DORとは?ホテル・旅館の収益を左右する重要指標|計算方法・目安・改善策を解説
「客室稼働率は高いのに、なぜか売上が伸びない」「客室単価の改善に限界を感じている」——そんな悩みを抱えるホテル・旅館経営者も多いのではないでしょうか。
その原因を把握するうえで重要な指標が、DOR(Double Occupancy Ratio)です。DORは「1室あたり何人が宿泊しているか」を示す指標で、客室の利用効率や収益性を分析する際に欠かせません。
本記事では、DORの意味や計算方法、ホテルタイプ別の目安、ADR・RevPAR・LOSとの関係、さらに収益向上につながる具体的な改善施策までわかりやすく解説します。ホテル・旅館の収益力を高めたい方はぜひ参考にしてください
📌 この記事でわかること
DORとは?意味と計算式
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DORの基本概念
DOR(Double Occupancy Ratio/ダブル・オキュパンシー・レシオ)とは、実際に販売された客室1室あたりに何名が宿泊しているかを示す指標です。「同伴係数」と呼ばれることもあります。
稼働率(OCC)は「客室が埋まっているか」を示しますが、DORは「客室の中に何人いるか」を捉えます。同じOCC70%でも、シングル利用ばかりのホテルとカップル・ファミリー利用が多いホテルでは、実際の宿泊人数も付帯収益(食事・売店・温泉など)も大きく違います。
DORがとくに重要な施設タイプ
・温泉旅館・リゾートホテル(食事・温泉の付帯収益が大きい)
・ファミリー・インバウンド向け施設(複数名利用が収益の柱)
・シングル主体から客層転換を図りたいシティホテル
——「稼働は上がっているのに客室売上が伸び悩む」と感じたら、まずDORを確認してください。
DORの計算式
たとえばある日の宿泊人数が120名、販売客室数が80室であれば、DORは「120 ÷ 80 = 1.5」です。1室あたり平均1.5名が宿泊している状態です。清掃中・休止中の客室は「販売客室数」に含めません。
DORと主要指標の関係を図解する
【図解】DOR・OCC・ADR・RevPAR・LOSの位置づけ
「何室売れたか」
「1室に何人か」
「1室いくらか」
「何泊するか」
DORは「売上の量(人数)」を補う指標。OCCとセットで見ることで、客室の本当の利用効率がわかります。
DORが収益に直結する理由
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DOR改善がGOPを押し上げるロジック
ホテルは客室数が固定された「固定費型ビジネス」です。客室数を増やさずに宿泊人数を増やせれば、追加コストをほぼかけずに売上が伸びます。これがDOR改善の最大のメリットです。
たとえばシングル利用中心でDOR1.0の状態では、客室稼働だけが上がっても収益は頭打ちになります。一方、同じ稼働率でカップル・ファミリー利用が増えてDORが1.5に上がれば、食事・売店・アメニティなどの付帯消費が自然に増え、GOP(粗営業利益)マージンの改善につながります。
数値で確認する:DOR別の収益差
| 前提条件 | DOR 1.0 | DOR 1.5 | DOR 2.0 |
|---|---|---|---|
| 客室数30室・OCC70%・ADR10,000円 | — | — | — |
| 稼働客室数 | 21室 | 21室 | 21室 |
| 延べ宿泊者数 | 21名 | 31.5名 | 42名 |
| 客室売上 | 210,000円 | 210,000円 | 210,000円 |
| 付帯収益(1人3,000円想定) | 63,000円 | 94,500円 | 126,000円 |
| 合計売上 | 273,000円 | 304,500円 | 336,000円 |
客室売上はDORに関わらず同じですが、食事・温泉・売店などの付帯収益はDORに比例して増えます。DOR1.0→2.0の改善だけで、合計売上は1日あたり約63,000円増加します。OCC・ADRを変えずに実現できる数少ない収益改善策のひとつです。
DOR改善収益シミュレーター
自施設の客室数・OCC・ADR・付帯収益単価を入力し、DOR改善によって増える売上を試算します。
業態別DOR目安と全国平均
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全国平均と業態別目安
観光庁「宿泊旅行統計調査」(令和6年)によると、年間延べ宿泊者数約6億5,900万人・利用客室数約4億500万室から算出した全国DORの参考値は約1.6です。ただしこれは業態混在の参考値であり、自施設の評価には業態別の目安と照合することが重要です。
| 施設タイプ | DOR目安 | 主な利用層 |
|---|---|---|
| ビジネスホテル(都心・地方) | 1.0〜1.3 | 単身ビジネス中心 |
| シティホテル(都心) | 1.3〜1.6 | ビジネス+週末レジャー |
| リゾートホテル | 1.5〜2.0 | カップル・ファミリー |
| 地方温泉旅館(スタンダード) | 1.8〜2.5 | ペア・グループ・家族 |
| インバウンド比率の高い観光地ホテル | 2.0以上も | 海外旅行グループ |
※数値は観光庁「宿泊旅行統計調査」の公表データと当社支援施設の実績をもとに算出した参考値です。インバウンド需要の回復で観光地施設を中心に数値が上昇傾向にあります。
業態別目安を下回っていた場合、まず何を確認すべきか
DORが業態目安を下回っている場合、「シングル利用が多すぎないか」「ツインやファミリールームの稼働が低くないか」「OTA・自社サイトでの人数訴求が弱くないか」の3点を最初に確認します。客室タイプ別のDOR分析が改善の出発点です。
DOR・OCC・ADR・RevPAR・LOSの関係
各指標の役割と使い分け
DORは収益指標群の中で「人数の視点」を補う役割を持ちます。OCC・ADR・RevPARは広く使われますが、DORがなければ「1室に何人いるのか」という収益の構造が見えません。
| 指標 | 何を測るか | 単独使用の限界 | 組み合わせる指標 |
|---|---|---|---|
| OCC | 客室稼働率 | 単価の高低を無視 | ADR・DOR |
| ADR | 客室平均単価 | 空室の損失を無視 | OCC・RevPAR |
| RevPAR | 収益性の総合評価 | コスト・人数を反映しない | GOP・DOR |
| DOR | 1室あたり宿泊人数 | 単価・稼働を反映しない | OCC・ADR・LOS |
| LOS | 平均滞在日数 | 人数・単価を反映しない | DOR・RevPAR |
DORとLOSを組み合わせて「客層像」をつかむ
DOR(1室の人数)とLOS(滞在日数)を掛け合わせると、客層の傾向が立体的に見えてきます。DORが1.0前後・LOSが1泊ならビジネス単身。DORが1.8〜2.0・LOSが2〜3泊ならカップル・ファミリーのレジャー需要が多い、という読み方ができます。
この分析を活用すると「どの客層を増やしたいのか」「どのプランを強化すべきか」が明確になり、料金戦略と販促施策の方向性が定まります。LOSについては「LOS(平均滞在日数)とは?計算方法・メリット・向上策」もあわせてご覧ください。
RevPARの詳細は「RevPAR(レブパー)とは?計算式・ADR・OCC・業界平均と改善策を解説」を、OCCの詳細は「ホテルの稼働率(OCC)とは?経営成功の鍵となる稼働率向上のポイントを解説!」をご覧ください。
DORを高める5つの施策
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①ターゲット客層を「DOR目線」で再定義する
まず、直近3〜6ヶ月のPMSデータからDORを曜日別・客室タイプ別・チャネル別に分析します。「OTAのシングル利用が平日DORを下げている」「ファミリー向け和洋室だけDORが2.5ある」など、改善余地が明確になります。
DOR分析のステップ
②客室タイプとプランをDOR向けに見直す
シングル主体のフロアの一部をツイン・トリプルへ転換、またはコネクティングルームの接続を強化することで、同伴利用の受け皿を広げます。開業・改装時の融資審査では「DOR(1室の想定人数)」を事業計画の前提として確認される場面も増えており、客室設計の段階からDORを意識することが重要です。
③「2名以上でお得」な料金設計にする
▲ 同伴利用を増やす料金設計(攻め)
④OTA・自社サイトの人数訴求を強化する
▼ 情報設計でDORを底上げする(守り)
⑤インバウンド・グループ受け入れ体制を整える
インバウンド旅行者は複数名でのグループ旅行が多く、受け入れ体制(多言語対応・連結客室・グループ向けプラン)を整えるだけで自然とDORが上がります。北海道・沖縄・京都などインバウンド比率の高い地域では、この施策が特に効果的です。
失敗パターン:DORだけ追いかける罠
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失敗パターン3例と防止策
【図解】DOR追求で陥りやすい3つの失敗
値引きでDOR上昇→RevPAR悪化
客層が偏りビジネス客が離脱
DORだけ高くGOPが改善しない
客層構成チェックリスト
8つの問いにはい/いいえで答えると、DOR改善の優先アクションを判定します。
内製の限界とプロとの差
「担当者頼み」のDOR管理が招く3つのリスク
⚠️ 内製対応の限界——DOR管理を担当者感覚に頼り続けると起きること
DOR管理を特定の担当者の経験と勘に依存している施設では、①繁忙期にシングル在庫を出しすぎてツイン・ファミリールームの取り逃がしが慢性化する、②閑散期に「とにかく埋める」発想で複数名利用を促進するプランが設計されない、③担当者交代時にデータ・ノウハウが引き継がれずDORが再び悪化する——という3つのリスクが繰り返されます。PMSデータを週次で自動集計し、客室タイプ別・チャネル別のDORを可視化する仕組みを作ることが「内製の限界」を突破する第一歩です。
プロが持つ「3つの武器」との差
🔍 プロとの差——専門家が持つ「3つの武器」
レベニューマネジメントの専門家は、①客室タイプ別・チャネル別のDOR分析(どの組み合わせが最も収益貢献しているか)、②DOR×ADR×付帯収益の連動シミュレーション(「2名プランをいくらにすれば総売上が最大化するか」の試算)、③競合施設のDOR水準の推定と自施設の客層ギャップ分析——を組み合わせて施策を設計します。自施設の担当者が「週末のDORが低い気がする」という感覚ベースで動いている間に、専門家は3ヶ月先のカップル需要を予測してプランと料金を調整しています。この差が半年後・1年後の収益格差として現れます。
よくある質問(FAQ)
DORに関するよくある疑問
まとめ:DORを軸に収益構造を変える
「稼働率は高いのに客室売上が伸び悩む」——その原因の多くは、DORの管理不足にあります。DORは「1室に何名が泊まっているか」を示す指標で、OCC・ADR・RevPARでは見えない「収益の厚み」を測るカギです。
DORを高めるには、PMSデータで現状を把握し、複数名利用を促すプラン・料金設計に整え、OTA・自社サイトの情報発信を最適化する——この3ステップが基本です。ただし、DORだけを追いかけてADRを下げすぎるとRevPARが悪化する「失敗パターン①」には注意が必要です。DOR・ADR・RevPARをセットでモニタリングし、GOPPARまで追うことで本当の収益改善につながります。
ADRの詳細は「ホテルのADRとは?計算方法から収益を最大化する活用法まで徹底解説!」、収益管理の全体像は「レベニューマネジメントとは?ホテル収益を最大化する戦略と実践方法」もあわせてご覧ください。
リロホテルソリューションズの支援実績
| 温泉旅館(32室) | シティホテル(55室) |
|---|---|
| DOR 1.1 → 1.8 に改善 ・シングル主体の予約をカップルプラン新設で転換 ・2名料金を1名料金の1.5倍に再設計し、ADRも同時向上 ・食事付きプランの比率を高め付帯収益が月次で約30万円増加 |
WEB売上 60%増 ・OTA・自社サイトのファミリー向け情報設計を強化 ・週末のDOR改善と平日ビジネスの客層戦略を分けて設計 ・RevPAR・DOR・GOPPARを月次でセット管理する体制を構築 |
支援施設全体では、DOR改善を通じて付帯収益が3〜6ヶ月で15〜30%向上するケースが多く見られます。特に食事付き旅館・リゾートホテルほど改善幅が大きい傾向があります。
株式会社リロホテルソリューションズでは、DORをはじめとする収益指標の分析から、プラン設計・OTA戦略・集客施策の実行まで一貫して支援しています。「DORが業界平均を下回っている」「複数名利用の比率をどう高めればよいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。
【監修者情報】
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。






