にあたる基本料金で、パンフレットなどに記載される。 |
| コンチネンタルブレックファスト | パンやコーヒー、ジュースといった比較的軽い内容で構成される朝食。主にヨーロッパ大陸のスタイル。 |
| アメリカンブレックファスト | コンチネンタルブレックファストに卵料理やベーコン、ソーセージなどが加わるボリュームのある朝食形式のこと。 |
客室・ハウスキーピング編
宿泊客の満足度に直結する客室やハウスキーピングに関する専門用語です。順に詳しく見ていきましょう。
客室タイプ・設備
客室のタイプや設備、構造に関する専門用語です。一般的に使われる用語もありますが、改めて正しく理解しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
| アメニティ | 歯ブラシ、シャンプー、タオル、ドライヤーなど、客室内に備え付けられている消耗品や備品全般。近年は環境への配慮から、プラスチック製品を廃止するなどアメニティを見直すホテルが増えている。 |
| コネクティングルーム | 客室同士が室内の扉でつながっている構造の部屋。家族旅行やグループでの宿泊に需要がある。 |
| スイート | ベッドが置かれた寝室と、応接セットなどがあるリビングルームが分かれているタイプの部屋。ホテルの中で一番豪華な客室で、VIPの宿泊などにも使われる。 |
| ダブル | ダブルサイズのベッドが1つ置かれた客室タイプで、カップルなど2人での利用を想定した部屋。 |
| ツイン | シングルサイズのベッドが2台別々に配置されている客室タイプ。 |
| ハリウッドツイン | 2台のベッドを隙間なくぴったりとくっつけて配置するスタイル。ツインでありながら、ダブルのようにも利用できる。 |
清掃状況・ルームステータス
ホテルのフロントとハウスキーピング(清掃部門)は、スムーズな連携のために客室の状態を簡略化した専門用語を用いています。
| 用語 | 意味 |
| オキュパイド(OC – Occupied) | 宿泊客が現在滞在中であることを示すステータス。 |
| ベイカント・ルーム(VC – Vacant Room) | 宿泊客がチェックアウトした後に清掃が完了し、次の宿泊客を迎え入れられる状態の空室。なお、宿泊客がチェックアウトし未清掃の状態をVacant Dirty(空室・清掃前)、清掃が完了している状態をVacant Clean(空室・清掃済み)と言います。 |
| ステイオーバー | 同じ客室に引き続きゲストが宿泊すること。連泊客の客室は毎日フル清掃ではなく、簡単な「ステイ清掃」が行われるのが一般的。 |
| DND(Do Not Disturb) | ドアノブにかけられたサインなどで示され、「起こさないでほしい」あるいは「清掃不要」という宿泊客の意思表示を意味する。このサインが出ている客室は、緊急時を除いてスタッフの入室が禁止される。「DD」と略して使うこともある。 |
| ターンダウンサービス | 夕方から夜にかけて提供される就寝前の準備サービス。ベッドを整えたり、照明を調整するなど、宿泊客の就寝を快適にするために行われる。 |
経営・マーケティング編
ホテルの経営やマーケティングに関する専門用語です。経営者はこれらの意義を正しく理解し、戦略的な経営につなげることが重要です。
売上分析に欠かせない重要指標(KPI)
ホテルの売上分析において客室がどれだけ利用されているか、そして平均でいくらで販売されているかを示す基本となる指標と、最終的にホテルがどれだけの利益を生み出したかを見る指標です。
| 用語 | 意味 |
| OCC (Occupancy Ratio) | 客室稼働率。販売可能な客室総数に対して、実際に販売された客室数の割合を示すホテルの基本指標。 |
| ADR(Average Daily Rate) | 客室平均単価。客室売上を販売された客室数で割って算出する。ホテルの料金設定や販売戦略が適切かを評価するのに役立つ。 |
| RevPAR(Revenue Per Available Room) | 販売可能な客室1室あたりの収益で、ADRにOCCを掛けて算出される。客室単価と稼働率の両方を考慮した総合的な収益力を示しており、この数値が高いほど収益性が高いと判断される。 |
| GOP(Gross Operating Profit) | 営業粗利益のこと。客室売上や飲食売上といった総売上から、人件費や運営費用などの営業にかかる経費を差し引いた利益を指す。ホテル運営の実力を具体的に示す数字で、ホテルマネジメントの効率性を評価するために重要視される。 |
これらの重要指標については、以下の記事でも詳しく解説しています。
>>ホテルのADRとは?計算方法から収益を最大化する活用法まで徹底解説!
>>ホテルの稼働率(OCC)とは?経営成功の鍵となる稼働率向上のポイントを解説!
>>RevPAR(レブパー)とは?ホテル経営の収益力を測る指標を徹底解説!
販売戦略・レベニューマネジメント
料金設定など、ホテルの収益を最大限に高めるために使われる専門用語です。
| 用語 | 意味 |
| レベニューマネジメント | 過去の販売データや市場の動向から需要を予測し、それに基づき客室の価格や在庫を細かくコントロールし収益の最大化を図る手法。 |
| ダイナミックプライシング | 変動料金制とも呼ばれる。ホテルの客室価格が、曜日、季節、イベント、競合の料金など、需要と供給に応じてリアルタイムで変動する料金体系のこと。 |
販売チャネル・予約管理
おもに販売チャネルや予約管理など、フロントや予約部門で使われる専門用語です。
| 用語 | 意味 |
| OTA | OTA(Online Travel Agent)は、楽天トラベルやじゃらん、Booking.comなどのインターネット上の旅行予約サイトのこと。多くのホテルがこれらのプラットフォームを通じて客室を販売する。 |
| サイトコントローラー | 各OTAに分散している客室の在庫や料金情報を一元管理するシステム。オーバーブッキングの防止や、料金変更をサイト間で一括反映できるなど、業務に欠かせないツール。 |
| インバウンド | 訪日外国人旅行客のこと。インバウンド需要の取り込みは重要な収益源で、インバウンド向けの販売戦略も積極的に展開されている。 |
ホテル用語を“経営と育成”に活かすコツ
経営者は、ホテル用語を社内の共通言語として徹底することで経営判断の精度を高めましょう。例えばRevPARやGOPなどの重要指標は、会議資料や宿泊実績レポートに定義(計算式や意味)を明記します。
こうすることで「用語の定義がそろっていること」が保証され、現場と経営陣の間で生じがちな認識のズレを減らし、全員が同じ基準で業績を把握できるのです。
また、専門用語はスタッフの育成にも有効活用できます。全従業員向けのスタッフ研修テキストに用語を網羅し、理解度を確認するチェックテストなども定期的に実施しましょう。
さらに、部門別に必要な用語を抜粋してOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の資料に転用すれば、実務に直結した知識を効率良く習得できます。用語の理解度を深めることが、結果として部門間の連携強化とサービス品質の向上につながります。
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- WEB集客最大化/収支予測管理/DX推進/各種トレーニング など
- 本記事で紹介したOCC/ADR/RevPARなどの指標設計・分析
- 料金戦略・販路設計・WEB集客施策
- スタッフ教育(用語や指標の理解も含めたトレーニング)
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まとめ
ホテルの専門用語について、用語を理解するメリットや経営と育成に活かすコツなどを交えながら解説してきました。
全スタッフが用語を活用すればスタッフ間の連携がスムーズになるほか、KPIなどの重要指標を正しく読み解き、正確な判断材料をもとに効果的な改善策を打ち出せます。
また用語を共通言語とするためには、部門別に必要な用語を抜粋し、OJTの資料に転用し実務レベルで習得させるのがポイントです。スタッフの理解度が深まるほど、部門間の連携が強化されサービス品質を高められます。
【監修者情報】
株式会社リロホテルソリューションズ
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