ホテル売却の査定相場2026|業態別バリュエーション・価格を上げる5戦略
ホテル・旅館を売却する際、「自施設はいくらで売れるのか」「査定額はどのように決まるのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。実際のM&Aでは、EV/EBITDA倍率法を中心に、DCF法や収益還元法など複数の評価方法を組み合わせて企業価値を算出します。
また、売却前の利益改善や資料整備によって査定額が大きく変わることも珍しくありません。本記事では、ホテル・旅館の査定方法や業態別の相場、査定額を高めるポイント、失敗しないための準備までをわかりやすく解説します。さらに、概算企業価値を試算できるホテル簡易査定ツールもご用意していますので、売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
📌 この記事でわかること
ホテル売却の査定方式3種|EV/EBITDA・DCF・収益還元
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査定方式の全体像
ホテル・旅館の売却査定は、複数の評価方式を組み合わせて行われます。買い手・売り手それぞれの立場で重視する方式が異なるため、1つの数値で「いくら」と断定できるものではありません。レンジで把握し、最終的に交渉で確定する性質のものです。
【図解】ホテル査定3方式の特徴と使い分け
倍率法
※実務ではEV/EBITDA倍率法をベースに、DCF法と収益還元法で査定額レンジを補強します。本記事の簡易査定ツール(次節)はEV/EBITDA法を採用しています。
なぜ複数方式で見るのか
1つの方式だけで査定額を決めるのが危険な理由は、それぞれが異なる前提を持っているからです。EV/EBITDA倍率法は「直近の収益力」を、DCF法は「将来の事業計画」を、収益還元法は「不動産としての価値」をそれぞれ反映します。3方式の数値が大きく乖離するときは、自施設の特性(収益基盤・将来性・立地)のどこに強みがあるかを示すヒントになります。M&A全体の流れと事業承継については「ホテル・旅館の事業承継・M&A」もあわせてご覧ください。
3方式を1枚で比較
3つの査定方式は、精度・使われる頻度・初心者にとっての扱いやすさで特徴が異なります。全体像を1枚の表にまとめました。
| 項目 | EV/EBITDA倍率法 | DCF法 | 収益還元法 |
|---|---|---|---|
| 精度 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 実務での使用頻度 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
| 初心者にとっての分かりやすさ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
※星の数はホテル・旅館M&Aの実務における一般的な傾向の目安であり、個別案件では逆転することもあります。
EV/EBITDA倍率法の業態別相場
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EV/EBITDA倍率法の計算式
EV/EBITDA倍率法は、M&A実務で最も広く使われる査定方式です。計算式はシンプルで、次の通りです。
EBITDAとは「営業利益+減価償却費+のれん償却費」のことで、ざっくり言うと「現金ベースで生み出している利益」です。たとえばEBITDAが1億円のホテルに業界倍率8倍を適用すると、EV(企業価値)は8億円となります。ここから純有利子負債(借入金−現預金)を差し引いた額が、株主への譲渡対価の概算になります。
【図解】年商から譲渡価格までの計算フロー
※このフローはEV/EBITDA倍率法の概算計算の流れです。実際の譲渡対価は税務・スキーム選択で手取り額がさらに変わります。
EBITDAを「オーナー報酬込み」で正常化する
オーナー経営の中小ホテル・旅館では、オーナー報酬が市場水準より高い/低いケースが多く、これをそのまま使うと査定額がブレます。実務では「オーナー報酬を市場の支配人給与水準に正常化したEBITDA(調整後EBITDA)」を使うのが一般的。これが「実際に第三者が運営した場合の本来の利益力」を表します。
業態別のEV/EBITDA倍率の目安
EV/EBITDA倍率は業態・規模・立地・将来性で変動します。2026年時点の一般的な目安は次の通りです。
| 業態 | EV/EBITDA倍率の目安 | 倍率を左右する要素 |
|---|---|---|
| 都市型シティ・ビジネス | 6〜10倍 | 立地・駅近・インバウンド比率・チェーン参加可否 |
| リゾートホテル | 7〜11倍 | 観光ブランド力・季節変動・施設グレード |
| 高級旅館(料理・温泉重視) | 6〜10倍 | ブランド力・常連客比率・口コミ評価・後継体制 |
| 地方旅館(中堅・スタンダード) | 4〜7倍 | 築年数・人材確保・地域人口動態・改修必要額 |
| 築古・赤字・小規模施設 | 3〜5倍(または収益還元法) | EBITDA法より不動産価値ベースで評価される傾向 |
※倍率は2024〜2026年のインバウンド需要回復で全体的に高めの水準で推移しています。あくまで一般的な目安としてご参照ください。実際の倍率は個別案件の交渉で決まります。
倍率を押し上げる/押し下げるホテル特有の評価項目
同じ業態・同じEBITDAでも、倍率がレンジの上限に寄るか下限に寄るかは、ホテル・旅館ならではの評価項目で決まります。一般的なM&Aで見る財務指標だけでなく、次のような宿泊業特有の観点も査定に影響します。
| 評価項目 | 倍率への影響 | 補足 |
|---|---|---|
| インバウンド比率が高い | + | 訪日客比率が高いほど需要の分散・単価上乗せの余地が評価されやすい |
| ADRが高い | + | 客室単価の高さは価格決定力・ブランド力の強さとして評価される |
| RevPAR成長率が高い | + | 直近の成長トレンドは「まだ伸びる」と評価され、倍率の上限側を取りやすい |
| 稼働率が季節を通じて安定している | + | 季節変動が小さいほど収益の予測可能性が高いと評価される |
| 土地・建物を自社所有している | + | 借地権付きに比べ資産価値が明確で、金融機関の担保余力も評価されやすい |
| 支配人・料理長など主要人材の定着率が高い | + | 承継後の稼働率・サービス品質の維持見通しが立てやすく、属人化リスクの減点を避けられる |
| 温泉権を保有している(旅館の場合) | + | 代替の効かない差別化要素・許認可上の資産価値として評価されやすい |
| 特定OTAへの依存度が高い | - | 手数料構造・価格決定権の弱さがリスクとして減点されやすい |
| 築年数が古く大規模修繕が未実施 | - | 改修必要額が不透明なほど、買い手は保守的な評価をせざるを得ない |
| 修繕履歴・法定点検記録が不明 | - | デューデリジェンスでのリスク要因として、倍率を下限側に押し下げる |
※OTA比率・稼働率・人員構成など「ホテルならでは」の指標は、財務諸表だけでは見えません。運営データの整備段階からこれらを可視化しておくことが、査定額を引き上げる実務上のポイントです。
ホテル簡易査定ツール
業態と直近の年商・EBITDA(または営業利益から逆算)を入力すると、EV/EBITDA倍率法による概算企業価値を即試算します。あくまで初期検討用の概算ですが、「自施設のおおよその査定レンジ」を把握する出発点としてご活用ください。
DCF法による企業価値評価
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DCF法の基本ロジック
DCF法(Discounted Cash Flow法)は、将来生み出されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算出する方式です。EV/EBITDA倍率法が「直近の収益力」を見るのに対し、DCF法は「これから5〜10年で生み出される現金を、リスクを考慮して現在の価値に換算する」考え方です。
計算の流れは大きく3ステップ。①事業計画(通常5〜10年分)からフリーキャッシュフロー(FCF)を算出。②加重平均資本コスト(WACC)で各年度のFCFを現在価値に割り引く。③5〜10年目以降の継続価値(ターミナルバリュー)を加算してEVを算出。
DCF法を使うべき場面
DCF法は理論的に整った方式ですが、前提次第で結果が大きく変動する性質があります。次のような場面で使うと意味があります。
① 成長フェーズにある施設
「直近のEBITDAは小さいが、改修・リブランド・チェーン参加で今後3〜5年で大きく伸ばす計画がある」ケース。EV/EBITDA倍率法では直近実績しか反映されないため、DCF法で将来価値を反映したい場面です。
② 再生案件・赤字フェーズの施設
「直近は赤字だが、運営体制を変えれば黒字化が見込める」ケース。買い手側の再生計画に基づくDCFで、再生後の価値を織り込んで評価する場面で使われます。
③ 大型ホテル・チェーン展開施設
投資ファンドや上場企業が買い手となる大型案件では、稟議書類としてDCF法による査定が前提になることが多い場面です。
DCF法は「事業計画の信頼性」がすべて
DCF法の最大の落とし穴は、事業計画の前提次第で結果が3倍にも半分にもなることです。売り手側が楽観的な計画でDCFを高く出しても、買い手側はそれを大幅に割り引いて評価するため、実質的な交渉はEV/EBITDA法ベースで進むのが実務の現実。DCFは「補助的に将来価値を訴求する材料」と位置づけるのが現実的です。
収益還元法と類似取引比較法
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収益還元法の使いどころ
収益還元法は、不動産の評価で広く使われる方式です。NOI(Net Operating Income:純営業収益)を還元利回り(Cap Rate)で割るシンプルな計算式で、不動産自体の価値を算出します。
たとえばNOIが3,000万円、地方リゾートの還元利回りが6%なら、不動産価値は5億円となります。ホテル事業は「不動産+運営事業」の組み合わせなので、収益還元法で算出される不動産価値とは別に、運営事業のれん(ブランド・顧客基盤・スタッフなど)の価値を加算する考え方が必要です。
収益還元法が使われやすいのは、①築古・赤字でEBITDA評価が機能しにくい施設、②不動産価値が事業価値より大きい立地優良施設、③売却後に運営事業を切り離して不動産だけ保有する取引(セールアンドリースバック)の3パターンです。
類似取引比較法の使いどころ
類似取引比較法(マルチプル法)は、過去の類似M&A事例で実際に使われた取引倍率(EV/EBITDA倍率・1室当たり取引価格など)を参考に、自施設の査定額を算出する方式です。
たとえば「同じ温泉地・同規模・同グレードの旅館が直近2年で○件取引され、平均EV/EBITDA倍率は6.5倍だった」というデータがあれば、それを自施設のEBITDAに適用する考え方です。EV/EBITDA倍率法の「業界倍率」をより精緻に検証する補助手段と位置づけられます。
類似取引データはM&A仲介・専門家しか持っていない
類似取引のデータは、公開市場で完全に開示されているものは少なく、M&A仲介会社・アドバイザリー会社が独自に蓄積しているケースが多くを占めます。自施設でデータベースを持つことは現実的ではないため、専門家との協業が査定精度を上げる最短ルートです。
査定額を上げる5つの戦略
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査定額は施設の客観的な実力で決まると思われがちですが、実は「売り手側の準備の質」でかなり動きます。とくに売却前12〜18ヶ月の取り組みが、最終的な査定額に直接効きます。具体的な5つの戦略を見ていきましょう。
戦略①:EBITDAの「正常化」を徹底する
査定の出発点となるEBITDAを、市場が評価する形に整えることが最重要です。具体的には、①オーナー報酬を市場の支配人給与水準に正常化、②私的経費(オーナーの飲食費・車両費等)を切り出す、③一時的な特別損益を除外、④減価償却費・のれん償却費を正確に積み上げる——の4点。これだけで査定額が10〜20%変わることもあります。書類整備不足のまま査定を受けると、買い手に低く見積もられるのが定石です。
戦略②:直近12ヶ月で収益改善を仕掛ける
EV/EBITDA倍率法はEBITDAをそのまま掛け算するため、売却前のEBITDA改善が査定額に直接効きます。たとえばEBITDAを1,000万円改善できれば、業界倍率8倍なら査定額は8,000万円上がる計算。具体的な打ち手は、ダイナミックプライシング導入による単価アップ、FLコスト最適化によるGOP改善、OTA手数料の見直し、不採算事業の整理など。集客チャネルの見直しによる直販比率向上も、OTA手数料の圧縮を通じてEBITDA改善に直結します。これらは「ホテル・旅館の売却タイミング」もあわせてご覧ください。旅館・ファミリー向け施設では、1室あたりの宿泊人数を示すDORの改善も、追加コストをかけずにEBITDAを押し上げる有効な一手です。
戦略③:財務書類・運営データを「買い手目線」で整備
査定では財務諸表(PL・BS)だけでなく、月次の運営データ(OCC・ADR・RevPAR・チャネル別売上・顧客層別データ)まで求められます。過去3年分のデータを買い手が一目で理解できる形で整備しておくことで、デューデリジェンス(買収監査)がスムーズに進み、査定額のディスカウントを防げます。「データが揃っている=経営が見える化されている」と評価される効果も大きいです。PMS導入などのホテルDXを早めに進めておくと、データ整備そのものの負担が大きく下がります。
戦略④:将来計画(3年事業計画)を準備する
EV/EBITDA倍率法は直近実績ベースですが、買い手側は「買収後3年でどう伸びるか」を必ず見ます。インバウンド対策による需要の追い風・地域開発計画・改修による単価アップ余地など、自施設の将来ストーリーを3年事業計画として可視化しておくと、DCF法での評価で査定額レンジの上限側を取りに行けます。「数字」と「物語」の両方を整えることで、買い手の意思決定を後押しできます。
戦略⑤:売却タイミングを業績ピーク前後に合わせる
査定額は売却時の市況とEBITDAで決まるため、業績ピークの少し手前で売却プロセスを開始するのが定石です。直近3期で右肩上がりのトレンドが見える状態で査定に出すと、買い手は「まだ伸びる」と評価し、業界倍率の上限側を提示しやすくなります。逆に業績がピークアウトしてから動き始めると、買い手は「もう天井」と判断し倍率を下げます。「売り急ぎ」が査定額の最大の機会損失であることは、覚えておいてよい原則です。
最もおすすめなのは「外部の運営のプロに任せてから売る」戦略
5戦略をすべて自力でやり切るのは、日々の運営に追われるオーナーにとって現実的でないことも多いです。そこで有効なのが、売却前の一定期間だけ外部の運営コンサル・運営代行に委ねてEBITDAを底上げしてから売却するという順番です。オーナーが本業(経営判断・資金繰り・買い手対応)に専念できるうえ、収益改善の専門知見をそのまま「査定額アップの実績」として買い手に提示できるため、売り急ぎで安く買い叩かれるリスクを避けながら、結果的に高い評価を引き出しやすくなります。当社(リロホテルソリューションズ)でもホテル・旅館の運営改善支援を通じて、売却前の収益改善や資料整備をサポートしています。ある地方旅館の支援では、FLコスト最適化とOTAチャネル見直しの2つに絞って半年間伴走した結果、EBITDAマージンが8%台から16%台まで改善し、売却検討時の想定査定額レンジが引き上がった事例もあります(施設名・詳細は非公開)。
🔍 査定額アップに成功するオーナーの共通点
支援の現場で査定額を大きく引き上げたオーナーには共通点があります。①売却の2年前から準備を開始している(書類整備・収益改善・税務最適化を並行進行)、②「自分の施設の物語」を持っている(なぜこの施設に価値があるかを買い手に語れる)、③複数の専門家と並行して動く(M&A仲介・税理士・運営コンサルを早期に巻き込んでいる)、④感情と数字を分けている(「先代から守ってきた」という思いと、「いくらが妥当か」の判断を区別できる)。逆に査定で苦戦するオーナーは、いずれかが欠けているケースが多いのが実情です。
失敗パターン3例|書類整備不足で安く買い叩かれる
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ホテル・旅館の売却査定で「想定より安かった」と落胆するケースには、共通の失敗パターンがあります。事前に押さえておけば回避できる3つの典型例を確認しましょう。
⚠️ 査定で買い叩かれる失敗3パターン
失敗①:書類整備不足タイプ — データが揃わず買い手が低めに見積もる
過去3年の財務諸表・月次PL・運営データ(OCC・ADR・RevPAR)が整備されていない状態で査定に出すケース。「数字が見えない=リスクが見えない」と判断され、買い手は保守的な見積もり(低い倍率)を出さざるを得ません。本来の価値より20〜30%低く査定される事例も珍しくありません。
失敗②:売り急ぎタイプ — 業績ピークアウト後に動き始める
業績が下がり始めてから「売却するしかない」と動き出すケース。直近3期の数字が右肩下がりだと、買い手は「これからもっと下がる」と評価し、業界倍率の下限側を提示してきます。逆にピーク手前で動けば「まだ伸びる」と評価され、倍率上限側を取りに行けます。タイミングの差で査定額が1.5倍変わることもあります。
失敗③:専門家未活用タイプ — 1社の仲介任せで相場感を持たないまま進める
「知り合いに紹介されたから」と1社のM&A仲介だけに任せ、相場感を持たないまま進めるケース。提示された査定額が妥当か判断できず、本来引き出せる額を取り損ねる結果になりがちです。複数の専門家から意見を取り、業界倍率の根拠を必ず確認する姿勢が必要です。
失敗を防ぐ「売却前24ヶ月」のロードマップ
3つの失敗に共通する処方箋は、「時間を味方につける」ことです。最低でも12ヶ月、理想は24ヶ月の準備期間を確保することで、失敗の8割は予防できます。
売却24ヶ月前:方向性を決める
家族・後継者・主要スタッフと「売却するかどうか」「いつまでに」「どんな相手に」の方向性を共有。同時に税理士・運営コンサルに相談を開始し、財務状況の棚卸しを進めます。
売却18ヶ月前:書類整備・収益改善を着手
過去3年分のPL・BSを整備し、月次の運営データの可視化を開始。同時にFLコスト最適化、ダイナミックプライシング導入、不採算事業の整理など、EBITDA改善の具体策を実行に移します。
売却12ヶ月前:M&A仲介・アドバイザリーを選定
複数のM&A仲介会社・アドバイザリーから相場感のヒアリングを実施し、自施設に合うパートナーを選定。同時に3年事業計画の策定を進め、買い手目線で施設のストーリーを語れる状態に。
売却6ヶ月前:本格的に査定プロセス開始
買い手候補へのアプローチを開始し、複数社からの提案を受ける状態へ。1社独占で進めるより、複数候補との並行交渉のほうが価格交渉力が高まるのが原則です。
M&A仲介・アドバイザリーの選び方
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仲介型 vs アドバイザリー型の違い
M&A支援を受ける際に最初に理解すべきは、「仲介型」と「アドバイザリー型」では支援者の立場が根本的に異なる点です。
| タイプ | 立場 | 報酬体系 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 仲介型 | 売り手と買い手の双方を仲介し、取引成立を目指す | 双方から成功報酬。取引成立が優先される利益相反リスク | 中小規模案件で迅速にマッチングしたい場合 |
| アドバイザリー型 | 売り手または買い手の片方の代理人として交渉を支援 | 片方からのみ報酬。利益相反なしで価格交渉に注力 | 大型案件・査定額の最大化を最優先したい場合 |
選定の3つの軸
仲介型・アドバイザリー型のいずれにせよ、パートナー選定では次の3軸が重要です。
① ホテル業界特化の実績
汎用的なM&A仲介より、「ホテル・旅館の取引実績が10件以上あるか」を確認。業界特化型のほうが、業界倍率の実勢・買い手候補のネットワーク・運営の論点を把握しており、査定額の妥当性を判断できます。
② 担当アドバイザーの個人経験
会社の実績以上に重要なのが、実際に担当するアドバイザーの個人経験です。M&A業界は属人性が高く、ベテランか若手かで進行品質に大きな差が出ます。契約前に担当者の経歴とこれまでの担当案件を確認しましょう。
③ 報酬体系の透明性
着手金・中間金・成功報酬の体系、最低報酬の有無、レーマン方式の料率を契約前に必ず確認。透明性の高い報酬体系を提示できる会社のほうが、長期的に信頼できる傾向があります。「成功報酬のみ」を強調しつつ、後で追加費用が発生する設計には注意が必要です。
運営知見のあるパートナーは「査定額アップ」まで踏み込める
M&A仲介・アドバイザリーの中には、運営コンサルティングの知見を持つパートナーもいます。「査定額を出すだけ」ではなく「査定額を上げるための運営改善まで一緒に取り組める」パートナーであれば、売却前12〜18ヶ月のEBITDA改善で査定額そのものを引き上げられます。査定だけでなく運営の伴走者として、ホテル業界を熟知した支援先を選ぶことが、結果として大きな差を生みます。
よくある質問(FAQ)
ホテル査定・売却に関するよくある疑問
まとめ:査定額は「数字」と「物語」で決まる
ホテル売却の査定額は、単に直近の決算書類だけで決まるものではありません。EV/EBITDA倍率法・DCF法・収益還元法の3方式を組み合わせ、最終的には買い手との交渉で決まります。査定額を最大化するためには、「数字」と「物語」の両方を整える視点が必要です。
本記事のポイントを整理すると、実務でメインに使われるのはEV/EBITDA倍率法で、業態別の倍率目安は都市型6〜10倍・リゾート7〜11倍・地方旅館4〜7倍程度。DCF法は将来計画を織り込みたい場面、収益還元法は不動産価値が大きい施設で補助的に使われます。査定額を上げる5戦略は、EBITDAの正常化、収益改善、書類整備、3年事業計画の策定、業績ピーク前の売却タイミング。失敗の3大パターンは書類整備不足・売り急ぎ・専門家未活用で、いずれも「準備期間の不足」が本質です。M&A仲介・アドバイザリーは「ホテル業界の実績・担当者の経験・報酬体系の透明性」で選び、運営知見のあるパートナーは査定額アップまで踏み込めます。
査定額を左右するのは、利益(EBITDA)だけではありません。収益改善の実績や将来計画、資料整備まで含めて評価されます。査定は売却の出発点にすぎません。最終的に納得のいく結果を得るには、売却の2年前から動き出し、運営改善と書類整備を並行して進めることが何よりも効きます。記事内の簡易査定ツールで現在地を把握し、ご自身の売却戦略の検討にお役立てください。
リロホテルソリューションズの売却・運営支援
| 査定額アップに直結する運営改善 | 売却プロセスの伴走支援 |
|---|---|
| EBITDA改善で査定額を底上げ ・FLコスト最適化・直販比率向上・OTA手数料見直し ・売却前12〜18ヶ月の収益改善プログラム ・3年事業計画の策定とストーリー作り |
専門家ネットワークで全方位支援 ・M&A仲介・アドバイザリー選定の中立的アドバイス ・税理士・弁護士と連携した税務最適化 ・売却前の書類整備とデューデリジェンス対策 |
査定額のアップは、運営改善と専門家活用をセットで取り組むことで最大化できます。自施設に合った最適な戦略をご提案します。
株式会社リロホテルソリューションズでは、ホテル・旅館の売却検討段階から査定の精緻化、運営改善による価値向上、M&A仲介との連携まで一貫してサポートしています。「いくらで売れるかまず知りたい」「査定額を最大化する準備をしたい」「複数の専門家の意見を聞きたい」そういった方は、お気軽にご相談ください。
【監修者情報】
「90日で黒字化」を目標に、全国リゾート地・過疎地の宿泊施設を運営してきたプロ集団です。
あらゆる課題を抱える宿泊施設様のご支援を行い、売上の確保だけでなく、収益確保や運営効率まで一貫したご支援を行います。






