GOPとは?ホテル・旅館の利益を測る重要指標|計算方法・GOP率・改善方法
「売上は伸びているのに利益が残らない」と感じていませんか。
ホテル・旅館経営では、売上高だけでなく本業の収益力を示す「GOP(営業総利益)」の把握が重要です。
本記事では、GOPの意味や計算方法、業態別の目安、収益改善につながる具体的な活用方法をわかりやすく解説します。
売上ではなく、「どれだけ利益を残せているか」が分かる経営指標です。
⚠️ 売上が増えてもGOPが増えるとは限りません。OTA手数料・人件費・原価などコスト構造の変化も影響します。
GOPとは?定義と計算方法
GOPの基本
GOP(Gross Operating Profit:営業総利益)とは、ホテルが運営によって得た収益から、運営費用を差し引いた利益を指す、ホテル業界で広く使われる収益指標です。国際基準のUSALIでは部門別収益・費用を積み上げる多層構造で定義されますが、本記事では実務でよく使う簡略版「営業収入−営業費用」で解説します。
計算例:月間売上1,000万円・営業費用700万円の場合
(GOP率30%)
※ 減価償却費・賃料・固定資産税・金利は含めない
一般企業の「営業利益」との違い
| 項目 | GOPの考え方 |
|---|---|
| 含めるもの | 客室・料飲・宴会等の営業収入、人件費・材料費・水光熱費等の営業費用 |
| 含めないもの | 減価償却費・賃料・固定資産税・金利など、所有・投資に紐づく費用 |
| 背景 | ホテル業界は「運営」と「所有」が分離しているケースが多く、運営側がコントロールできる範囲の収益力を評価するため |
💡 ここがポイント:GOPの算出方法は会計基準や自館の会計方針によって幅があります。正確な数値管理には、顧問会計士や運営支援の専門家とのすり合わせをおすすめします。
業態別に見るGOP率の傾向
「業態別に何%なら適正か」を一律に判断することはできません。客室数・ADR・OCC・料飲比率・人員配置など多くの要因でGOP率は変わるため、以下は業態間の相対的な傾向に留めてご覧ください。
| 業態 | 構造的な特徴(傾向) |
|---|---|
| ビジネスホテル | 客室収益中心で効率が高く、GOP率は比較的高めになりやすい |
| リゾートホテル | 施設が広くサービス種類が多く、固定費・人件費が重くなりやすい |
| シティホテル | 料飲・宴会比率が高く原価率・人件費率が上がりやすい |
| 旅館 | 料飲・温浴など運営負荷の大きいサービスが多く、比較的低めになりやすいが個別差が大きい |
※業態間の相対的な傾向であり、確定値ではありません。業態・地域によってGOP率には大きな開きがあると言われています。
実務上より重視すべきは自館の前年同期比・予算比・同規模同業態との比較です。下の診断ツールでは、業態ごとの傾向を参考基準に自館の数値と照らし合わせられます。
GOPと関連指標(RevPAR・ADR・OCC)の関係
GOPは単独で見ても改善は進みません。まず売上を構成するKPIとの関係を押さえましょう。
| 指標 | 定義・評価すること | GOPとの関係 |
|---|---|---|
| ADR | 客室売上 ÷ 販売客室数(単価の質) | 単価が上がれば原資が増え、GOPを直接押し上げる |
| OCC | 販売客室数 ÷ 販売可能客室数(稼働) | 固定費回収の土台。一定稼働がないとGOPが伸びにくい |
| RevPAR | ADR×OCC(単価×稼働の総合スコア) | GOPを左右する重要な売上KPIの一つ |
| GOP | 営業収入−営業費用(コスト込みの収益力) | 売上KPIが利益として残ったかの最終評価 |
OCC・ADR・RevPARはいずれも売上側の指標でコストは反映されません。これらが改善してもGOPが伸びない場合は「コスト構造に問題がある」というサインです。詳細はRevPARとは?、ホテルのADRとは?、稼働率(OCC)とは?もご覧ください。
【ツール】ホテルGOP簡易診断
なぜ売上が増えてもGOPが増えないのか
「稼働も単価も悪くないのにGOPが低い」というケースは、売上を伸ばす努力とGOPを伸ばす努力が別の課題であることが原因です。GOPが伸びない原因は、主に次の3パターンに分かれます。
| パターン | 典型的な症状 |
|---|---|
| ①売上側 | OTA依存で手数料が重い、直販率が低い、繁忙期でもADRを上げられない |
| ②コスト側 | シフトの過剰配置、清掃委託費の生産性の低さ、食材ロス・仕入れ単価の放置 |
| ③構造 | 売上増とコスト増が連動し、部門別損益が見えていない |
ホテルGOP簡易診断
5項目の入力で、GOP・GOP率とあわせて稼働面の課題を自動判定します。人件費率・OTA比率まで含めた詳細な診断は、無料相談でより深く確認できます。
※本ツールが判定基準に用いる業態別GOP率レンジは、当社の支援経験をもとにした簡易的な目安であり、公式統計や業界基準に基づくものではありません。実際のGOP率は施設の規模・立地・会計処理等によって大きく異なります。
GOP改善の具体策|売上側とコスト側の両輪
短期・中長期の具体策
GOP改善には、売上側とコスト側の両方からのアプローチが欠かせません。短期・中長期に分けて整理します。
| 時間軸 | 具体策 |
|---|---|
| 短期 (数週間〜数ヶ月) | 直販率アップでOTA手数料を圧縮/ダイナミックプライシングでADR最適化/料飲メニュー構成比・原価率の見直し/繁閑に応じた清掃・シフト調整/水光熱費の管理徹底 |
| 中長期 (半年〜数年) | リピート率アップで広告費・OTA手数料を削減/PMS統合で現状把握の精度向上/チェックイン簡略化・DXで生産性改善/業務フロー見直しで属人化を解消 |
実務上は、利益率の低い売上(手数料の高いチャネル経由の予約等)を減らす方が、少ない労力で同じ改善が得られる場合があります。売上拡大には広告費・営業努力が必要な一方、コスト側の見直しは既存売上を維持したまま着手できるためです。両輪で進めるのが基本です。
詳しい施策はホテルの売上最大化、OTA手数料の比較、ホテル・旅館の利益率もあわせてご覧ください。
内製の限界とプロとの差
部門別損益が見えない、コストのムダに気づけない、属人化で担当者交代時に管理が崩れる——こうした限界がある場合、まず部門別にコストと利益を分解し、月次で自動集計する仕組みを作ることが第一歩です。
GOP改善の事例(匿名)
| 施設タイプ | 実施した施策 | 改善幅の目安 |
|---|---|---|
| シティホテル(80室程度) | 直販強化とレベニューマネジメントの見直し | GOP率 +3〜6pt程度 |
| 温泉旅館(45室程度) | シフト再設計と仕入れ管理の見直し | 人件費率 ▲2〜3pt程度 |
※改善幅は施設ごとの条件により異なるレンジの一例です。個別の効果を保証するものではありません。自館の現在地を客観的に知りたい方は、上のホテルGOP簡易診断もご活用ください。
GOPPARとの違いと使い分け
GOPと混同されやすい指標にGOPPAR(GOP ÷ 販売可能客室数)があります。GOPが施設全体の利益額を示すのに対し、GOPPARは「客室1室あたりの利益」に換算するため、規模の異なる施設どうしを公平に比較できます。自館の月次レビューにはGOP、複数施設の横並び比較や投資判断にはGOPPAR、と使い分けるとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
まとめ:GOPを軸に利益の残る体質へ
「売上は戻ったのに利益が残らない」——その原因の多くは、GOPの管理不足にあります。GOPは「営業収入−営業費用」で求める、ホテルの運営収益力を評価する指標です。RevPAR・ADR・OCC(売上の質)とセットで管理し、業態平均ではなく自館の前年同期比・予算比で継続的に追うことが、改善の出発点になります。
「自館のGOP率がどの水準か」を知りたい方は、上のホテルGOP簡易診断をぜひ試してみてください。現在地と次の一手が明確になります。
GOP改善に取り組みたい方へ
リロホテルソリューションズでは、部門別GOPの可視化から、全国同業態とのベンチマーク比較、施策ごとの改善幅の試算まで、運営支援の専門家が伴走します。「どこから手をつければGOPが最も伸びるか」を、現場で実行できるレベルまで一緒に落とし込みます。
【監修者情報】
全国50施設以上のホテル・旅館を運営するグループ企業のノウハウを活かし、宿泊施設の売上向上とGOP最大化を支援するコンサルティング会社。
価格戦略、OTA運用、人件費最適化、業務効率化まで踏み込み、利益の残るホテル経営を実現します。



