コラム

2026.04.23

(スタッフブログ)満室なのに儲からない…その理由とは?

(スタッフブログ)満室なのに儲からない…その理由とは?

「ホテルの稼働率は上がっているのに、なぜか利益が残らない」
そんな悩みを感じたことはありませんか?

実はこれ、多くのホテルや旅館で起きている共通の課題です。
今回は、実際の打ち合わせ事例をもとに、稼働率と利益がズレる理由について、現場目線でお伝えします。

稼働率は上がった、しかし……

先日、あるお宿様と集客について打ち合わせをしていたときのことです。売上や稼働の推移をまとめた資料を見ながら、ここ数年の運営状況についてお話を伺っていました。

2年前にOTA運用を外部委託したことで、事務的な作業負担は減り、稼働率も約20%アップしたというお話でした。

正直、今の時代に20%も稼働を上積みするのは並大抵のことではありません。「それはすごいですね」と思わず声が出たのですが、そのあとに少し間がありました。

経営者の方は資料に目を落としたまま、こうおっしゃいました。

「でも……利益はあまり変わっていないんです。ただ、現場が以前よりずっと忙しくなっただけで」

その一言で、場の空気が少し変わったのを覚えています。稼働率は上がっているのに、なぜか利益が残らない――そんな違和感がありました。

「稼働は高いのに、利益が残らない」と感じていませんか?

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利益を蝕む「売上アップの罠」

もちろん、昨今の物価高騰の影響もあります。特に食材原価が高めに設定されている施設では、売上が上がっても利益が残りにくい体質になっています。

ただ、今回のお話を聞いていて、それだけでは説明がつかない部分があると感じました。

その原因は「売り方の質」にありました。

数字で見ると、こういうことです。

たとえば、稼働率70%・平均客単価30,000円の施設が、OTA委託によって稼働率を90%に引き上げたとします。
しかし、稼働向上の多くが「値引きによる集客」だった場合、平均客単価は25,000円に下がっていることがあります。

委託前:70室 × 70% × 30,000円 = 1,470,000円
委託後:70室 × 90% × 25,000円 = 1,575,000円

売上は約7%増えていますが、そこからOTA手数料(仮に15%)・追加スタッフコスト・光熱費などを差し引くと、利益はほぼ変わらない、あるいは悪化しているケースが起こりえます。稼働率の数字だけでは見えてこない「利益の実態」がここにあります。

【図解:稼働率・ADR・利益の三角関係】

低稼働日を埋めるだけでは不十分

外部委託による稼働向上の中身を分析すると、その多くが「平日の低稼働日に、価格を下げて予約を取り込んだもの」でした。

「ここは確かに埋まっているんですが……」と説明を受ける中で、もう一つ気になる点がありました。

一方で、本来収益の柱となるべき土曜や祝前日において、需要に応じた価格調整が十分に行われていなかったのです。

「本当は、もう少し上げられたはずなんですけどね」

その一言が、とても印象に残っています。

よくある失敗パターン3つ

こうした状況は、このお宿様だけに限った話ではありません。OTA運用の外部委託において、現場でよく見かける失敗には以下のような傾向があります。

① 「埋める」ことが目的になってしまう
委託先が稼働率をKPIとして設定している場合、価格よりも予約数を優先しがちです。結果として、値引きによる集客が常態化し、ADR(平均客室単価)が下落していきます。

② 繁忙日の価格調整が後手に回る
土曜・祝前日・地域イベント日など、需要が高まるタイミングで価格を上げる判断が遅れると、本来取れるはずの利益を取りこぼします。観光庁の宿泊旅行統計でも、休前日と平日の需要差は顕著に表れており、この差を価格に反映できているかどうかが収益を大きく左右します。

③ OTA依存が高まり、自社予約が育たない
OTAへの掲載に頼りすぎると、手数料コストが固定的にかさみ続けます。自社サイトへの誘導や会員化など、直接予約比率を高める施策が後回しになりがちです。

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在庫の「有効活用」こそが利益の源泉

OTAを外部委託する際、私たちはつい「稼働を上げること」をゴールにしがちです。

しかし、本来の目的は「利益の最大化」のはずです。

空室を埋めるだけでなく、どのタイミングで、どの価格で販売するか。この積み重ねが結果を大きく左右します。

詳しくは、ダイナミックプライシングの解説記事でも触れていますが、需要に応じた価格調整は欠かせない視点です。

【図解:RevPAR構造の図解(稼働率×ADRの関係)】

ケーススタディ:販売戦略を見直した旅館の変化

あるお宿では、稼働率は78%と高水準でしたが、RevPAR(客室販売可能室数あたりの収益)が業界平均を下回っていました。そこで、OTA委託の契約内容を見直し、繁忙日の価格設定をホテル側が主導する形に変更しました。

平日の集客は引き続き委託先に任せながら、土曜・祝前日については自施設でレートを設定し直した結果、稼働率はやや下がった(78%→72%)ものの、ADRが改善し、RevPARは約15%向上しました。

現場の負担は大きく変わらず、利益だけが改善したのです。つまり、「誰が・どのタイミングで・どの価格を決めるか」という役割分担が、収益に直結するということです。

レベニューマネジメントの基本的な考え方については、RevPARの解説記事もあわせてご参照ください。

まとめ

稼働率を上げることは重要です。ただ、それだけでは利益にはつながらないこともあります。

「稼働率 × 客単価 × 販売戦略」

このバランスが崩れると、現場だけが忙しくなり、利益が残らない状態になってしまいます。

今回の打ち合わせでも、そのズレがはっきりと表れていました。

実は、私たちも自社でホテルや旅館の運営を行っています。
日々、利益と現場のバランスに悩みながら向き合っている当事者です。
だからこそ、この課題は決して他人事ではありません。

同じ悩みをお持ちの方のヒントになれば幸いです。

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私のモットーは「成功するまであきらめずにやり抜くこと」。
お客様の課題解決に対しても、粘り強く、愚直に向き合うことを大切にしています。
プライベートでは週5〜6で通うほどのサウナ好き。水風呂で心身をリセットするのが日課です。

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